「色」を作る

終日座りっぱなしの中で糸貼りの済んだ作品に色をつけるいつもの定番茄子紺の着色である

まとめて作業するせいで顔料も日に日に減ってゆくこの手の素材はタップリ準備しておくのが肝腎そうでないとついつい足らそうとして薄掛けになる

厚みのある平筆に十分含ませ一定の方向で何度かの往復を繰り返し顔料の厚みを確保することになる

先週茄子紺を調整したこのタンクに一杯2ℓほど作った

棚に保管してある原料だが私が始めた頃はそれほど気にしてなかったが近年はすっかり高額貴重品になってしまった

茄子紺のベースは酸化コバルト陶芸用語に「呉須」という名前があるがこれは本来自然界から収集した天然品でコバルトに産地固有の不純物が混じったもの純粋の酸化コバルトにない色味はやはり合成では叶わない

コバルト以外の酸化金属を幾つか混ぜて好きな茄子紺に引っ張ってゆくのも工夫である

原料を混合したのがこれ一定の水分を加えてミキシングする

今までに何台のミキサーを乗り潰したろうか粒子を細かくするには時間を掛け最後に篩にかける必要がある結構面倒な作業なのだ

このレシピは自分で調整したもの気に入った茄子紺に染まってくれるがそれも今使ってる粘土に対応してのこと土が変わればまた別の発色になってしまう思いのほかデリケートなのだ


糸を貼った皿が待っている

落としたりぶつけたりここまできての失敗はかなわぬ「急いでも慌てず」これが順調にあがればこうなる筈「筈」な分だけ「祈り」でもあるのだ
最近はやたらと地震が多いこれが何とも不穏に思えて意欲を削がれる無事も祈らねばである


応援してくださる方・クリックしてね！