千載一遇

病気の悪化を理由の辞任に案外同情的な論評や意見が多いのに驚いた
「長いことご苦労様でした十分に休養して全快されますように」
「志半ばでの病いの再発さぞや無念と思われる」
こうしたコメントを読んでいてあるしたたかさが頭を巡った
多分病気の再発はほんとのことでもリタイアするほど深刻な状態ではなく
治療しながら在任期間更新を重ねたいところだが
もし来年の任期満了が近づけば在任中に殆ど無視してきた数々の説明責任を纏めて追及されるかもしれない
出来たことも出来なかったことも全てが終ったことになれば自画自賛で退場ってわけにもゆくまい
北方領土はどれひとつ霧が晴れたことはなく北朝鮮から故国に戻れた拉致被害も一件もないあれほど大騒ぎしても六法全書の憲法は往時のままだしアベノミクスが成功だったという経済学者の論文ってある？直近のコロナ禍にしても調子はずれのお囃子に終始して評判は悪いおまけに世間を騒がせたお友達事件の数々　　　
任期満了までには決着の必要なものもあろう

およそ褒められて花道を歩けるとは到底思えないとすれば病いの再発は終焉を飾る千載一遇のチャンスなのだ


１年の任期がありながら最長不倒距離は揺るぎないギネスだけが目当てみたいな記録だが彼にはそれこそ唯一の誇りといえよう日替わり総理の時代的な汚名を晴らしたことにはなる
「忸怩たる思い」と言わずに済み「痛恨の極み」と言ってホロリとするかろうじてのナルシズムを残して去れば大方の同情を集めて絶好球を打てたことになるではないか
思いのほか名優というのか或いはやはり大根と言うべきか不思議な役者に見えてならないのだ

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