2008年 07月 05日
窯場探訪(3) 常滑 |

古窯気まま旅から戻って・・あっという間の一ヶ月
締め切りの迫った展覧会を目指して
大皿に加飾しながら・・あのゆったりとした数日を反芻している
・・古窯に流れるあのゆったりした時間を・・

昨年春の・・日本陶芸展大阪展に出向いた帰路に寄った丹波立杭に続いて
六古窯のひとつ・・常滑
やきものに関わりながら・・訪ねるのは初めてである

観光客相手の陶芸散歩道・・
昔ながらの常滑の風情を知ってもらおうという試み
江戸のやきものづくりをそのままにした
あの小鹿田の里とは・・少し意味はちがうが
古き常滑が垣間見える

観光だからといってしまえばそれまでだが
この陳列は・・少し寂しい
かつて出かけた信楽でも似たようなことを感じたものだが
由緒ある窯場が・・その由緒を輝かしくかかげるのは
もしかしたら容易ではないのだ
伝統と観光は・・簡単には融和しない
伝来の常滑焼き・・をそのままに・・が
時代の風にさらされた「みやげもの」になれるのか・・・?
難しいところだ

「ちょっと入ってもいい・・?」
前方に座して仕事している女性は手を振って断った
断られたけど・・この工房の風情は好きだ
照明にゆとりのなかった時代に
まるで木漏れ日のような光りの下で
いつもの営みが繰り返されているのだろう

既に火のくべられることのない窯跡が
町の随所にあって・・昔日を偲ばせているが
しかし・・ここは今でも由緒ある窯場なのだ

この散歩道のあと・・常山窯を訪ねた
数年前に他界された人間国宝山田常山さんの窯である
急須の名人だった・・見るからに美しい急須・・
常山さんのロクロを収録したビデオは・・
いつでも私の大切な教科書でもあった
四代目を襲名した絵夢さんと・・三代目の未亡人におめにかかり
しばらく話を伺った
常山さんの急須といえば・・それはもう羨望の道具なのだが
しかし・・その陰に潜む急須つくりの歴史的な悲哀
安穏な道ではなかったことを・・
しかし・・三代目の強い信念に一目も二目も置いて
言葉の端々に限りない尊敬の思いを計り知るのだった
伝統とは・・時代とともに変化すべきとしても
しかし・・生涯を貫く信念なしには継承できないものでもあるのだ
by touseigama696
| 2008-07-05 22:45
| ○窯場探訪
|
Comments(6)
さすがは伝統の窯場、雰囲気がありますね。
その陳列はかなりさびしいものがありますが...。
伝統をどうやってプロデュースして見せていくか、難しいところですね。
常山さんの急須、使ったことも手にしたこともありませんが、
無駄のない、美しい形ですね。
その陳列はかなりさびしいものがありますが...。
伝統をどうやってプロデュースして見せていくか、難しいところですね。
常山さんの急須、使ったことも手にしたこともありませんが、
無駄のない、美しい形ですね。
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honey8787さん
ありがとうございます
伝統的な窯業地を訪ねるのは
楽しみでもあるけど
失望するところもある・・ってのが
正直なところです
もっとも・・もっとよく理解するには
長い滞在が必要なんでしょうけどね
ちょっと見では判らないことも沢山あるのかもしれません
ありがとうございます
伝統的な窯業地を訪ねるのは
楽しみでもあるけど
失望するところもある・・ってのが
正直なところです
もっとも・・もっとよく理解するには
長い滞在が必要なんでしょうけどね
ちょっと見では判らないことも沢山あるのかもしれません
伝統窯業地探訪お疲れさまです。
訪ねた事のあるところ、まだのところいろいろですが、touseigamaさんらしい探訪のスタイルでとても興味深くみました。
私のいます鹿児島もいくつかの伝統窯業地がありますが、伝統の継承と将来への展望などの課題を抱えています。
かつてはヨーロッパにも好まれて輸出された「薩摩焼」も衰退して、いまはセーブルを中心に盛況です。
昨年は「パリサツマ焼き展・現代作家展・・・を開催。
新しい展開を模索しています。
常滑に一致度は足を運んでみたいです。
訪ねた事のあるところ、まだのところいろいろですが、touseigamaさんらしい探訪のスタイルでとても興味深くみました。
私のいます鹿児島もいくつかの伝統窯業地がありますが、伝統の継承と将来への展望などの課題を抱えています。
かつてはヨーロッパにも好まれて輸出された「薩摩焼」も衰退して、いまはセーブルを中心に盛況です。
昨年は「パリサツマ焼き展・現代作家展・・・を開催。
新しい展開を模索しています。
常滑に一致度は足を運んでみたいです。
kanmyougamaさん
おはようございます
お孫さんたちが集まりだすまで
嵐(?・・笑)の前の静けさなんでしょうか・・?
人も物も情報も身の回りにたっぷりある
伝統窯業地のありがたみ・・ってのもわかるし
でも・・その伝統が邪魔するものも
ありそうな気もします
どう継いで・・どう表現するか
それも大変そうですね
サツマの歴史も・・
きっとこれからの若者が
どう捕まえて核心に迫るか・・なのかな
しかし・・それも一大事業
きっとやりがいのある仕事だと思うのですが・・
おはようございます
お孫さんたちが集まりだすまで
嵐(?・・笑)の前の静けさなんでしょうか・・?
人も物も情報も身の回りにたっぷりある
伝統窯業地のありがたみ・・ってのもわかるし
でも・・その伝統が邪魔するものも
ありそうな気もします
どう継いで・・どう表現するか
それも大変そうですね
サツマの歴史も・・
きっとこれからの若者が
どう捕まえて核心に迫るか・・なのかな
しかし・・それも一大事業
きっとやりがいのある仕事だと思うのですが・・