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波山の白衣


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いささか下世話な話題に
この板谷波山というビッグネームから入るという
何とも無謀な話だが
波山さんにしてこの厳しさと言いたくて
引き合いに出すことにしてしまったのだ


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在りし日の波山さん
医師が着るような白衣を纏っている
それも思い切り使いこんだ古着っぽく
特別な日に限らずいつでもそうだったようだ

磁土を使う陶芸家には
油断できない不注意を避けるため
こうして白衣着用が多いと聞いたことがある

純白の器に黒ゴマのような異種土の微粉が飛んだら
それがたった一粒でも物原行きになる厳しさ
その象徴が白衣であり
あるいは仕掛りの作品に被せた白布だった

磁器作家の清潔は
気性の問題ではなく姿勢を問われることになる
塵ひとつ落とさず 道具は清潔にして
必要以外の物は周辺に置かず
細心の注意を払って純白を追求する姿勢
白衣は無言の意思なのだろう

一方私のような陶器作家はというと
白土も使えば必要に応じて赤土でも制作する
白磁並みの清潔度を維持しようとしたら
ロクロ挽いてる暇はないかもしれない

赤土で使った道具を
チョロチョロと洗って白土で使う
陶器ではあり得ても磁器なら決してするまい

私は基本的なところでだらしないから
多分磁器は無理と
白い作品を陶土で作っている
それでも大失敗は数知れず
先日も書いたが窯半分を物原行きにしてしまった

つまり掃除が得意でなく
体の都合もあってマメに屈みこんで
徹底的に拭きまくるができない


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さてここからが思い切り下世話な話題になる
昨日一日かけて工房を掃除した
残念ながら白磁用には依然無理な話だが
陶土でならまぁ何とかのレベルである


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作業台の上もやりっぱなしを整理して
新しい作業に入れる程度のスペースはできた



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使用頻度の高い道具はまとめて箱に入れ
あれどこ?それどこ?の
捜索ロスタイム減らしにも肩入れした


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ついでに安心して茶が飲める清潔区域もクリーニング


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ポットに湯もためて
我が家愛用の伊勢の茎玉露茶も備えた
ここまでやったら腰痛でしゃがみこんでしまった
75歳過ぎの後期高齢者の肉体は
本人の想定外で劣化の一途である
その情けなさに落涙の日々が続いているのだ

そこで今朝の話題におちをつけよう
数日のうちにこの工房に来客がある
年初来自主自粛の日々は
そのほとんどを工房で暮らしている

誰も来ないことを好いことに
夜はそこまで・・
朝はそこから・・
その間にあるべき掃除が欠落しているのだ

昨日ふと余りのひどさに狼狽えた
予定の来客は女性なのである
陶芸の関係者でもあるからいささか気が引ける

重い腰を上げたのはそのせいである
やれば出来るじゃん!
女性の来客予定はかなりなエネルギー源になった

この先またゴミ工房になりかけたら
三顧の礼で女性客の来訪を依頼しようか

待てよ! このネタばらしたら
「バカにしないでよぉ~!」でおじゃんか?

ならこの記事
今日一杯の期間限定にしとくかな


さて最後にもうひとつ惜しい話題を
ウソかホントか定かではないが・・

「・・あのさセンセイの自宅に遊びに行くと
お父さんも一緒に住んでおられるから
色々話しを聞かせていただいた上にね
そこら辺の茶碗でも湯呑みでも
ひとつあげるから持ってお帰り!だった
恐れ多かったけど貰ったやつもいるよ」

この会話の
センセイのお父さんというのが板谷波山氏で
自宅は我々の母校のある日暮里から歩いてほど近い田端
センセイは波山氏のご長男で我々の恩師
恩師も一時は陶芸を志したらしいが
尊父があまりの巨星なので止めてしまったとか
国文学者になって母校で教鞭をとったのだった

時折恩師の授業の中に波山さんも登場して
だから波山さんの名声は存じ上げていたが
まさか後に波山ゆかりの茨城県展で
入選入会が許されるとは思いもしない出来事だった

あの頃にご自宅で湯呑みをひとついただいていれば・・
欲張りの虫の良さである

ちなみに
板谷波山の「波山」は「筑波山」の「筑」抜き
先生の郷里なのである 


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Commented by unburro at 2020-08-04 09:51
波山の名は、筑波山の波山でしたか!
いや、まったく知りませんでした〜!

マットな色調の、彩磁は独特の格調がありますね。
後々につながる縁の不思議ですね。
Commented by touseigama696 at 2020-08-06 06:23
unburroさん
ありがとうございます
波山さんの仕事は葆光彩といって
一旦本焼きをした上に彩色する上絵と違い
マットな釉薬の下に彩色して淡くぼかす技法なので
仰る通り柔らかな雰囲気がとても温かい作風をもたらします
いわゆる釉裏彩というものです
茨城工芸界の伝説的な至宝ですね
波山という号もとても好きです
筑波山の筑抜きとは思えない格調があります(笑)
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by touseigama696 | 2020-08-04 08:55 | 〇老いゆく日々に | Comments(2)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696