10年ぶりの天目釉

「黑天目釉」教室を閉じたときにこの釉薬以外は殆ど処分した糸抜きに徹するつもりだったからだ
しかし天目だけは苦労した自作のレシピだったし日本陶芸展でも使ったので名残り惜しさが勝って残したまさか使う日があるとは思わなかったが盆栽さんのリクエストで再現することにして瓶を引っ張り出した


折角だから天目がらみでしばしば多用した鉄赤を刷毛で走らせた

懐かしい取り合わせになる

形は「竹節」あるいは「俵」盆栽の受けにロクロで挽いてみた実際にこの釉は殆ど半磁土で使ってきたので黒泥に掛けるのは初めてだった
どうなるかと思っての窯出し漆黒の黒釉とはゆかないがそれでも柔らかに赤い岸本さんの意見を聞いて更に試作してみようかである



これがその当時に焼いた黑天目釉鉢20年近くになるだろうか初心の日々が目に浮かんでくる
半磁土をロクロ成形し自作の黑天目釉をたっぷり掛け還元焼成で焼いたものである還元ならではの漆黒の深さにようよう辿り着いたプロを標榜するに僅かな手ごたえを得たのは
きっとこの釉でだったと思う今でも好きな黒である
工房転居の折にやっと馴染んだガス窯を手放し今となれば再現は難しい酸化を掛けて焼く大らかな赤味に期待しつつ愉しめたらなと思う

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