名誉挽回 : 桃青窯696

2021年 04月 16日

名誉挽回

展覧会出品に大皿を制作していたころのこと
およそ60㌢強の皿が主力でした土塊15㌔をロクロに乗せて挽きますが高台削りのために天地を裏返す必要がありこれが一人ではめっぽう力仕事

https://touseigama.exblog.jp/28246479/

↑去年の9/29に「垂涎の的」と題してこの失敗を書いていますが成功した時の様子は載せてませんでしたかつてアップしたことがあるのかどうか記憶が曖昧ですが調べるのも大変初稿扱いでご披露することにします
遠い日の名誉挽回かも・・ですね

ロクロ挽きの際亀板が薄いと板が反って剥離の原因になりますから要注意です両肘にずっしりと重さを感じますスタートと同時に息を止めます

ここで土の反応を手に感じますのでいけそうかそうでないかもある程度想像できます

ここで慌てたりすると手が回転をとめてしまい回転したがる土についてゆけず剥離のハメになりかねません勇気が要るタイミングです

ここからはそっと土の接着度を手で感じながら着地に向います急ぐのはいけませんが剥離の負荷は継続してるのでゆっくりし過ぎも危険です

この角度まで返せればもう剥離することは殆どありません

乱暴な着地をすると口縁部を傷つけるので月面着陸の気分を想像して水平にしてから静かに降ります

無事着地ですここまでは息を止めたままですから吐き出さないと苦しくなります(笑)

ロクロを挽いたときからしっぴきは使っていませんのでここで糸を入れて土と亀板を分離します
乾燥もある程度進んだ大皿ですから普通の糸では切れてしまいますそこで私の場合はピアノ線をシッピキにしていますこれは丈夫ですから負けません

この当時は高台の大きな皿でも後にはかなり小さな高台を狙ったので剥離のリスクが大きく不安材料でしたしかし数をこなすことで上手くもなり殆ど失敗はありませんでした
一枚目の那須紺の大皿も高台はこれの半分くらいのはずです
この数年筋力の低下は著しくおまけに肩腱板断裂の後遺症もあって大皿はとても苦しくなりました15㌔を扱いこなす自信は年々遠のいてゆくようです

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by touseigama696 | 2021-04-16 00:13 | ●工房便り | Comments(12)

Commented by saheizi-inokori

at 2021-04-16 10:12

拝見していても息をつめました。
肉体と精神の集中が伝わってきました。

Commented by weloveai

at 2021-04-16 11:24

カメラマンさんも息を止めて・・・

臨場感が伝わってきました。

Commented by miyabiflower

at 2021-04-16 16:39

見ていて思わず息を止めていました。
集中力が必要ですね。
こういう過程があることを始めて知りました。

Commented by jyon-non

at 2021-04-17 14:11

貴重なシーンを拝見しました。

誰も代わることのできないその道を修練なさり

邁進された方のみが新しい創造物を

生み出される‥ということを改めて思いました。

Commented by PochiPochi-2-s

at 2021-04-17 14:18

> ここまでは息を止めたままですから
> 吐き出さないと苦しくなります(笑)
この言葉と真剣な顔。
いかにきんちょうしているか。緊張感伝わります。
そしてその場の空気感も。

力はいらないですが、00の一番細い絵筆で線をひくときの感じ。
touseigama さんのようなプロの方とアマチュアの私とでは
全く比べるのもおこがましいですが、その「息をつめる」状態だけはわかります。
誰もいないとき、無心で線をひく。息をとめて。
うまくいったときの開放感。思わず深呼吸です！

Commented by シュウ at 2021-04-18 09:45 x

矢切の工房，懐かしいです。
こないだ通りかかったら町もずいぶん変わっていました。
愛宕神社の二本銀杏はまだあるかな。
タローを連れて何度か散歩に行きました。
うふふふ。何でそんなに長時間の用があったんでしたっけ。
もう忘れてしまいました。
矢切を自転車旅してみようかな。
秋がいい。野菊の頃。