同寸同姿と異寸異姿

陶芸の稽古を続けてゆくとどうしても避けられない課題のひとつが「同じものを作る」と「違うものを作る」の壁どちらも身につけねばならぬ技術である
その過程で私がしばしば使ったものの考え方が逆説的なアプローチである
「間違っていそうなのに結果的にはそれが一番正しそうだ」平たく言えば「急がば廻れ！」である
どういうことかと云うと長い時間稽古してきて解ったひとつの真理がこれ「放っておくと同じ物が並び
意識しないと違う物ができない」
なら初心の頃どうだったかなら「放っておくとバラバラなものしかできず意識して初めて同じ物らしき方向が見える」
そうしてみると「意識しないと同寸同姿に届かず無意識なら異寸異姿しか・・」が反対に「放っておくと同寸同姿に仕上がりいつもと違う物にしたければ意識しないと変わらない」に変わる動機は何だったんだろうがそれが逆説的なアプローチでつまり「急がば廻れ」「廻れ」こそ基本とか基礎という意味なのだ



何故基本が大事かと云えば一番遠回りのようにみえて一番近道が基本・基礎だからなのだ
手順・手数を揃え道中を誤魔化さずに同じリズムになるまで繰り返す
いじりまわした偶然の美形に錯覚し上達と誤解しそうな一瞬に酔うのはいかにも勿体ないと気づかされるのが基本でそのプロセスこそ逆説的アプローチだと私は思う
教室時代しばしばそんな話をしながら基本だけは根気よくだよ！繰り返し話したことだった
上の四枚の皿は28㌢で挽いた同寸同姿が狙い昨日削ってほぼ狙い通りだ無意識を心がけて同じリズムで挽いたつもりである




こっちのぐい吞みは好みの姿をイメージし屹立ちと卵形に分けて意識しながら分けて挽いた姿は違っても大きさはほぼ同じそれも意識してのことだった
「異寸異姿」こんな言葉はないかもしれないだが私にとっては「同寸同姿」と同様に阿吽の二体なのである

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