ネーミング

自作の波状紋大皿に水を張り　薔薇を一輪・・古い写真です

「痴呆症」と呼ばれていた病名を「認知症」と変えて名づけたのが聖マリアンナ医科大学学長だった長谷川和夫医師で
氏はその認知症医療の第一人でもある
９０歳を越えたこの老医師がNHKの報道で自らが認知症に罹病されたことを告白されるのを聞いた短い一言だったが「近頃　確かなものが段々に減ってきて・・」そんな意味の言葉だった
その道の第一人者の懐に攻め込むなど病気も怖いもの知らずだがこの皮肉は市井の一人ひとりには
むしろ有難い励ましだと思った「先生でも罹る　いわんや凡人吾に於いておや・・」だからだ

しかし今朝はそことは別の一項で書きたいと思う病名の変更のことである痴呆症と云ってた時代のことも覚えているが認知症と呼び変えるようになったのは１５～６年前痴呆では患者さんが口にしたくはないだろうし著しく自尊心が傷つくに違いない間違いを犯したわけじゃない　病気なのだ脳の機能に異変が起きての病変認知なら病気の理解に偏向は生まれないこれはとても大事な社会的公正の一端の筈だ
そうしてみると物事に名前をつけるというのも実に大事な社会性を秘めている
言葉の選び方　その意味の一般性口や耳にした時の印象　時に新造語であっても時代を貫ける普遍性メディアの発信が加速度的に増大する昨今ネーミングは極めて大きな影響力を持つ
山中先生のiPs細胞もつい最近難病のパーキンソン氏病に効果的な可能性がありそうだと報じられたiPs細胞はinduced pluripotent stemcelこの頭文字をつないだiPsで人工多能性幹細胞の意味だそうだ
人工・多能性・幹と続けば人類の未来に貢献しそうなのは理解できるが専門の研究者の間ではiPsでよくても一般人にはもう少しハートにキュンとくるネーミングが欲しくなるつまり自分の不自由な体にはよおいで！そう言いたくなるネーミングがいい
例えば「細胞」を「希胞」と造語し「人工希胞」とか「万能希胞」とか「きぼう」の響きを活かしてみたくもなるのである
蛇足だが国会の質疑のやりとりで最近聞いた幾つかの言葉「やばい」「おちょくる」「せこい」勿論どれも知ってる使ったことがないわけじゃないしかし・・しかしやはり代議士が議場で口にしていい言葉とは思わない
昭和までの国会だったら多分「やばい」は物騒
「おちょくる」は揶揄「せこい」は卑劣今では若い代議士は知らない日本語なのだろうか

だからこれが殆ど違和感のない国会風景だったら不作法で乱暴な国や社会になりそうで実に不安なのである良くも悪くも言葉にはそうした力がある楽観せざること　油断もせざること　そんな気がするのだ


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