私の万華鏡①

このブログにも度々おいでいただく「霧島の森からキルトとともに愛をこめて」のJon-nonさんが　今朝の記事に「万華鏡の詩」と題しておられたのを見てこれでひとつのカテゴリーを書きたくなってお手元の万華鏡をお借りすることにしました
時系列とか素材別とか装飾の違いとかそうした系統を追わず四半世紀の間　何となく一所懸命作ってきた自分の作品の中で気になるものを順不同でご披露してみたいという万華鏡です
写真だけは沢山あるのですが現物は殆ど手許になくて細部の記憶が確かでないのですが何となく歩いてきた道やがて行き止まりの道そんな思いで時々編集してみようと思っていますサブタイトルは「スコップの上のカレーパン」つまりカレイドスコープです（笑）


糸抜き技法をやりだして公募展用の大物に施した波状紋から離れ食器プレートを作り始めた初期のもの多分30㎝ほどの皿です
黒泥をロクロで挽き素焼き後に糸を貼って加飾し更に白化粧をガンで吹きつけて糸を外して石灰釉を吹いて焼いたものです

糸抜きに出会う前最初に大きな公募展に出品したのは
黑天目6客組鉢でした　初出品の日本陶芸展で入選したのを知った時大人気なく飛び上がって喜びました
半磁土で挽いたつば付きの25㌢鉢ですが同寸同姿を目指して自分なりの掟を作り直径では2㍉以内　高さは0㍉それが許容誤差で削り後の重さにも決まりがありましたメジャーコンペの場合は大抵30個は挽いて6個を選ぶのが普通でした一番根を詰めてロクロを挽いた時期でこの緊張感はロクロが上手くなるために最も大事な努力でした


井戸赤というやや鉄分の多い赤土この土が好きで好んで使いました
御本手粉ひきぐい吞みやや大ぶりです余り構えずロクロに向かい手数を数手に制限して手早く挽きあげて止める　そんな挽き方でした

御本手というのは幾つか意味があるようですお手本・・というのも御本ですがここでは紅斑で染まるという意味での御本です
乾燥があまり進まないうちに生のままに白化粧の泥漿を柄杓でムラ掛けします自作の白化粧泥でしたが粘土との相性も考えて材料を調合し収縮率に大きなずれができないよう気をつけますが粉ひきの場合はとても難しいし大事です

生土ですから崩壊の危機にさらされますが乾き過ぎるとリスクは増えます不安でもやや濡れてる感のあるうちが良さそうですから乾燥のタイミングを我がものにするしかありません素焼きまでを無事に生き残れたら
還元窯で本焼きします御本の紅斑は温度に影響されます窯のどの高さに置くかとか終りの温度をどこで止めるか色々工夫が必要です
私のガス窯の場合（今は手放してしまったので再現できませんが）温度の低い下段を利用して1240度が上限でしたそれが私の好みという意味です温度を過度に上げると紅斑は消えますし低すぎればどぎつくなってしまいます
粉ひきは赤土と白化粧泥の織りなす白を巡る混在色スリルがあって楽しめるやきもので今でも大好きですが酸化焼成が殆どの日々再た焚ける日があるだろうかなのです



赤土をそのまま化粧せずに糸貼りで紋様を作り筆で黑赤を彩色したものです
タタラで組んだ四方皿30㌢くらいのものでした全面加飾してますので結構目立つ作品でした



後に糸を貼って作る紋様を櫛で引っかいて作ってた頃の作品です伝統的に民芸の世界では常套だったかもしれません
粗目の白土を使ってロクロ挽きした20センチそこそこの皿で土灰釉を掛けて還元焼成したものです
土灰というのは種類を問わず何でもいいから雑木を燃やしてできた灰のことです樹木を焼いて作った灰を使えば概ね緑色っぽくなりますが一定はしません
もし焼いた樹木を単品にすればつまり松灰とか梨灰とか特定すればそれはいす灰といって別の扱いになります色調が一定化するってことです
この皿は土灰釉ですがそれも合成だと思います化学的に調整すれば単味と同然で同じ色になります合成のいす灰・・ってことかです（笑）


ついつい饒舌のカレイドスコープになってしまいましたカレーパンが美味しかったのかもとお許しを次回からはなるべく寡黙を心がけます



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