趣味に学んだことなど

このデッサンのサインは1995年1月阪神淡路大震災のあったあの年であるあれから27年目の春を迎えたがその春に私は陶芸を始め幾つかの趣味を経てプロの陶芸家に転じた
これは絵を趣味にしていた時代の最後の一枚かもしれずこの年以降経年はそのまま私の陶歴に転じた
絵を愉しみだした初心のころまず足りないと思ったのが何くれとなくデッサンさえしたことがないだったデッサン帳を手許におき生なモデルさんなど頼めるはずもなく色々な雑誌のポートレートを見つめて鉛筆を走らせる夜が続いた
今でも忘れられない思い出がひとつある私が描いた顔は何故かモジリアーニの女性に似るのだ
あの印象的な面長嫌いじゃないが何故普通の顔にならないの？ここが私の出発点だった理由は簡単だった目と目の間と目と口の間隔の違いを間違って認識していたからだった
目と目の方が目と口より長いたったこれだけのことだが写真を見ていても間違ってたのだ
「教えられるではなく自分でみつけろ」
この先趣味の絵画ではなくプロの陶芸を目指し始めた時の最大の教訓はこれだった
たった数年のデッサンだったからヘタが巧くなるほどの時間ではなかったただこの一枚のデッサンで私が学んだのは表情に微かなほほ笑みがあって
それをどう描けばいいのか繰り返し鉛筆を走らせながら考え続けたことだった
自分なりに感じたことは一寸した木炭粉を口元のどこかに残し同時に同じことが目元にも必要だという発見だった大げさな修正は不要極く密やかに加筆すればいいのだこれが正しい発見なのかどうかを私に判別する力はないただそう感じたインパクトは今でも覚えている
陶芸に転じて27年目終焉の日は遠くないかもしれないがやれる間はひたむきでいたいから僅かな変化に個性を求め自分らしい生き方の表現であってほしいと願うばかりである
趣味は楽しむものではあるがその楽しみの本質は「趣味なら本気で！」
某社のCMアイテムの中に潜んでいる
私の最も好きな言葉である


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