人気ブログランキング |

<   2018年 11月 ( 21 )   > この月の画像一覧

午前3時のコックピット

d0085887_08173458.jpg

午前3時のコックピット・・おおよそ毎朝の風景
起きてベッドメイクして・・体重測定 血圧測定 着替え
あとは6時半ころの朝食コールまでの間
読んだり書いたり・・気ままに過してる

どちらかと云うと直接照明よりも
ちょっと勿体ないが間接照明が好き
いま欲しいところだけ明るいのがいいのだ

今頃の夜明けは少し冷やりとしているが
パソコンの放熱のお陰でぼんやり温かいのもいい

d0085887_08175512.jpg

1960年代初頭
大学時代の頃だが・・この二冊を必携に
夜行列車でしばしば京都通いをしていた
庭を見にである
学生の趣味としては誠に渋い

何故?と言われて明確な答えはないが
今の京都を歩けば
名刹はいかにも名刹で敷居が高く
縄張りのこちら側しか歩けず見ることも不自由だが
往時の寺にはまだそこまでの構えもなく
極々身近に・・古刹が肌の温みを感じさせてくれていた

伽藍はいうまでもなく
本尊の仏にせよ関わる仏具といい
それらはもの言わず身じろぎもしないが
そうした中で・・庭は往時をそのままに呼吸をしている
庭師が手を貸す仕種を見ていると
床屋さんの椅子に座って亡父が生き返るような思いなのだ

季節が移ろえば・・装いも変わり
暑さ寒さが・・それぞれに別の居心地を醸す
巨石の庭石の9割が地中に埋まり
石組みとして見える景色は・・ほんの僅か
庭は・・作庭の時のままに姿は変わっていない
方丈の端に立てば・・腕組みした小堀遠州が立っている
指図する声が聞こえそうだ

「何度も大きな地震に晒されてきたけど
この庭石・・ピクリともしてないんだよ」
腰掛けられそうな小石も・・堀り起こせば背丈を越える
庭が生き続けるとはそういうことと聞いたのは
深泥の圓通寺でのことだった

大きな筏の水面下に縄で括った巨石を四国から運ぶ
今では考えられない荒仕事だが
それも人知のひとつ・・庭の命も逞しかったようだ

寺門の開くのを待ち・・庭を訪ねて歩いた早朝の京都
あれから半世紀が過ぎたが
圓通寺の石も・・お隣の正伝寺の石組も
たった50年・・微動だにしていないんだろう

激変の世相とは別に・・その動かざる頑固に
どこかで拍手したい気分になるのだ

3時過ぎに起きたいつもの朝・・3時間ほど過ぎた
そろそろ朝食コールがありそうだ
これも動かざること・・いつものままにである





応援しくださる方・・クリックしてね

by touseigama696 | 2018-11-30 06:29 | ●エッセイ | Comments(0)

よもや・・あれが原因?

d0085887_19551991.jpg

この痛み1年ほど前から続いていた
いささか苦痛で医者にかかった
9月末のことだ・・2ヵ月になる

今日・・担当医は「治癒!」と言った
「でも座りっぱなしを避けて・・30分に一度は
立ち上がったりして姿勢を変えてくださいよ
再発防止だからね」

まるで腰痛のように思われるかもしれない
どっこい違っていた・・我が人生初めての疾病
何と・・診断名は褥瘡だったのだ
これでジョクソウと読み・・床ずれのことである

尾てい骨のすぐ下あたり
最盛期には座るのも厄介なほど痛かった
しかし・・あせもを化膿させたくらいにしか考えず
褥瘡とは正に想定外だった

普通は・・長期にわたって寝込み
体位変換ができないか・・怠ったりするとできる
ふり返ってみても
寝込むどころか・・夢中で仕事した去年の慌ただしさ
床ずれとは・・誤解を生みそうな話じゃないか

しかし・・待てよ!
あの必死の秋が床ずれの原因になるとすれば
理由はひとつで・・納得するかもしれないのだ
つまり
寝(ね)込んだではなく・・座(ざ)込んだ(こんな言葉ない?)

去年の6月
新宿柿傳ギャラリーで個展を開催させていただいた
出品した100点余りを作るのに・・1年半を費やしたが
会期後の追加のご依頼は60点ほど
それも3カ月以内を心がけたから
そこから先は・・座込みだった

ロクロを挽く時間は立ったり座ったりだが
糸を貼りだしたら・・殆ど身動きもしない
座りっぱなしは連日早朝~深夜に及んだ
真夏の盛りでもあり・・あせももできたはず
きっとあれが・・床ずれの原因だったに違いない

しかし・・もしそうだとして
一所懸命仕事してできた床ずれは
暇座りでできるより・・遥かに有難いことである
褥瘡ができるほどの・・あの集中と根気は
もしかしたら・・今では自信ないかもしれない
してみると
僅かに残っている褥瘡痛・・治さずにおこうか
せめて自戒の目印に


写真のボートは・・シングルスカル
これならお尻が滑るから・・床ずれなしかな?
こじつけの写真でした




応援しくださる方・・クリックしてね

by touseigama696 | 2018-11-28 23:27 | ●エッセイ | Comments(2)
d0085887_06092107.jpg

教室をやめて大きな棚を取り払ったら
少し広々した工房は・・音の響きが変った
それに終日独りっきりなので
音楽が楽しめそうだと気づき
長いこと倉庫に眠らせてあった音楽CDを
工房に復活させることにした

クラシック・ジャズ・ポップス・色々ある
コントラバス・ソロのゲリー・カーや
独特なムードが好きなノラ・ジョーンズの歌
ウィントン・ケリーの
身体に心地よいスウィング・ジャズ
懐かしいCDが溢れてきた

d0085887_06093723.jpg

但し・・工房はメカには大敵
微粒子の削り粉が飛び交うからだ
音響装置は絶対に長持ちしない・・多少我慢して
消耗が激しくても許せるラジカセで聴くことにした

ガランとした工房は
結構響いてくれて・・そこそこ楽しめる

d0085887_06094674.jpg

昨日も・・静かに仕事の続きを続けた
「独っきり」を武器にした過ごし方
これから大事なのは・・きっとこれ
年が明ければ私も77歳・・喜寿である
少しは気儘にしたくなってきた

その意味で・・イメージ的になら
『所ジョージの世田谷ベース』がいい
色々なものがごちゃ混ぜだが
そのカオスの中に彼の美学があって・・共感できる

ここにいれば・・一日飽きず
集中と散漫の混在が程よい居心地を醸す
そんな晩年最終章が楽しめたらな・・と思うのだ

「Kamada Tetsuya」は「窯だ!徹夜」のままに
私のハンドルネームのひとつ
これも復活させて
「Kamada Tetsuyaの桃青窯ベース」
どうだろ?
勿論・・陶芸が軸なのは言うまでもないが




応援しくださる方・・クリックしてね

by touseigama696 | 2018-11-28 08:08 | ●お気に入り | Comments(0)
d0085887_08143815.jpg

独特で個性的な造形
勢いとか気合いで挽くような造形は難しい
そう思いがちだが
いわゆる何の変哲もなく
丸くて真っすぐな切立ちの小鉢
案外こっちが難しい

簡単に見えるものに手こずり
難しそうなものがそうでもない
ロクロの世界ではしばしばあり得ること
皿で手こずり・・蓋つき手つきのポットが
ありゃ!作れるじゃん!・・でびっくり
教室でときどき見かけた風景である


d0085887_08171696.jpg

これは手こずる方のひとつ
一個作るだけならまだしも
これを50個となればサイズだけでなく
姿かたち・・それに雰囲気も揃えねばならぬ


d0085887_08150053.jpg

基本が問われるところである
晩学陶芸の弱みは・・そこらへんで痛感することもある
身についてるものは
ロクロの前に座った時間に比例もするから
記憶メカで例えれば
海馬から大脳皮質にどれだけの基本を送り込めたか
そこが問われるのである

天才長嶋選手が大学時代
名将砂押監督の許で繰り返した千本ノック
あれで培った基本は
多分100年経っても生きてるはずだ

千本ノックの効果は・・950本から先にある
砂押監督は長嶋選手にそう言った
50個の小鉢の良さは・・950個挽いてからだ
そう言われてるみたいではないか


d0085887_08153950.jpg

去年の今頃
個展で追加注文頂いた作品を全て終えて
ほっとすると同時に
かねてから抱えていた爆弾だが
肩の腱板断裂に伴う激痛に悩まされ
しばらく休養せざるを得なかった時間のツケを
思い知らされながらの昨日今日
手が覚えているはずの基本的な流れを
思い出すために集中し始めた

心身ともに劣化の激しい古希以降
不安もあるが・・やはり挽くことが全て
案ずるべからず・・ひたすら挽くべしなのだ
少しづつ・・手から返事がきて
「あかぎれ覚悟しとけよ!」・・だそうだ





応援しくださる方・・クリックしてね

by touseigama696 | 2018-11-26 09:16 | ●工房便り | Comments(4)

日めくりに

d0085887_22120635.jpg


日めくりに約束もなし秋桜 哲郎
ひめくりにやくそくもなしあきざくら


d0085887_22124698.jpg


病院を辞めて陶芸に転じたときにも感じたことだが
手帳に空白が続いて・・それが心地よくもあり
また淡い寂寥にもつながっていた

ひとは・・しばしば約束の多寡で人生を占う
約束を失うことは怖いのだ
同時に
過剰な約束で失う別のものに気づかないのも・・怖い
「自由」・・それもひとつである

コスモスを見ていると・・妙にこの言葉が頭に浮ぶ
いつでも風まかせに生きてるように見えるからだろか





応援しくださる方・・クリックしてね

by touseigama696 | 2018-11-25 04:54 | ●俳句 | Comments(4)

我が家のギャラリー

d0085887_04561752.jpg

我が家の玄関ホールには・・3枚の写真が掛けてある
お気に入りの作品で
この家が出来た時から・・これにしようと決めていた


d0085887_04565175.jpg

花の写真である
3枚とも同じモノトーンで額装した

先日来客のおひとりから
「これも・・糸抜き技法の作品ですか?」
とお訊ねがあった
なるほど・・そうも見えるかと
改めて見直したら・・確かに!
出来なくはなさそうだが・・難しそうだ
でも試してみるのも悪くないかな

d0085887_04573543.jpg

実はこの写真・・花をレントゲンで撮ったもの
だから葉脈が浮き上がって糸抜き風にみえるのである


d0085887_05100207.jpg

作者はアメリカのお医者さん
専門がレントゲンで・・本業の傍ら
花を患者に骨粗鬆症の検査でもしていたんだろか
死んだ親父の友人で
署名入りでいただいた本に収録されている

『THE SECRET GARDEN』
見事にレントゲンの本質を見抜いたタイトル
さすがに化粧で誤魔化すことはできないが
そこは花もさるもの・・レントゲンで撮っても実に綺麗である


d0085887_04575569.jpg

多分親父が死んでからだと思うが
この本の表装を解いてバラバラにした
額装して飾りたかったからである

100枚の花が印刷で収録されているので
色々なタイミングで掛け替えることもできる


d0085887_05221707.jpg


そういえばと考えて見てみると
この本の装丁は・・片面印刷だし
花の名前は入れてあるが・・キャプションは何もない
バラせば一枚の写真になるのである

もしかしたら作者が額装を望んでおいでかもしれない
本のままでは扉を開けてみない限り・・人の目にふれないが
額装すれば我が家の来客の誰の目にも届く
折角だから素敵なこのアイデア・・見ていただきたいのだ


d0085887_04581675.jpg

丁寧に解いて・・予備軍にしてある
コスモスもほほづきも・・今の季節によさそうだ

殊の外本を大事にする親父だったから
著者贈呈の本を壊すのは躊躇ったが
意のあるところは理解してくれるに違いない

「オレの部屋にも一枚届けてくれ!」
冥土から聞こえてきそうだ




応援しくださる方・・クリックしてね

by touseigama696 | 2018-11-24 05:52 | ●お気に入り | Comments(0)

魂柱ありてこそ

d0085887_20581412.jpg

ヴァイオリン音楽が大好きだが
同じように楽器としても好きだし
木工アートとしても大好きである
美しいのは音だけじゃない
姿だって完成された美である
このヴァイオリンは私が子供の頃使ったものだ
もう弾けないが今でも大事にしている

この形になってから400年
ストラディヴァリウスに代表される古楽器も
今でも新しく作られる現代楽器も
姿に殆ど違いはない・・改善の余地なしなのだ


d0085887_20584151.jpg

ヴァイオリンの表板は松

d0085887_20585614.jpg

裏板は楓(かえで)である

表裏で材料が違うのは音の響きをよくするためで
長い歴史の中でこの組み合わせになった

しかし
松と楓で作ればそれでいい音というわけじゃない
この全く性質の違う素材を同調させるには
大事な仕掛けが備えてある

d0085887_20592376.jpg

魂柱といってヴァイオリンの内側で
表板と裏板をつなぐ小さな柱のことである

この画面の中央
fの字の形を模したf字孔の中の真ん中に
垂直に立てたバーが見える
これが魂柱である
これなしにはヴァイオリンは鳴らない
だから「魂」なのだ

性質の違う二つのものを何かでつなぐと
同じもので作るより優れたものになる
とても暗示的だと思う

人間同士にも必要な柱じゃなかろうか
親子・兄弟・友達・恋人・夫婦
どんなに傍にいてもそれぞれ別々の素材
響きを良くするために・・ふたりの間にも魂柱がほしい

人間の場合・・多分それが「愛」だ
如何に異質の個性でも・・愛があればきっと良い音が作れる
そして魂柱と同じで
表裏の板でただ挟んでいるだけの脆さ
乱暴すれば倒れてしまうから
互いに大事に扱う必要もある
愛もまた・・そういうものなのだ




応援しくださる方・・クリックしてね

by touseigama696 | 2018-11-22 21:50 | ●お気に入り | Comments(4)

工房の再起動

d0085887_06275466.jpg

形と大きさは少し違うが
この麦藁手の那須紺盆栽鉢
盆栽作家の岸本さんとの約束もあるから
いつまでも工房の片づけばかりとはゆかない


d0085887_22410972.jpg


この数日必死で工房再起動に取りかかり
何とかロクロを挽けるところまで漕ぎつけた
以前に比べれば全体が狭いなりに
それでも広さを取り戻して
自分の仕事をするには都合は良さそうだ

早速盆栽鉢の制作にかかった
久しぶりのロクロは
すぐにはリズムがとりにくい

しかし挽いてるうちに勘が戻ってくる
手始めの幾つかは削って捨てることになるが
それがウォーミングアップだ

d0085887_22412285.jpg


11.0㌢×11.0㌢×6.0㌢ トンボを使って挽いた
収縮を計算に入れての大きさがこれである
明日からペースをあげてゆかねばである

挽きはじめればロクロはやはり楽しい
形もよくなってゆくに違いない





応援しくださる方・・クリックしてね

by touseigama696 | 2018-11-21 23:09 | ●工房便り | Comments(0)

隣りの展示室で・・何と

d0085887_20403620.jpg


今日(11/20)から始まった第14回伝統工芸陶葉会展
千葉県立美術館での初日でしたが・・私の当番日でした


d0085887_20405215.jpg


かろうじて間に合った三点を出品しましたが
自分のこととは別に知らずにいてびっくりの出来事がありました
今日はそちらの話題に・・


d0085887_22114427.jpg
         中山忠彦--永遠の美を求めて 画集より表紙絵


ホールを挟んだ隣りの展示室で
それも三室ぶち抜きの大空間に
華やかな大作がずらりの・・この展覧会
「中山忠彦--永遠の美を求めて」
が開催されているではありませんか

千葉県立美術館の主催によるこの企画展は
11月3日に始まって・・来年1月20日までの会期
当番が終ってから早速鑑賞しました


d0085887_20433200.jpg

私の手元にある図録は三冊
1985年・2008年・それと2018年開催分
勿論開催されたもの全てを見ているわけじゃなくても
この規模は毎年のように開かれる展覧会ではありません
チャンスを見逃さずにすんでラッキーでした


d0085887_20442089.jpg

中山画伯の画歴のコンセプトには大きな柱があります
一貫して良江夫人がモデルを務め
ヨーロッパのアンティークなコスチュームを纏って描く
長いことこのシリーズの大作を拝見してきたものです

絵画もまたあくなき美を求めて遥かな道ですが
多くの場合賛否分かれるものもある世界
しかし・・中山先生の絵は
百人見て百人が是とする美しさに溢れているように思います
この絵が掛かっていて困る場所は何処にもない
そんな思いで拝見してきた半世紀なのです

途中からそのコスチュームやアクセサリーの小物を含め
ご夫妻でヨーロッパで蒐集されるようになり
そのコレクションも盛名を馳しておいでです
今回の展覧会でも展示されていますから
見事な衣装を見ることができました


d0085887_20444495.jpg

実は中山先生ご夫妻は
我々夫婦の旧宅時代お近くだったので
多少のご縁があっておつき合いいただきましたが
お二人とも気さくなお人柄
大家の素振りをお見せになるようなこともなく
とても穏やかなご夫妻なのです

まだ私がテレビに関わっていた頃
小さな番組でしたが
個性的な生き方のご夫婦を取り上げる番組で
先生のアトリエで取材させていただいたことがあります

その頃も良江夫人がモデルで
天井の高いアトリエに大きなイーゼルを立て
当時でも素晴らしいオーディオ装置で
バロック音楽を聴きながら
静かにゆっくりとした時間を取材したことを思い出します

日本洋画壇の重鎮として
今もご夫妻でご健勝にお過しと聞きます
ずらりと並んだ良江夫人の大作画を拝見し
久しぶりにお目にかかった気分なのでした

帰宅して妻に仔細を話し
あらためてふたりで鑑賞に赴くことにしたのでした




応援しくださる方・・クリックしてね


by touseigama696 | 2018-11-20 22:28 | ○展覧会 | Comments(0)

薔薇が薔薇であるために


d0085887_15162905.jpg


写真を撮るとき・・ふと思うこと
薔薇が薔薇であるために
花弁のシルエットの全てが鮮明である必要はない
狙いすました数本のラインが
オブラート1枚の薄いスライスの中で
鋭く自我を主張してくれたら
薔薇は薔薇以外の何にも変身したりはしない

茫洋としたソフトフォーカスの厚みの中に
オブラート1枚のピントをつくる
それが薔薇の薔薇たるコアなのだ
もしかしたら・・人間の生き方にも言えそう

1枚のオブラートが作れれば
あとはぼんやりしてる方が多分暖かいよ





応援しくださる方・・クリックしてね


by touseigama696 | 2018-11-19 06:09 | ●エッセイ | Comments(2)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696