目が物指で手が道具

一緒に仕事する盆栽作家岸本千絵さんは優しいひとである仕事ののろい私を咎めもせずに「体を大事にしてゆっくりでいいですよぉ～！」と言ってくれる


さりながら直近のオファーからでも少々間が開いてしまった恐縮しながら慌てている

彼女が注文帳に書いていったデザインメモを形にすればそれがこれだが教室用の教材である同じものを50個ほど作れと指示が書いてある



とうぜん同寸同姿が原則だが教室で使う時はひとりが一個で夫婦茶碗のようにトンボで計って作るほど正確でなくても大丈夫のようだそれこそ音楽でも聞きながらリズミカルなロクロがいい

「目が物指しで手が道具」こういうときはこれがセオリー寸法は目で計りシルエットは手が作る道具は使わず目安はワルツのリズムがいい新雪に描くスラロームのシュプールのようにである慣れればほぼ同寸同姿になる
寸分たがわずは鋳込みに委ね確認のためにあてがう物さしがドンピシャを示す快感がいい


素焼きが終ったらこの色合いで加飾する小さな盆栽の優しさが似合うに違いないそう願いながら慌てずに急がねばである

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