紫色の蜃気楼

青い蜃気楼が赤い蜃気楼に勝って混沌としたざわめきの中でバイデン候補はマイクの前に立った慣例とは異なった手順だそうだがほぼ勝利宣言を体したスピーチだった

紫色のスーツを着用したのは青と赤の蜃気楼が融和すればこの色になる新大統領の胸の内を密かに表してのメッセージとか
言葉にせずともさり気なく気づかうそうしたことがこの４年間トランプ大統領に欠けていた資質かもしれない
全てを言わずにはいられない駄々っ子のような性格が望んだものの半分も手にせずに終わりを告げようとしている
自己礼賛と他者誹謗の明け暮れいささか品性に欠けて見苦しかった現職なればこそ道中のどこかでバイデン氏より一歩先に紫色のネクタイを締めるべきだったのだ
Keep America Great!
強いアメリカを取り戻すためになら互いに融和して力を貸そうではないかそうした寛大な強さがあれば国民の分断もまた溶け合って
星条旗がパープルに染まったかもしれないのだ

遠い昔欧州への取材の旅のいきなりに機内で心臓発作に見舞われ一ヶ月ほどアラスカで入院したことがある退院の日ドクターから「１週間アンカレッジに滞在して栄養と体力を取り戻したら帰国していいよ」
（きれいな看護婦さんでしょ！　　毎朝こうして測定に現れましたアラスカ入院のひとこま　まだ２０代でした）


そう言われて極寒の市内でモーテルに一人で滞在したことがある私物のバックはパリに飛んでしまい着の身着のままの入院だったからJALのお世話で町に出て衣類や食料を買ったがその中に牛乳もあった
今でも懐かしく思い出すがそれはハーフガロンの容器に入った牛乳まるでガソリンを買ったみたいだった牛乳は一合ビンで飲むのが当時の日本
まだまだ貧しい時代だった
だから巨大な冷蔵庫からこの半ガロンボトルを取り出しグラスに並々と注いで朝から晩までがぶ飲みしてたら何となくポパイ現象でみるみる体力増強が叶ってきたきっと買い増しを入れて1ガロンは飲んだ
アメリカ人ってのはみんなガロン牛乳で育つんだろか？これで庭にほうれん草でも植えれば鬼に金棒正にKeep America Grertに思えたもんだ
おまけにさらに懐かしいのは熊とレスリングしてそうなアラスカの男たち毎晩のように喧嘩の怪我が救急車で運ばれ数日で「アバよ！」って退院してゆくガキっぽさもしかしたらトランプって名前だっただろうか
大きくて　豊か　強くて　荒っぽくてアメリカってのは途轍もなくデッカイ国だと思ったものだがあれから５０年経ってもまだガキっぽさを残したままのようだテレビを見ていてそう思う


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