向島百花園・・或る日

げんぺいもも
和花・洋花と言ってみても
違いが奈辺にあるやは定かでない人類より賢くも花はナショナリズムを捨てているどこで生まれたかではないどこで生きてるかそこで美しく咲けばいい
つるのじゅうにひとえ
向島の百花園は我が家から10㌔そこそこ折に触れてカメラを抱えて訪ねたのも既に遠い日だ
この百花園は独特な雰囲気を醸していて雨でさえ似合う風情がいい

せいがい
出自に区別がないと同様姿形も花界混沌樹木に見えて花であってもいい大らかで広々しててそこも好きだ
にほんたんぽぽ
所謂洋花の絢爛も決して嫌いではない薔薇にもチューリップにも独特な個性がある存在感とでも言おうか壮大な王朝を背負った繚乱が季節と時代を駆け抜ける艶やかさだ
おおきな括りで見れば和花にない存在の重さが大きな花弁に潜むとでも

いわやつで
思うにつけ和花との対面はここ百花園だったり茶室だったり靜やかな佇まいと穏やかさに溢れて束の間を花の物語を聞いて過ごすが相応しい
容姿といい花名といいいわくあり気な花々の「・・聞いてくださいますか？・・」その謎めいた気配がいい

さくらそう
小柄だが生きて来た歳月の長さを物語もまたそれなりに暗示してる
いかりそう
うつむいてもなお美しいそれも和の名残りか
くろばなろうばい

やがて現れた年増芸者の芸歴に似て秘めたる想いの深さが語られるここは名にしおう向島なのだ長い長い話しだが聴き終えるのが惜しい語りでもある

　　はつかり（咲けば昭和侘助）

　　　　　　　　　　　　　　　姿の良さに見惚れる蕾この蕾が開いてみれば綺麗な花でない筈はないまた時間をかけて新しい物語が生まれるのだ


この百花園の小さな池に折り重なって漂う花の命
古人曰く「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき・・」今はきっと違う

向島百花園の・・或る日それは2005年4月15日16年前のお座敷だった


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