テスト窯

　　　　　　　　　　　　　　これは再現のテストピースです

そもそも発端は窯からこれが出てきたことだったかさぶたのような汚さ愕然として息を呑んだ
ひと窯全部というわけではないがひとつでもふたつでもでれば放ってはおけない進行中の制作を止めて原因追及のテスト窯を焚くことにした
作品を丁寧に目視し　この失敗は土や顔料に帰するものではないと判断し先ずは一番可能性の大きいコンプレッサーの扱いに
疑いの目を向けると決めた念のため釉薬の比重はテストしておくべきとボーメで計測し調整時の数値40を記録した
心づもりとしてはテストは二度いきなり改善策を実行するのではなく最初は出来るだけ失敗時の手順を思い出しその再現を試みる無意識でしていた手つきを変えようとはせずにやってみて失敗と同じ現象が現れればかなり解決は早いそのつもりで一回目を焼いたところ予想通り失敗作と同じ結果が出た少しほっとして次の段階を準備した



ここが一番問題のエアガンの調整である今まであまり意識しなかったがそれでいて殆ど問題なく通過してきたのに何が悪いのかここは大いに推理を働かせ三つほどあるノズルの調整に神経をとがらせそれを素焼きに吹きつけて調子を探したのだ
目的は薄目の釉薬を厚めに掛けることそれには多めの釉を含んだ水分が少し強い水圧の細かい噴霧で器面を薄く覆うように吹きつけることノズルを微調整しながら試し吹きを重ねどうやらこんなものかに到達できた


テストピースを三枚作りA.B.Cにはエアガンによる吹きつけ量を薄目　狙い目　厚目に分けそれを窯に入れたのであるこれは二度目のテストで焼きあがった三枚



　　　　三枚とも過不足はないみたいだが本命は狙い目のBと決めたこの程度のカメラではしっかりと記録するのは難しいが肉眼では結構滑らかで無光沢の良さは確保されている


三日間で二回冷える暇なく1240度を往復した豆窯ならではの活躍ご苦労さんである


これは定番の旧作
近日中の本番本焼きで無事に元に戻ってほしいものである

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