50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・
by touseigama696
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2022年 10月 25日
 1960年代の銀座と我が青春何となく古い記憶を辿ろうとしてこの写真に行き当たった従ってそのままお借りした写真である 昭和40年代は私にとってはエポックメイクな時代だった大学4年の春から卒業までは滅多に大学には行かず古い知人の依頼でフルタイムで働いた3年までで殆ど単位は取り終えていたからだ正社員で役つき新米にしてはそこそこの給料自分の給料を全額自分で使ったのはこの一年だけ卒後にかねてからの願望だった テレビ番組制作のプロダクションに入社したら給料は減って勤務時間はベラボーに増えたその上卒業式の1週間前に結婚した妻に薄給なれば封も切らずに全額渡すことにして爾来妻からもらう小遣いが全ての人生それが56年続いてきたのだ自分の給料袋を自分で開封したことは一度もないエポックメイクである(笑) だがその頃のボスのひと言が懐かしい「自分の小遣いくらい捻出できずになにがプロデューサーだよ!」確かに小遣いくらいならどうにかなるもんだやっぱりエポックメイキングだった
写真のビルに話を戻そう数寄屋橋の角にあったこのビル色々なビッグネームが躍るマツダビルであり東芝ビルであり阪急デパートもここに入っていた今となれば殊更に懐かしいランドマークである 銀座に事務所があって一日の殆どを1丁目から8丁目まで駆けずり回って営業していた時代このビルの中のテナントさんを活用して精気を保っていたような気がするのだランダムに書けばこんな風になる
朝事務所を出て銀座に点在していたテレビのローカル支局を訪ね歩き自作番組の販売を担当していたころ新橋から京橋の辺りまで車を使うほどの距離ではないから靴をすり減らして歩いた晴ればかりじゃない降れば傘差して濡れそぼったがそんなときこの写真の柳の木の下あたりにズラリと並んだ靴磨きのおばさんの世話になることから始まる 靴を乾かしピカピカにしたら阪急デパートの地下に潜り小さなクリーニング屋に入りカーテンで仕切られたブースから背広上下を脱いで手渡し熱いアイロンでプレスしてもらうその間15分ほど半ば裸で待つわけだがすっきりプレスの線が入った時の快感は生き返るような気分なのだ冷たく濡れたままでは負けそうな営業も着てるものがしゃんとすれば戦意も高揚する ついでに地下の小料理屋に飛び込んで定番のあじのたたきを食うのが楽しみだったこの店名前も忘れたがたたき以外を食べた記憶がない刺身はもっと美味かったかもしれないがでもそれを食べなかったからあじのたたきが秀逸な記憶になったに違いない このビルの一階に旭屋書店があったこの書店のカテゴリー別の展示は長いこと通って熟知したから欲しい本を探すのに苦労はしなかったまるで自分の書斎のようでさえあったそして店員さんが本をよく知っていた在庫のあるなしが素早くわかり重宝したものだった 営業から制作プロデューサーに転じてからは靴磨きやアイロンの世話になるより資料探しのほうが忙しかったネットも携帯もなかった時代文献から資料を探して企画するしかないことが多かった 本と資料を持って電話喫茶に潜り読みながら電話で取材することもしばしば他局に先行されて何度も悔し涙を味わったがそれでも負けた企画の同根二番煎じは意地でも嫌ったのを思い出す 傍から見れば好き勝手な時間のように見えてそれも自己管理の内とし結果で勝負する様子に寛大な慈愛があって生涯たったひとりと決めた我がボスの温情に甘えた歳月でもあった その精神的な根拠を支えてくれた場所のひとつがきっとこのビルの中だった
13人のチームで8本のレギュラー番組を作ったこともある早朝に出かけるスタッフを送り出し深夜に戻るクルーを出迎えた当然のごとく帰宅の余地もなく車に着替えを積み込んで徹夜やホテル泊まりが茶飯だったタイムレコーダーのカードさえない勤務今なら労基問題かもしれないでもそれが当たり前の時代だった体力だけが持てるものの全てだったからとことん働いて最後は倒れた病院事務長・陶芸家へと転向の時代の始まりだった
「大きな会社の歯車よりも小さな会社の伝説に・・」若い頃はそうありたいと願い 「趣味ならばなおのこと本気で・・」老いてそう思う 小さい会社だから何もできないではなく小さい会社だから何でもやってみろ 60’s・・好い時代だった良い会社だった たったひとりのボスは70歳そこそこで他界したしかし・・今でも我がボスは・・彼ひとりである
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by touseigama696
| 2022-10-25 09:15
| 〇忘れ得ぬ「思い出」
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