手なりのぐい吞み

先日古い友人がやってきて久しぶりにロクロ談義を愉しんだ彼は初心者ではないやがてはプロの道を胸の内に秘めている
話しをしているうちにふと気になることがあって「久しぶりにろくろ挽いてみようか！」ぐい吞みを手なりで非対称な形状でまとめるそれが課題




ふたりで20個ほど挽いたその中の6個残したのがこれ
ところが彼の作りの最初の数個はこうでなかった有田を思わせるような端正なシンメトリーのきれいな曲面でまとめてあった
公募展に大きな作品を提出するために丁寧な仕事が常だからほっとけば幾つでも同寸同姿が並ぶ
綺麗だが面白味に欠けたりする
個体ごとに土に向かう一手目から手つきを変えて土を驚かせてみて！その土の驚きが対称を壊して手なりの変形を生むはずだよ
やがてこんなのが並び始めたロクロ目がはっきり残り手指が自由に力の使い方を変え
息つぎの変化を形に変えてる
手なりの非対称ひとつひとつに個性の兆しが芽生える
作品の用途次第で造形は様々に変化すべきだが屹立やわん型の磁器様定番だけではなかなか意に叶うものとばかりとは言えない同寸同姿を座右に置きながら更に息を詰めて土に命じるものがあって然るべきだと思う
私の糸抜きは手なりのロクロ目には負けて剥離するだからシルエットの滑らかさの為に削りに手をかけるのが常だからこのぐい呑み久しぶりに楽しんだ
その記念に焼いてみようと思うさて手ごろな釉薬があるだろうか？

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