贅沢な「プロフィール」

朝一でこの本が届いた著者謹呈とあって直ぐに判った「書くけどいいよね？」許可だし原稿の出版がこれなのだ
林寧彦　日本工芸会所属の陶芸家であるこれまでに何冊出版したろうか？前職が博報堂のコピーライター書けて当たり前の言葉の専門家なのだから・・
朝10時から読み始めて3時には読了した久しぶりの速読完読であるまだ速読できる！これも嬉しかった
私の陶芸が本気に舵を切ったきっかけは彼だ前職がお門違いのアマ陶芸が日本伝統工芸展を視野に置くプロへの転向は「ウッソだろ！」って言われそうな時代にそれを実現してるコピーライターさんがいる驚きの先に遥かなる行く末を見せてくれていた「彼に出来たことでも私に出来るとは限らないがチャンスならきっと同じ」
彼がこの著書で書いてる或る日の突然の電話と長話はそれを暗示させるものだったように思う
長文ではないのでご披露させていただく
「・・魯山人は40歳のとき陶芸を始めたと書いた。ちなみに、僕が始めたのは39歳のときで、魯山人に1年の「貯金」があると、気のおけない仲間に冗談で言いふらしていた。遅いスタートでどこまで上達するかという、なまけものの自分を励ます糧にもなった。
ところが、魯山人よりもひとまわり遅く、52歳で始めた人がいる。千葉県の陶芸仲間のひとり、三崎哲郎さんである。
三崎さんが始めたのは、病院の事務長時代だった。そうして、68歳で日本工芸会の正会員に認定された。認定時の個々の記録は残っていないそうだが、最年長記録ではないかと噂されている。さらにその翌年には、日本陶芸展で文部科学大臣賞を受賞された。78歳になる現在も、現役バリバリで、会うたびに励まされるパワフルな陶芸家である。
じつは僕が福岡に単身赴任しているとき、まだ面識のなかった三崎さんから電話をもらったことがある。当時、三崎さんは陶芸を始めてまだ間がないようだったが、自分よりも激しくハマっているのではないかと驚きあきれて長電話になった。・・」

これを一読してハッと思うものがあったこれは実に印象に残るプロフィールではないか

この一文は自分では到底書けない魯山人から始まるプロフィール考えただけでも畏れ入る
しかしここに見る少々過ぎたる賛辞は他人だから書けるお褒めではあるが陶芸に無縁な方ではこうした事実を正確に承知して書くのは難しい
してみると同じ道を歩く仲間なればこそ自分からじゃ言いにくかろうからここら辺までは褒めといてやろか魯山人さん引用感謝せいよ！
実に味わい深いプロフィール多謝感謝の限りである
いずれかに新しい陶歴書を作るときは「林寧彦氏に書いていただいたプロフィール」と添え書き付きで印刷するかである

この著書流石にコピーライターだっただけに言葉の使い方が上手である陶芸教室に通う生徒さんたちが一読後にはかなり本気になれそうな内容なのだ言葉のプロが同時にプロの陶芸家仲良くしない手はないな
福岡単身赴任時代のマンション陶芸背中に背負った夏の灼熱窯ベランダ寒風の吹きすさぶ極寒ロクロ涙なくしては笑えないドラマである我が家でも出来るに違いないそう思われる方も多い筈そこから思いがけないチャンスが芽生える
この本の末尾に林さんはこう書いている
「爆発と誕生をくりかえしてきた星のカケラが旅の途中で集まってひとつになる陶芸とは、窯の中で小さ星をつくること。」
コピーライターの面目躍如である昨日今日が発売日なのだそうださっき電話したらこれからあちこちの書店を挨拶に歩くとか
きっともうひとつふたつ殺し文句が用意されているに違いない

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