組もの

久しぶりにロクロを挽く様子を写真にしてもらいましたがこうしてみると頭の中にいる自分よりはるかに老いた私がロクロを挽いています
背筋が伸びていません小物ならすり抜けられても大物では通用しないでしょうね



ロクロの面白さのひとつはロクロ盤の高速回転を利用して
手つき手順と手数を調えると同じ姿の器がずらりと並ぶ快感です
公募展への出品の始まりは私の場合「組物」でした


六客のリム鉢を限りなく同寸同姿に作り上げるため大抵の場合少なくとも30客は作って選びました


この頃のロクロは器を作るではなく技を作るが主力使う集中力ももしかしたら別のものだったかも


このプロセスで身に着けた技術は結局それが自分の作品となりやがては商品としての裏付けになると感じ取れるもので避けて通れない道だと実感したものでした

これも・・
これも・・
これも・・

後に個展などを通して組みものとして制作しましたが公募展のための組みものとはやはり別のコンセプトでロクロ技術の評価よりも人間味のある緩やかさを心がけたものです
出来るだけ正確な技術を大事にしそれでいて使い手に寛ぎをもたらす器願うことはそこにあったように思います


やがて組物から離れるきっかけは大小で組んだ大皿づくりでした


大皿の持つ魅力は同寸同姿とは異質なもの単体で発散するみなぎった力は上手く焼ければ実に嬉しいものです


65歳から68歳までの4年間徹底的に技術に取り組む目標にしたのが「日本工芸会」の正会員資格取得つまり日本伝統工芸展で4回入選を果たすという挑戦でした
この4年間は陶芸に限ったことでなく私の人生で最も集中した時間だったかもしれません



冒頭の写真に戻れば如何にも老いの弱さに屈服しつつある昨今初心の組ものに立ち戻り静かな時間を閑かに過してゆきたいものだと願っています

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