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カテゴリ:●工房便り( 877 )

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去年の秋 
20年続けてきた陶芸教室を閉じた
散々思い悩んだ末の決断だった
春先の入院がきっかけだったかもしれない
ともかく急速に劣化してゆく体力に
自分でも少し呆れた
でもそれが目の前の出来事なら受け入れるしかない

そして体は楽になったが 一方でふと曜日を見失う
いつもの仕種 例えば
教室に模様替えするための掃除が
明日が何曜日かを教えてくれていたのだ


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しかし明日のために片づけねばという
プレッシャーはなくなった
だから 工房はドッ散らかったままでもいい


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一人で4台のロクロを使ってもOK
1台を掃除して使いまわす必要はない
今やってることに集中できるってことなら
実に有難いことだが 散らかったままが広がる
何処かでは帳尻を合わせる必要があるが
でも独っきりの気儘はやっぱり楽である


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今日も挽いたり削ったり そして貼ったり目一杯働いた
だからいつものように散らかった
片づけるのも億劫だ


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子どもの頃
我が家の目の前はお豆腐屋さんだった
そこにイサムちゃんという男の子がいた
私よりひとつ年長だったが仲良くしてた

今も一緒だが私は片づけるのが苦手
勉強机の上はいつでも散らかってた
でも夜になるとイサムちゃんが我が家にやってきて
私の机をきれいに片づけてくれるのだった
弟のように可愛がって面倒みてくれたのかもしれない
今思えば申し訳ないことだったが
イサムちゃんのお陰で
勉強机はいつもきれいに整頓されてた

今もしお隣さんだったら
また面倒みてもらえるだろか?
元気なら今年78歳

「お~い!イサムちゃ~ん!
遊びにきてよぉ~!」


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今日 この皿のための桐箱が届きました
箱書きして納品します
多謝です



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by touseigama696 | 2019-08-20 06:37 | ●工房便り | Comments(1)

小さくても「大器」



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新着のサルスベリです



『家は十坪に過ぎず庭はただ三坪
誰か云う 狭くして且つ陋(ろう)なりと
家陋なりといえども膝を容るべく
庭狭きも碧空仰ぐべく 歩して永遠を思うに足る

神の月日はここにも照れば 四季も来たり見舞い
風 雨 雪 霰(さん)かわるがわる到れりて興浅からず
蝶児来たりて舞い 蝉来たりて鳴き
小鳥来たりて遊び 秋蛩(しゅうきょう)また吟ず
静かに観ずれば
宇宙の富はほとんど三坪の庭に溢るるを覚ゆるなり』

             徳富蘆花「自然と人生」より


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中学生の頃覚えた蘆花の一節
今でも暗唱できる

どんなに古い家であれ 
膝が入れば住まうこともできるし
たった三坪の狭い庭であっても
立って碧空を仰ぎ見れば
永遠を思うに充分な広さである
そしてそこには
宇宙の富の殆どが溢れているのに気づく
そんな意である



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盆栽作家 岸本千絵さんと
「盆」と「栽」でコラボするようになって
改めてこの名文を思い出すことが多い

平たく言えば
盆栽は鉢植えの樹木
盆は大地を鉢に置き変えた器
小さいけれど大きな大きな器なのだ

小さい器を作るとき
忘れてならないのは
もしかしたらこのことだと思う




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by touseigama696 | 2019-08-04 05:40 | ●工房便り | Comments(4)

Bon voyage!

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このギャラリーをお訪ねした一昨日から真夏が始まった
那須紺に涼味を求めたことを昨日書いたが
梅雨寒の日が続くより
喉が焼けるような灼熱も悪くないと
密かに思ったりもしたからだ


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作品を取り扱ってくださることになって二日目
センターテーブルに特設コーナーを設えた如く
那須紺が並んで涼し気に
Bon voyage! である



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夕方 庵主さんからLineで
私と旧知のブロガーさんも来てくださり
更にお買い上げがあったことも
或いはアメリカ人の来客が
片口の酒注を珍し気にお持ち帰りになったことも
知らせてくださった

始りに20点ほど搬入した作品の
半数近くがお買い上げになったとか
びっくりではあるが
同時にこの庵主さんには
そうした確かな力があると思えている

売るということにも技術はあろうが
技術だけでは片づかない人間的な魅力が
お買いになる客にもだが
作る作家にもヒシと伝わってくるのだ

また一期一会ができた
息の長いおつきあいができるよう
一所懸命ロクロと向き合うことにしよう




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by touseigama696 | 2019-08-03 02:24 | ●工房便り | Comments(4)

糸と茄子紺

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今日の窯から出てきた一枚
木賊の市松紋様です
この皿を含めて20点ほどのひと窯
全ては那須紺に染めた器たちでした


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先週書いたリモージュの青の話
豆皿3枚とカフボタン うろ覚えですが
50年もの昔
多分パリの蚤の市で買ったものの筈です

那須紺とはまた僅かに違う青だけど
リモージュの青はとても好きです
そして根拠があるわけではありませんが
このリモージュの青
小さいものの方が似合うような気がします



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小ぶりな飯茶碗
食欲を失くした真夏に清涼感を求めて
小ぶりもその一翼のつもりです

昨日のひと窯は訳ありで
一か月足らずで仕上げた作品ばかり
ロクロだけならさほどではありませんが
糸を貼るのはやはり手間取り
久しぶりに根を詰めた2週間でした

異常な気象もあって
乾くものやら乾かぬものやら
些か不安な日々でしたが
無事に焼きあがってくれてほっとしたのでした




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by touseigama696 | 2019-07-30 20:54 | ●工房便り | Comments(0)

そもそも論は・・



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私の陶芸の「そもそも論」に触れると
こんなことなのです

偶然のように出会った糸状テープを
大皿に貼りめぐらして波紋様をつけたのが
「糸抜き波状紋大皿」

それもかれこれ20年になる
今となればライフワークでもあります


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大きな公募展への出品を繰り返したのはこれです
その傍ら 個展などを通して糸抜きの技法を
実用陶器に生かして作品にしてゆくようになったのは
ある意味当然の帰結だったかもしれません



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30㌢足らずの板皿に
同じ波紋を打って
刺身皿で使っていただくもよし
そんなつもりで久しぶりに
「糸抜き波状紋四方皿」を作ってみました
数日中の本焼きに耐えたら
お約束の搬入に加えます



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20点ほどを予定していますから
少し余分に作ってはいますが
陶芸は窯から出るまで
盤石の自信や確信の乏しい仕事



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窯の扉を開けるまで
不安がつきまといます


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そのせいもあって
ギリギリまで二の矢を準備しますが
これもその一つです
 ロクロ挽きした20㌢強の皿の
二方をカットして長方皿に様変わりさせ
木賊紋を打ってみました


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今回のシリーズは全て茄子紺で焼きます
焼けばこうして濃い藍に染まりますが
那須紺の原料になるコバルトに
添加材を加えたりするとグレー化して
白土では案外汚れが目立たず
窯だしして気づく羽目になりかねません
しっかりと手入をする必要があって
バリの補正と汚れ掃除で目が疲れるようです

大した事してるつもりはないのですが
一日はあっという間だし
その間にできることは少なく
座り続ける腰の痛さだけが残ります

そもそも論にもどれば
こんなことなら
もっと何を持っても軽くて
手指にあかぎれも出来ず
作業服を着ずとも汚れず
大量のゴミ整理に悩まされることもなく
冬の釉瓶の冷たさ 夏の窯場の灼熱と無縁に
座り心地の好い椅子で快適な日々

そんな仕事につけばよかったと
密かに愚痴ったりの日々なのです




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by touseigama696 | 2019-07-26 09:00 | ●工房便り | Comments(2)

孤独なる戦場

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直近の2週間 僅かな約束を除いて
殆ど工房に籠り切り
朝食を済ませたらそのまま工房に入り
凡そ午前0時あたりまで
ひたすらに糸貼りに明け暮れている


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お約束は20点ほどだが
糸貼りに手のかかるものを選んだ
それでいて出来るだけシンプルがいい
余計なことはしない方がいい


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久しぶりにタタラの板皿
25㌢の四方皿である


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20㌢ほどの花入れ
フリーハンドで麦藁手に貼ったもの


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同じ麦藁手の中鉢
根気頼りの細か紋である


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カップ&ソーサー
ハンドルなしにすれば
珈琲でも茶でも使えるし その場合
ソーサーは菓子皿でもいい



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これは飯碗
少し小ぶりにして時代に合わせている

昨日焼いた素焼きが今日には窯から出せる
午後からまた糸貼りを続ける予定
今月いっぱいは工房に籠り
ここは孤独な戦場に化すこととなる

年々劣化の一途をたどる筋力と気力
時間をかけて繰り返すしかない
椅子に座り続けた尻が悲鳴を上げる
老いれば因果な仕事でもあるのだ

でもここにいるのは嫌いじゃない
それもまた因果である


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今回はすべて
この茄子紺のシリーズになる予定である
夏向けに涼し気を狙っている




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by touseigama696 | 2019-07-23 04:13 | ●工房便り | Comments(4)

テスト・ピースいろいろ

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ハンドルなしのカップ&ソーサー
新しく頂いたオファーに沿って
テストピースを挽き始めています


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20㌢強の皿
出来るだけ力強い作品をと心がけますが
乱暴でいいわけではないので
丁寧に進めてゆこうとしています


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これは粗削りの段階の飯茶碗
乾燥が進んだら仕上げ削りで補正します。


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少し大振りで片口の酒注の予定です
この一連の作品は
那須紺で糸抜きの木賊紋に焼き上げるつもり

使用粘土量や途中サイズも記録して
再現性を確保しながらのテストピースです



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焼きあがればこのタイプの器になります
このカップ&ソーサーは
ハンドルなしで作っています




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by touseigama696 | 2019-07-18 06:40 | ●工房便り | Comments(2)

新婚さんへのプレゼント

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新婚さん一家が工房にやってきたのは4月の末
幾つかの仕事が重なって手間取ってしまったけど
やっと焼き上げることができました

作ったのが新婚時代でも
差し上げたら銀婚式なんてことになったら
えらいことです(笑)もんね


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新婚さんに似合うようにと
色々工夫はしてみましたが
さて喜んでもらえるでしょうか


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ヒロインの遥さんは
雛に稀なるチャーミングな若奥さんですから
きっと日々の料理で使ってくれるでしょう


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白墨に線彫りして土の上を転がした繋ぎ紋のジョッキー
梅雨明けに間に合ったから
これからのビールの季節を
ご家族で楽しんでくださいな!


あの日のことは・・こちらでご覧ください



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by touseigama696 | 2019-07-17 08:01 | ●工房便り | Comments(2)

「唇」こそ命

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大きな鉢の大きな口
その作り方には一番悩ましい難しさがあります
公募展での評価の分かれ道のひとつです
唇こそ命・・まるで演歌みたいかな?


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暫く乾燥させておいた大鉢がこれ
昨日 この鉢の口縁部を作ったというわけです
もう少し丁寧にスクレーパーを当てて削るつもり


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昨日は本焼きの窯を焚きながら
少しロクロも挽きました
これはcup & saucerの予定です


朝の6時に火を入れた窯は
夜の9時に完了
その間ずっと工房にいて窯番をしながらの制作
そのつもりの工房籠りですから迷わず仕事ができて
一番落ち着いた一日です



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盆栽作家の岸本さんから
緋ネムの作品が届きました
渋い背景に緋色が綺麗です

岸本さんの作品は
器と共に・・の思いが伝わってきて
盆と栽の一体化が嬉しいものです

先日
「試しに鉢に糸貼ってみたら!」
彼女のサイトにそれが紹介されています
これもコラボです




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by touseigama696 | 2019-07-15 08:39 | ●工房便り | Comments(0)

昨日の続き・・

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加飾を続けた一日でした
花嫁が小学校4年生だったころを懐かしんで・・
少し可愛げに

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決して難しいことをしてるわけじゃないのですが
加飾に手間取ります
でも新婚さんへのプレゼント
楽しんで作っています
これはビールジョッキーなのでしょう


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糸貼りも定番通りで使います
彼の茶碗かな?


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これから釉薬を掛けて本焼きです


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もう少しなので待っててね!



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by touseigama696 | 2019-07-10 06:32 | ●工房便り | Comments(2)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696