私の万華鏡②

教室をしていたころ教えるどころかあべこべに初心の生徒さんから教わることもしばしばでした
「センセ～イ！藁灰の釉薬の上に3号釉重ねたらどうなっちゃうんですぅ～？」「知らねぇなぁ～やってみな！」
詳しいことは忘れたが結果オーライで挙句に「イタダきぃ～！」確かこれがそうだった
生徒さんは思いがけないことを平気で言うししたがるそういう時はしたり顔で教える風にはしないほうがいいダメもとでやらせてあげると「いけるじゃん！」もある合わせると爆発する釉薬はないはずだ
これって煮物鉢なんかにはうってつけだと思う焼くときは弱還元鉄分の多い土の方が変化が大きいよ



織部の酒注土は確か中目の御影白下に黄瀬戸が掛けてあるはず自作の織部のせいもあってよく流れる釉だけどどこまで流れどこで止まるかそれが織部の面白さでもあるかな　腕のみせどころかも

やや薄掛かりの飴釉土が生まの間にロクロを使って櫛目をさらっと廻したものびくつかずに思い切りよくがいいがちょっと躊躇うとこでもあります
これ案外うまく収まって　だから覚えている芯を外してぐるりとひと搔き（回ってるロクロで芯を外すって案外難しいんですよ）口縁部もヘラで叩いてなめしで挟み切りっぱなし風にしています25㌢くらいだったでしょうか日用使いのやや大きい浅鉢ってところです

焼き締めぐい呑み
私の陶歴でただ一度だけの薪窯焼成です福島県の窯で焼いていただいたものですが真夜中の窯番をしながら独り仰ぎ見た深山にたった一木の満開の桜と共に
忘れることのない作品です
備前の土を使い焼き締めに灰が被っていますしかし56歳からの陶芸では本気で薪を焚く陶芸は無理だと感じたのもあの夜のことでした



転居前の旧宅も現在の新居も同じ地元ですから近くに梨畑が沢山あります知り合いの梨園さんにお願いして梨灰を沢山いただいたことがあります
梨園は収穫が終わると冬のあいだに樹の剪定をするのでそれを焚火で焼いた灰が沢山とれます肥料にした後　嬉しいお裾分けでした
それを篩にかけたのち水に漬け　長い時間あく抜きをしたり乾燥させるとやきもので使える梨灰ができますこの灰に長石・珪石等々色々な素材を混ぜてミルで微粒子に擂ると釉薬ができるのです
幾らでも完成品を買える時代ですが作ってみるのも勉強大変なことも判るし結果への愉しみが湧いてきます
この皿は梨灰の釉薬で見込みを黄土色にし口縁部と外側はマット系の黑釉薬を掛けて合わせたものですちょっとおしゃれになったようです
よく見るとやがて糸に期待する何かがここら辺にも芽生えていたのかもしれません

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