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「作り手」と「使い手」

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自作のこの器
数日前のブログで「夏茶碗」としてご紹介した
しかし
その後 色々考えるところがあって
今日はそれを書いてみよう

茶碗の場合
作り手がこれを茶碗と標榜するのは自由ではある
一方で
使い手がこれでは不都合と評するのも自由だ

作るというのは物を作ることではあるが
使うのは物そのものだけではない
その物がもつ「用」に関わる幾つかの付加価値も含まれ
造形とともに茶碗の大事な機能美になる
例えば白い茶碗は機能ではないが
使い手の好みとして尊重されねばならぬこともある

使い手の望みと作り手の気遣いが切磋琢磨して
茶碗はより美しい茶碗に変貌してゆくのだ

写真の夏茶碗は形状の分類でいえば平型 
つまり皿を僅かに深くしたもので
口縁部を少し立たせて茶の流れを制御する
場盥(ばだらい)型と区別される
この方が茶筅を振る際は安全でもある

ただ私的な好みでなら
平型の方が好きでつい口を寝かせ
やや大振りにして見込みに広さを求めることになる
それがこの写真なのである

私は茶人ではない だから
これで点てたときの可否を正確には判断できない
夏茶碗を標榜する限り
そこら辺の推敲が足りてないようで不安がもたげるのだ


こうしたことを考えながら思い出すことがひとつある
若い頃
富士スピードウェイで車のレースを取材したことがある
その時
インサートのドライブ・テクニックで
アクセルとクラッチのつなぎ方を撮ったが
同じことを素人がやろうとしたら
100回やれば100回ともエンストである
レース用の車は公道を走る一般車輛ではない
俗に云うプロ仕様にチューニングすれば
素人には手の出せない高難度の車になる

レースのための
極限のニーズを極限のシーズで応えれば
マシーンは形だけでなく機能の極限を秘めた美しさに変身する
レーシングカーの美しさは
決してシルエットだけではないのだ
コクピットのカットの仕方は
ドライバーに固有のニードを満たし
シフトレバーの位置・角度・深さ
アクセル・ブレーキ・ミッションのそれも
全てはドライバーの神経に直結してる
そうでないと車は動かない
限りなく速く走るための機能と一体化した美しさは
メカニックの技術とドライバーの哲学の調和の中にある
爆発するエグゾーストノイズを聞きながら
それもこの車の美しさなのだと
実感したのを思い出す

好敵手となる使い手のために
好敵手たるべくき技を手にするのは
決して容易ではない


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作り手が使い手に
「こんな感じはいかがでしょうか?」
そう問いかける展覧会が今開かれている

「第4回伝統工芸陶葉会展」
昨日も当番で会場に詰めた
ブログで親しくなったブロガーさんも
おいでいただいたりして
応接しながら陶談に花が咲いた
こうした時間が
作り手と使い手の大事な交流だと思っている
お越しくださった方に心から感謝である



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by touseigama696 | 2019-06-18 08:24 | ○陶芸雑感 | Comments(0)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696