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「ナイショ!」の中身

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昨日の最後は「ナ・イ・シ・ョ!」で話を止めた
勿論本気の内緒ではない
病院のロビーでその都度呼ばれるのを待ちながら
病院に固有の複雑な隘路を整理して
患者さんが直感的に「よくできた病院だなぁ!」
と感じる患者本位の在りようを模索していた

丁度今から35年前新設の病院の開業に携わり
そのまま事務長に就任した私にとって
在任15年リタイアして20年になるが
病院はいつでも大きな関心事であり続けた

昨日の「ナ・イ・シ・ョ」はそこから始まる
昨日を読んでいただいたとして続けてゆこう
待たずに会計や処方を済ませるにはからである
これが可能だったのには幾つかの幸運もある
ひっくるめてそれが時代だったのかもしれない

そもそも私が病院開設に呼ばれた理由は
「患者さんを待たせない病院にするために
どうしたらいいか知恵を貸してほしい」だった
まだコンピューターによる情報管理のシステムはなかった


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求められて私は私見を述べた
それはかつて在籍したテレビの番組制作でのシステムのこと
我々はそれをインカムと言っていたが
例えばスタジオ番組の場合
現場を指揮するディレクターが発する指示を
他のスタッフは全員ヘッドホーンで聴いている
「1カメさん!○○に寄って!」この指示は全員に届くが
動くのは1番カメラのカメラマンだけだ
50人いても自分宛ての指示だけを聞いて動き全体が流れる
全情報の共有化 これがインカムシステムである

病院の診察室では
担当医師がディレクターである
この患者さんにどんな病名がつき
どんな治療が行われ何が処方されるか
画像撮影の有無 検査の種類 入院の要不要
患者さんとの会話の中で次々と方針が立ってゆくが
それをいち早く関係スタッフに知らせること
それがインカムであり 結果として全ての準備が早まるわけだ

全員がヘッドホーンというわけにゆかないとしても
所定のスタッフの待機する場所に小さなスピーカーをおけばいい

診察室で今何が行われ これから何が要求されるか
同時進行で判ってれば迅速な対応もできる
それを私は進言したのだった

結果的にはこの考え方を原則にしたが
更に一歩前進させて開院までに
医師の指示は院内コンピューターで各所に伝える
それが可能になってきた ところがここが時代だが
医師全員がパソコンのキーボードを
ブラインドタッチで打てる段階にはなっていなかった
手書きカルテの時代だったからだ

そこで更に一手進め 診察ブースにパソコンを置き
専門のセクレタリーを配して
医師と同時進行で診療内容をインプットさせ
各部署に送信したのだ
最後に医師がサインし確定すれば各部署の作業も終わる
これだと未処理のまま停滞することがない
ひとりの患者さんが終るまで次の患者さんを打つことはないからだ

ブースごとのセクレタリーは
勿論教育して医師が手書きするカルテを
隣りで同じ速度で打てるから
全ては二人の間で同時に終わることになるのだ
別室で打つ事務処理と違って
医師とセクレタリーの作業のシンクロは
迅速化の最大の要素だと思ってた

だから患者さんが身づくろいをしてブースを出る頃
薬局のアナウンスが薬の呼び出しをし
会計が支払いを促すこともできたのだった

当時としては結構珍しがられて
他院の関係者の見学要請が多かったのを覚えている
やがてパソコンが一段と進歩して今や
壮大なネットワークを取り入れスタッフもこなしているが

最後にひとつだけ考えてほしいことを書こう
病院業務のデジタル化は驚異的に進歩したが
それを開発した企業から買うのは病院であって患者さんではない
ここに大きな問題があると考えてほしい
業者さんが言う便利の受益者は患者でなく病院だということ
病院にとって都合がいいから高額でも売れるのである

もし昨日書いたのと同じように逆説的真理の原理に従えば
病院には不利益にみえて実は
患者が待たずに済むために最大の効果を備えたシステムが
それを導入することで絶大な患者の支持を得て病院が繁栄できれば 
それこそがシステムの勝利であって
繁栄してる病院がその繁栄を職員に還元して不満が生まれることはない
経験からなら確信をもってそう言える

今使ってるシステムを逆走させると病院には不都合?
ほんとにそうだろうか?考える価値はあるはずだ

かつて在籍した病院が今日どうなってるか
さすがにつぶさには知らないが
規模も大きくなったし スタッフも大幅に増えてる
決して容易なことではなかろうが
創業の精神 つまり
患者さんを待たせないためにどうすればいいか?
いつでも考え続けていてほしいと思う





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by touseigama696 | 2019-01-30 21:05 | ●エッセイ | Comments(2)

逆説的真理


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東京に聖路加国際病院という大きな病院がある
聖書の聖人ルカの漢字表現で聖路加と書いて
一般的には「せいろか」と読んできた

今はすっかり新しい病舎になっているが
1995年のオウムサリン事件の際は
ここがまるで野戦病院のように
礼拝堂まで使って数多くの被害者の治療にあたり
世論の感謝と賛美を得た病院だった
あの有名な心臓内科医の日野原重明博士が
陣頭指揮を執った時代である

私は20代の終わりごろ機上で心臓発作を起こし
アラスカで一ヵ月入院したことがあったが
その後遺症で心臓神経症に悩まされた時期がある
亡父の紹介で受診したのが日野原博士で
短い期間だったが聖路加病院に通ったのだった

その時に今も忘れることのない思い出がある
病院の本質に関わる大事な考え方を学んだのだ
後に40代になって自分が病院事務長に就任したが
在任中肝に銘じたある言葉はそのときのものである


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この病院の旧舎はキリスト教系の病院だったから
どことなく礼拝堂の中にいるような感じで
患者が座って待つベンチも木製で質素なものだった

少し通いなれたころのこと
顔なじみになった看護師(当時は勿論看護婦と言った)さんと
立ち話をしながら

「この木製のベンチお尻が痛くなりそうですよ」
つい軽口を叩いてしまったのだが
返って来た言葉に恥じる思いを晒された
看護師さんはこう言ったのだ

「確かにこのベンチ少し硬いものね
でもこの病院は
あなたのお尻が痛くなるほど長い時間
お待たせすることは決してありません
だから質素を許してね」

これは言ってみれば「逆説的真理」である
質素な椅子は患者には思いやりに欠ける設えと
思われそうだが
実は病院が果たすべき本質的な患者への労わりは
柔らかな椅子を提供することではなく
いち早く診療を済ませ待たずに帰宅させることだ
こっちの方が遥かに大事なもてなし
つまりHospitalityというわけなのだ

こうした逆説的な真理を追究する習慣を失くしてはならない
事務長在任中いつもこのことが頭にあったが
言うまでもなくこの時の看護師さんのお陰だった

お断りしておくが今の聖路加国際病院は
決して木製の質素なベンチではない
一流ホテルなみの設えなのは
HPでも見れば分かる
でもきっとそれで良しではなかろう
あれから50年今はお世話になることもないが
Hospitalityおもてなしはきっと今も生きてるに違いない

この話には後日談がある
後になって会計処理や薬剤処方に
電光掲示板ができて番号表示をするようになったが
その器材を売りに来た業者さんに
私は断った覚えがある

「だって表示番号見てれば自分の番が近いって
分かるじゃないですか便利だと思うんですが・・」

私の答はこうだった
「この病院の場合 患者さんが診察室から出てくる頃には
会計も処方も出来てるから表示する必要ないんだよ」

どうしてそれができたか?
「ナ・イ・シ・ョ!」




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by touseigama696 | 2019-01-29 21:55 | ●エッセイ | Comments(4)

入院してましたぁ~~!

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自宅から車で5分ほどのところに
この大きな総合病院がある
市内に二つ三つある基幹病院のひとつ
この病院の創設期の事務長だった〇木さんは
かつて私も病院事務長をしていた頃からの昵懇

浅草のかかりつけ主治医が
「この痛み検査する必要があるから紹介状書くけど
地元の○○病院と□□病院どっちにする?」
訊かれてここをお願いした
我が家から近いし旧友の〇木さんにも相談できる

そんなわけで急なことだったが
先週水曜日に受診し翌日入院することになった
腹部を襲った結構強い痛みの原因は
「腹直筋血腫」という病名
お腹の筋肉が破断して出血し血腫が出来た 
という説明で案外珍しい病気のようだ
原因は気管支炎の咳嗽の激しさに腹直筋が耐えられなかったらしい

腹の中に内出血の瘤ができるって聞いただけで痛そうだ
実際痛かった 薬を飲んでも効かず一晩悶絶してた
だから入院して点滴でそれが治まったとき
現代医学の水準に頭を下げる思いだった
100年前だったら悶絶のまま息絶えても不思議じゃない

老人に限ったことじゃないが
とりわけ年寄りにとって最も待望の医療ジャンルは
ペインクリニック 痛みの制御だと思う
これが満たされれば死の恐怖のかなりな部分が減る


咳はまだ治まりきってはいないが
痛みから解放された4泊5日の入院を終え
さっき帰宅したのだった 予後は外来で診ましょう!
明日と来週予約を入れてもらったが
ここでも旧知の友人のサポートは
何より有難い安堵である

医療機関との距離感は
老いがもたらす不安への大事なキーワード
還暦を過ぎれば自分の医療環境を考える必要がある

「病気になったら医者にかかる」
これは当たり前
「病気になってない普段を診てもらう」
こっちを忘れてはならない

年に2~3度は
病気でなくとも健康状態を診てもらい
町の開業ドクターと親しくなること
そこで培われる医師と患者の信頼関係とデータが
生きてる限りいつかは巡ってくる
人生の終末に僅かな安堵を得る数少ない手段だと
私は思う


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たった4~5日の入院だったが
帰宅してこのコックピットに座ると
時間を持て余して困ることがない
それが何より有難い
なるべく入院せずに暮らしてゆきたいものである





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by touseigama696 | 2019-01-28 16:40 | ○未分類 | Comments(14)
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一週間前 2019全豪オープンテニスでの
錦織クンについて書いた

大会初戦で錦織クンが対戦したのは
世界ランキング176位
本選でのエントリーが叶わず
予選を3勝して本選入りした選手である
決して弱い選手ではないが
だからといって
大会1回戦で世界ランク8位の錦織クンが
第8シードでいながら簡単には負けるわけにはゆかない

挑む方の176位は怖いもの知らずでぶつかる
だから格上選手が守りに入ろうでもすれば
思いがけない結果になることもないわけじゃない
この日 錦織クンはその憂き目にあい
崖っぷちに立たされた

2セットダウンした錦織クンは
残り3セットを連取せねば負けである
怖いもの知らずの力と勢いは明らかに
錦織クンに勝っていた

3セット目が始まって一寸の間
私は見るに忍びなくてトイレに立った
だからこの間の数分に何があったのか分からない
戻ったら・・異変が起きていた

怖いもの知らずクンの手足に痙攣が起きていたのだ
転倒したりとかぶつかったりとかの様子はなかったが
明らかに彼の手足は動かなくなっていた

結果的には
2セットはプレイしたが殆ど得点にはできず
ファイナルセットの途中で棄権敗退することになった

これも勝ちである
怪我に乗じて勝ったなんてと悪しざまに言う向きもいるが
それは大間違いだ
打球と打球の格闘はカロリーとカロリーの戦いだし
神経と神経の壮絶な戦いである

5セットマッチで3セット先取だけが「掟」
何点取ろうが3セット取れなきゃ負けである

3セット目の初め私が席を外してる間に
錦織クンが打った一打はギリギリのレベルで
怖いもの知らずクンの神経に壊滅的なダメージを与えたことになる

「次に戦うときは3セット分のスタミナを用意して挑みます」
怖いもの知らずクンの感想はけだし至言である
起きたことを過不足なく告げている

最初の2セットで負けていながら
錦織クンは負けを承知で戦っていたのではない
ポイントで負けていても勝負ではまだだ
つまり
1ポイントはあげるが最後のセットはあげないよ
きっと2セットの終わりのベンチで
地獄の底を見ながら誓ったに違いない
それも今までになく強く・・と敢えて言いたい
おそらく彼にとってここでの敗戦は
許しがたい屈辱のはずだ
誤解してはいけないが相手からの屈辱ではない
自分が自分に許した甘さを忌む屈辱なのだ
だから
勝つまで決して諦めないから
もし勝ったらこれ以上の何があっても
それも全部勝つ!
彼の頭の中にあったのはこれじゃないだろか


ここからが本題かもしれないが
何故ならその後の3試合
勿論勝ったのだがその勝ち方がまた神がかりである

3試合を通してマッチポイントでの0-40
この得点の意味は
次の1ポイントを取られたら錦織クンの負け
勝つなら15-15 30-30 40-40 adv. keep
つまり5ポイント連取が条件である
勝ってるときならいざ知らず タダでさえ押されてる試合
だから苦しいのにこの条件
見てる方はどうしたって気弱にもなるが
この危機が2回あって錦織クンは凌いで取った 

次はノータッチで60本の超高速サーブをぶち込まれ
それだけでも負けそうなのに
勝手にしろと云わんばかりに打たせておいて
結局フルセットの末錦織クンが勝った試合
鉄砲と大砲とどっちが強い?
不思議な答えに砲手は頭を抱えていた

更に昨日の試合
今度は3セット分のスタミナどころか
衰え知らぬ力感に溢れおまけに
信じがたいほどの守備範囲の広さとその正確さ
全くもって錦織クンに遜色のない若者が
怒涛の如く押し寄せ2セット連取の上
同点のタイブレイクを2度挑んだ
1度でも落とせば負けだが
最終セットの10ポイントタイブレイクで
5-8で負けていた錦織クン
従来の7ポイント制なら負けていたが
ここで連続5ポイント獲得して奇跡的な逆転勝利になった

敗者の陣営は何が起きたのか
ポカンとした空気が漂うほど
現実離れした勝敗に決着がついたのだが
その直前
ジャッジの判定を巡って相手選手は烈火のごとく怒り
これが災いするだろなと思った瞬間に決まった
テニスに関わりテニスに影響を及ぼすものの
如何に多いことかメンタルなスポーツと言われる所以でもある
全米で大坂なおみに敗れたS・ウィリアムスの轍と同じだ

4試合に勝って次には宿敵ジョコヴィッチと戦う

「もしこの大会で錦織クンが優勝したり
或いは今年中にグランドスラムで優勝するなら
おそらくその最大のモチベーションは
この大会第一戦での屈辱からの復活に違いないと
私は書いた

大会直前のブリスベンの大会で優勝したことを縁起に
錦織有利などと書いたメディアは沢山いるが
グランドスラムレベルでの優勝は
縁起などで勝てるものじゃない

もし勝てるほどのカロリーを持つモチベーションがあるとすれば
それは試合中の
屈辱と恐怖と絶望から脱出した奇跡と歓喜を
身体とこころの全てで受け入れ表現することだ
どんなボールにも追いつけるだろうし
どんなボールもコート内に入るに違いない
俗に云う「ゾーンに入る」がこれだ
もしもそのゾーンに入れたら
錦織クンほどの多才な選手は少ない
どんな試合をするんだろうか見てみたいものだ

大怪我から一年見事に復活した錦織選手
一回戦でリタイアしたポーランドのカミル・マイフシャク選手
あのリタイアが錦織クンの再出発点であってほしい

それにしてもいつになく
何かが起ころうとしている気がしてならない
ジョコヴィッチに勝て!奇跡はそれからだ






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by touseigama696 | 2019-01-22 10:20 | 〇スポーツ | Comments(2)

忘れ得ぬひと

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私が気管支炎で伏せっていた10日間
その間にこの方は昇天された 言うまでもなく
彼女の最終搭乗機にはPan Amのフラッグがついてたに違いない
訃報をニュースで聴きながら
私は私が乗っていた搭乗機にJALのフラッグをつけてもらった
というのは
1960年代からほぼ30年この2機の飛行機は
つかず離れず世界の空路を飛び回って
それぞれの番組クルーの取材をサポートしてくれたのだった

Pan Amは「兼高かおる世界の旅」を
そしてJALは「世界の結婚式」を
それぞれのスタッフを乗せて忙しかった

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ふたつの番組は
当初毎週日曜日の朝 手を伸ばせば届く距離で放映され
それがどちらも30年を超える長寿番組ともなったので
ご覧になっていた視聴者は今となれば
ふたつはひとつの番組のような錯覚も生まれた

世界の人々がどんな暮らしをしているのか
とりわけ憧れの結婚生活には強い興味もあって
多くの若い女性視聴者の支持を得ていた

思えば貧しい時代ではあったが
未踏の海外に身を解き放ち
自分の足で探し 頭で考える
27~8歳の未熟が未知に滞在して
ほぼ自前で手だてを打つしか答えのない日々は
緊張でもあったが快感でもある
楽しい時代だったと今でも思うのだ

ただひとつ
何故と問われても答えようはないが
あれほどに隣接した空路を飛びかいながら
私は兼高かおるさんにお目にかかったことがない
同じTBSの館内にいようと
共通して会えるひとがいなかったわけでもないが
偶然であれ現地の飛行場でさえお目にかかることはなかった

一度だけ一緒に仕事してるカメラマンが
頼まれて兼高さんの取材に加わったことがあって
「彼女どうだった?」って訊いたら
「うん! さすがだったね」
これだけだったがとてもよく分かった

彼女は自身がプロデューサーでありディレクター
カメラマンもすればインタビューもする
コメント原稿も書いてナレーション原稿も読み
演出も自分でしていた 類まれな才媛である

「さすがだったね」 まさにそういうひとだったから
失礼は承知の上で「未邂逅なれども畏友」
あるいは「未邂逅なればこそ畏友」
広言するつもりはないがそう思うのである
忘れ得ぬひとが またひとり去っていった




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by touseigama696 | 2019-01-19 21:54 | ●畏友交遊 | Comments(8)
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今年もまた1月17日がめぐり来て
それが24回目の1月17日だとテレビが告げている
あれは1995年(平成7年)の早朝5時46分のことだった

未曽有の阪神淡路大震災の朝
テレビのモニターに映る想像を絶する悲劇を
身じろぎもせず呆然と見つめたのを覚えている

この年以降 毎年今年が何回目の1月17日かを
知らされながらこの朝を迎えてきた
そうすることが
この大災害を風化させないためのクサビなのか
それとも
いつまでたっても哀しみから逃れられないトラウマなのか
当事者でなければ分かりようもない切なさに狼狽えるが
それでも「今朝」はまたやってきて祈りの一日が始まるはずだ

偶然でしかないが
24年前のこの日を遡る一週間前
私は生まれて初めて陶土に触れて陶芸を始めた
52歳の新年だった

毎年今年が何度目の被災日かを知るたびに
それが私の陶歴そのままと承知してなお
晩学の陶芸に夢中になれる身の安寧を
有難いことだ思い続けてきた
あまつさえ
キャリアの殆どをプロとして過ごせた幸運は
望外の悦びだった

今年で24回目 口にせずとも
来し方行く末を思うことも多い
走馬燈のように回り続けた歳月が
私にめぐり合わせてくれた幾つもの思い出は
想定内とは言えない人生の
その不思議さを何度も重ねてきた
だから誰に云うでもなく
全ての偶然に唯々ひたすら感謝なのである
あの日に命を奪われた多くの被災者の
ご冥福を祈ることも
この陶歴と重なる日々の義務だと思うからだ

新年早々の一週間
気管支炎の苦しさに悩まされているが
めげずに工房に戻ろう




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by touseigama696 | 2019-01-17 12:06 | ○未分類 | Comments(2)

こんな勝ち方初めて見た

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気管支炎でダウンしたのをこれ幸いと
全豪に出場した錦織圭の第一戦をTV観戦した

相手はポーランドのカミル・マイクシャク選手
世界ランク176位とある
世界ランク9位で第8シードの錦織圭選手に対して
予選3戦を3勝してやっと本選の一回戦に出場したマイクシャク選手
ここだけ見れば彼我の差は峰ひとつふたつの遥か彼方
直近のブリスベンで優勝し気を良くしてる錦織クンの敵ではあるまいと
勝ち戦を期待しながら眺めていたら
餌食になっているのは錦織クンの方ではないか
2セット連取され風前の灯火になった

自分がブレイクポイントを握った時は勝ち切れなくて
逆にマイクシャク選手に握られるとあっさりセットを取られる
時々見せる錦織クンの悪い癖で諦めかけた
勝つためには後の3セットを全部取らねばならぬ
この勢いのマイクシャクに3連続は叶いそうにないと思った

3セット目に入ってすぐトイレから戻ってみると
コート上は異様な雰囲気になっていた
瞬間的な怪我でなら分かるが そうした事故もなしに
マイクシャク選手が右手首をゆすったり
脚をひきずったり異変を訴えていた
しかし試合は続行していたから
殆ど動けないままに3,4セットは錦織クンがとった

普通ならリタイアしてた筈だ
しかし2セットアップであと1セット
息絶え絶えの錦織クンにもう一息で勝てる
何とかしたかったんだろうと思うが
こんな試合は見たことがない
ついさっきまであれほど自在だった足と手が
まるでピノキオみたいになってしまったからだ

しかしやがて分かってきたことがある
マイクシャク選手も自分で気づいていなかったんだろうが
錦織選手が必死で活路を模索して返すボールに
更にそれを凌駕しようとしていつの間にか
筋肉の余力を使い果たしてしまったのだ
心肺はもっても筋肉はもたなかった
錦織クンが必死になった2セット分のボールを
完全に凌駕した返球は3セット先取の試合では足りなかったのだ

圧倒的に勝ってた試合も
3セット取れなければ勝利にはならない
ストロークには負けたが勝利に必要なスタミナと筋力で
結局錦織クンが勝った 戦わずして勝ったことになる
こんな勝ち方もあるんだ しかもそれも充分ありである
肉を切らせて骨を切る まさに死活を越えた死闘だった

それは
マイクシャク選手のプレー後談で
「次回は3セット分のスタミナを準備して戦います」
この言葉に現れている
負けている試合を投げず挽回を図るたの本気が
マイクシャク選手を自爆に引きずり込んだともいえよう

実はランク9位とランク176位の間に
天地ほどの差はないことが判る
トップテンに到達するための暫定位置みたいなもの
600位くらいまでいる世界の選手たちは
極めて過酷なツアーを回りながら
僅差でトップテンを狙っているのだ

「もうちょっと楽な勝ち方してよ!」
そう言いたくもなるが
到底そんなもんじゃない熾烈な戦い
さすが錦織!good Job!と賛歌である


余談だが
今日のテレビも実況解説をはずして見た
だから身びいきな解説に邪魔されず
自分で判断しながら見れる
そうしてみて予感することがひとつ


この全豪で或いは今年中のグランドスラムで
もし錦織クンが優勝したら まず間違いなく
今夜の試合に崖っぷちまで追い込まれた恐怖と
運命的なタイミングで勝ちにつなげられた5セットの冒頭
一本のショットがマイクシャク選手の神経に痙攣を起こさせた一瞬が
最大のモチベーションの筈だと思う

錦織圭クンのテニス人生の決定的な分岐点を
今夜の試合の恐怖と絶望と奇跡と歓喜と定め
できることなら
2019全豪オープンの優勝者に名前を刻めと言いたい
残り少ない絶好のチャンスだと思うのだ





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by touseigama696 | 2019-01-15 17:21 | 〇スポーツ | Comments(4)

老いたる恐竜の悲哀

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気管支炎3日目
咳と胸のザワツキ以外は
さして気にならなくなったが
激しい咳き込みは疲れる

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ふた昔ぐらい前なら
風邪ひいてること分かっていても
余ほどの高熱でもない限り
そのまま起きて仕事してりゃ治った


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寝込む前日
PCが意識不明なっていたから
shuちゃん来てくれるまでおとなしくしてろ!
と言い捨てて工房に入り 少々まとめて仕事したら
寝込んだのは私になってしまった
実に情けない始末なのである

いつだったか
恐竜物語みたいな番組が
地球上では滅ぶのは恐竜からで
蟻みたいな小粒は簡単には滅びないって言ってた
これ確かに言えてる

私は恐竜ではないが 喜寿にしては図体がでかい
そんなこと考えたこともなかったが
寝込んでみると たった二日でも
立つとよろめくほどに筋力は落ちてる 
あと一週間も寝込んだら息も絶え絶えになりそうだ 

こんなときって実に深刻に悲哀を感じる
例えば
ジャムの瓶詰の蓋が開けられないって
妻に言われればホイっと開けて見せ
まだ力はあるとほくそ笑むが
このとき妻は自分では開かないことに
なんの悲哀もない
力がなくても当たりまえで通るからだ

図体のでかい奴が非力を味合わされる機会は
日に日に増える
70㌢の大皿ってまだ挽けるだろか?
決して自信はない

  
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史上最大の恐竜はアルゼンチノサウルスというらしいが
イラスト画を見ただけだけでも
一度寝込んだら起き上がれなかったろうなと思える

ジャム瓶の蓋は外せても
寝ころんだ自分が自力では立ち上がれない事実は
恐竜にはいい知れぬ哀しみに違いない

恐竜は戦った武器によって死ぬのではない
立ち上がれない哀しみの中で死んでゆく

風邪のせいかややメランコリックな気分だ





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by touseigama696 | 2019-01-13 12:02 | ●工房便り | Comments(8)
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以前にもご披露したけど
これレントゲン写真で撮った花
専門家のドクターが撮ったから
さすがに見事である
でも誰もがやれることじゃないから
注意書きつけとこ!
(素人さんは真似しないように!!
真似できる人っていないかぁ!)

一昨日の夕方からどうやら風邪ひいた
嫌な予感がしたが夜には案の定で喉に来た
勿論多少の手持ちの薬を飲んだが手遅れだった
昨日の朝から今日の夜までベッドでおとなしくしてた
この寝てしまうというのが私には好いのやら悪いのやら
体中の関節がミシミシ音を立てて固まってゆく

さっき夕食をとろうとして起き上がったが
直ぐには立てないほど痛い
おまけに力も衰えて最初の数歩はヨロヨロである
実に惨めなありさまなのだ

気管支が弱いこともあって
ちょっと咳き込めばざわざわ肺が嵐にさらされたみたいなのだ
この花の写真と同じに綺麗ってわけにはゆくまい

私は若い頃から余り風邪を引かない体質で
それはそれで助かったが
一度ひくとここから先が長いのだ
咳がとれるまで10日くらいかかることが多い
寝ていても仕方ないので起きて軽く仕事したりするが
やはり集中力に欠けるから長続きしない
なだめたりすかしたりで凌ぐしかないのだ

風邪はたいした病気じゃなくても
罹病中に衰える諸機能が怖い
年寄りは風邪一回で一ヵ月分体力減退
全麻の手術一回なら半年分くらい落ちそうだ
(私見につき根拠はありません‥ペコッツ!)
ともかく毎日普通に暮せることが何よりである

明日どう過ごそうか
 朝になったら考えることにした

皆さんもお気をつけください!




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by touseigama696 | 2019-01-12 22:26 | ○未分類 | Comments(2)

For example・・

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この「折々の折り」に触れて書いた一昨日
さて次はと更新するつもりになった途端
私のPCは気絶してしまった
何が悪くてだか 電脳音痴の私に分かる由もない
昨日の晩 それこそ119番の電話で駆けつけてくれた
ここではお馴染みのPC家庭教師shuちゃんのお陰で
あっという間に息を吹き返した

勿論shuちゃんが凄いのは判っているが
同じ程度に・・私の電脳音痴もひどいもんだと
いささか自虐に苛まれもしたのだった
その顛末は 近々に別項で書かねばである
だから今は触れずに本題に戻ろう 
=閑話休題=

数日前にアップしたこの写真は
折々の折りの目次である
2004年3月4日に「ファスナー」と題して書いた

この「折々の折り」でどんなこと書いてたのか
チラッとプレイバックしてみたくて読んだ
案外真面目にと書いたからには
ほんとにそうか検証してみようと思ったのだ

私にしては大いに真面目な一文だと
密かに納得してここに再掲してみたくなった
時々使う「使いまわし戦法」 困ったたら「折々」である
For example・・例えばと思っていただければだ

原文は少々長いので端折ってリライトしてみた

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『ファスナー』 2004/3/4 「折々の折り」より

テレビで陸上競技大会などを眺めていると 選手は
自分の番が来るまでジャージーなどを着用して
一回の試技のために何度も着脱するのを見るが
幾つもあるファスナーがサラッと走る
いつもあれには感心して実にアスリーらしいリズム感に見える

というのは
私の場合部屋着に使うフリースベストの類ですら
ファスナーはその度に悪戦苦闘で挙句に脇の縫い目を噛んで
にっちもサッチもいかなくなるのだ
ジャージーが脱げなくてスタートで失格
私に限っていえばそれもありだと思う

身体が硬い 体が痛い
だからファスナーが真っすぐ走らない
あっという間に脱線して回りの草を噛むわけだ
相性が悪いと言えばそれまでだが
だから基本的にファスナーは好きじゃない


ところでファスナーといえば妙な事を思い出す
大分昔のことだが夏の暑い日の電車の中
中年のオッサンがいい気持ちで居眠りしてた
その隣に座っていたのが私だ

目の前に若い女性が立っていた 暑い日だったから
つり革が汗で濡れて気持ち悪かったんだろう
白いハンカチを巻いて握っていた

やがて電車が揺れた途端思わず手が離れ 
白いハンカチはオッサンの膝の上に舞った
居眠りしてるオッサンは気づかない
ところが落ちたとことがどうも具合が悪い
ふと見ると間の悪いことにファスナーが半開きなのだ

女性は拾い上げるのに躊躇った 無理もない
なら私がと手を出そうとした瞬間オッサンの目が覚めた
気づいたらモジモジした若い女性が目の前に立っている
唐突に寝ぼけまなこが何やら異常を感じたはずだ
半開きになった自分の股間に白いものが見えて更に大慌てだ
あっという間にそのハンカチはファスナーの中にしまい込まれた
ワイシャツが飛び出してるとでも思ったに違いない

事情を説明するにもどうもバツが悪い
判ったところでもう一度ファスナーを下ろして
取り出して返すわけにもゆくまいし
そうしたところで女性を戸惑わせるばかりだ
黙ってることにした 女性も何も言わなかった
だからそれはそこで一応終わったことになる

しかしよく考えるとあのオッサン帰宅してズボンを脱ぐとき
傍にカミさんがいなけりゃいいがと老婆心がもたげた
真夏のことだ もしかしたら香水が振りかけてあったやも
あるいはいイニシャルが刺繍してなかったろうか

股間から舞いでた白いハンカチ
後日談はそのオッサンしか知らない
ご無事を祈るばかりだった




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by touseigama696 | 2019-01-11 13:43 | ○折々の折り | Comments(0)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696