引き波

昨日の朝折れた前歯の治療に掛かりつけを訪ねたそしてその後足関節が浮腫んで皮膚から僅かに出血するのを見て近所の皮膚科を受診した
コロナ禍以来体の其処ここで似たようなことが起る自粛といえば健気なようで実は夥しい劣化との戦いが佳境ともいえるのだ
この5㌔粘土の砲弾4個は昨日の写真ではない寄せ波に足を踏ん張って大皿を挽こうとした日々ついこの間のようでいて劣化しつつある老いは更に加速して足指の間から大量に砂を剥ぎ取りしっかり立つことさえ覚束なくなった

「センセイ！　歯を食いしばって土と戦ってたら情けないですねプチっと折れてしまいました」「まぁね・・弱くなってるからね仕方ないよ直してみるけど・・手入を大事にしてね」ということになる

「・・やっぱりあまり体を動かさずにいるとどうしたって浮腫みやすくなるね結局運動することだろな・・」午後の皮膚科も元をただせば同じ警告になる
この1年半の自粛生活の本質は「老いたら大人しく」ではなく「老いればなお体を使え」なのだ


この砲弾4発をまとめて発射すればここに向かうことになり息を止め歯を食いしばる土は重くて強いのだ予定通りに運べば７０㌢の皿になる



その挙句に大皿に糸を貼りだせば自分の居場所に体を据えつけ終日波を作って埋めてゆくしかない

デザインを変えれば気分転換はできるがしていることは同じ足が主力になることはない


それはサイズを小さくしても同じ小さいものの加飾は手が入らずに杜撰になりがち小品こそ上がりの綺麗さ問われもするのでピンセットの世界なのだ

75歳まで殆ど実感することのなかった「老い」コロナ禍が私に突きつけたものはまさにこれだったと思う
勿論全てを受け入れた上でどう過ごしてゆくか引き波に足をくすぐられながらなお畢生の命題として考え続けねばなのかもしれない

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