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桃青窯696

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50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・

2018年 04月 11日 ( 1 )

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52歳で始めた・・私の陶芸
24年目の春・・晩学だが
それでもどうやら歩き続けてきた


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私の陶芸に・・師匠も教科書もない
手ほどきを受けた初心の3年が過ぎた頃
訳あって・・そこからは独学である

何人かの私淑する陶芸家の知己を得て
色々と助言を頂いてきたが
それでも日常の殆どは・・手探りで探した

しいて言えば
私の師匠は・・この「やきもの探訪」
NHKの番組である
そして・・これが私の教科書でもある

いつの頃だったろう
放映される都度・・録画して保存した
後に劣化をさけるため
VTRをCDにダビングして安堵もしたし
収納も楽になった
このファイル2冊に・・100編以上の
名工の日々が録画されているのだ

四半世紀の工房暮らしの中で
何度となく繰り返して・・見続けた
以前にも書いたが
見る度に・・新しい発見がある
それが学びだったが
同時に自分の進歩の証でもあった

「問題意識のないところに・・発見はない」
この教科書の・・第一の教えはこれだ
1回の放映で見たものは
画像に残された秘技のほんの一コマ
5回10回と見るうちに・・やっと
発見は二つ三つに増える
録画で見てこその教科書なのである
根気よく録画しておいたのは・・正解だった


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志野焼きの人間国宝「鈴木蔵」先生
美濃を代表する名工である


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薪窯でしか焼けなかった桃山志野を
ガス窯で現代志野に再興させた変革者である


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最初の頃は・・漫然と見ていたが
やがて二の腕の筋肉を拝見すると
その微妙な動きで・・力加減が読み取れる
そうしたことに目が行くのは
柔らかな線で形を成すには?・・への
問題意識が生まれてのことなのだ

下手は力に頼り過ぎる・・
二の腕の筋肉が・・教えてくれた

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はじめは・・手と器に目がゆくが
二、三度目には・・卓上のヘラに気づく
自作のものを・・どんな形で?
個性は道具の助けあってのこと
とても勉強になる

アカマツの柾目をナタで割いて
小刀で削って真似したこともある
「アカマツのヘラは脂があって
土が纏わりつかないから具合がいいよ」
どなたか別の作家さんの教えだった


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「ゆっくり焼いてゆっくり冷ます‥志野ってそれだけだよ」
先生は・・あっさりとそう仰る
しかし・・そのために6基の窯を築き
例えてみれば・・巨大な倉庫に大型の貨物車を1台埋め
その荷台に作ったワンボックスほどの小部屋で
さやに入れた志野が・・やっと姿になる
途轍もなく厚いレンガの壁がなけりゃ
ゆっくりとは焼けず
ゆっくりは冷めないのだ

もぐさ土と長石しか使わずに
それでいて1万片のテストピースがある
そのどれで発色を狙うか
先生の言葉の穏やかさの陰で
ゆっくり・・は決してのんびりではない


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丁度10年前の初夏
個展のあとだったろうか
張りつめていた緊張を解放したくて
ワンボックスの後ろにベッドを作り
シュラフを積んで
ぶらり当てなしの独り旅にでたことがある
多治見 瑞浪 可児 土岐 瀬戸 猿投 常滑
5日かけて古窯を訪ね歩いた
ホテルがみつかれば泊まるし・・なけりゃシュラフ
気ままな旅だったが・・その最初の多治見で
荒川豊蔵ゆかりの牟田洞古窯跡を訪ねた後

鈴木蔵先生の自宅工房に伺った
当てなしの旅でもあるから
先生とのアポがあってのことではない
だから
外から窯場の様子を拝見するつもりだったが
たまたま先生は
ご自分で玄関まえの庭の手入れしておいでだった

思わずご挨拶をしたが
日本工芸会の会員になれていたことが
幸いしてたのだろうか
思いがけずご自宅に通された

30分ほど色々話をお聞かせいただいた中に
ゆっくり焼いてゆっくり冷ます・・があったのだ

その後更に伝統工芸展の会合で
お目にかかる機会も増えたが
あの日の午後のことは
忘れがたい思い出になっている
ご自愛を願うばかりである

「やきもの探訪」の中には
無念だが・・幽明異境の作家もおられる
なおのこと
手許のライブラリーは・・私の宝なのである

そういえば
この回のゲスト・・俳優の神山繁さんも
既に亡い・・合掌である





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by touseigama696 | 2018-04-11 20:47 | ●エッセイ | Comments(0)