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その若さでこう言えるとは

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40年ぶりに書いた月山で芥川賞を受賞した作家
森敦さんに番組でインタビューしたことがある
遠い昔のこと あれからだって40年
既に異郷のひとになられた

事前にスタジオで
話しの内容を打合せしていた時のこと
かなり内容の核心に触れたあたりで
森さんはそれに蓋をするかのように

「もう打合せはお終いにしよう そうでないと
本番で喋るときに気持ちが乗らなくなってしまうんだよ
新鮮な話にしたいからね」 そう言った

森さんは
インタビューでもまるで作品を話して聞かせるように
言葉を選んで淀みなく思いのこもった口調で話されるから
仰るように本番に賭け その通りに収録できたのを覚えている

リハーサルは大事な準備ではあっても
やり過ぎれば予定原稿の朗読みたいで
新鮮味に欠けることもあるから
森さんはそれを嫌った
さすが熟達の語り部だと思ったものだった

こんなことを思い出したのは
久しぶりに同じ台詞を聞いたからだ
大関昇進を手にした貴景勝関の口上の話の折
「口上で話すことは練習したんですか?」と聞かれ

「言いたいことは決まっていたから
余り練習しない方がいいと思って
一応口の中で何度か言って終わりにしました」

この意見は 森さんと同じ意味で
口上に限らず非常にプロらしいものの考え方だと思う
プロはやればいくらでも練習するのが当たり前だが
しかしそれでいて
気持の中の新鮮さを失っては試合に負ける
プロを目指す練習と
プロを続けるための練習は違うのだ
試合直前になると練習を軽めにするのは
身体のこともあるが むしろ
闘争心に新鮮さを維持したいからのように思う

その若さでこう言えるのは
既に会得しているかと思わせた貴景勝
インタビューの答えを聞いていると
とても賢い青年である
自分なりの根拠があっての言い分
それを借り物ではなく自分の言葉で語っているのがいい

小よく大を制す
立派な大関 横綱を目指してほしいものである


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天目鉢 旧作




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Commented by jyon-non at 2019-04-03 16:32
同じ本人から出た言葉にも、やはり旬というものがり、そこに本物の    
言霊が宿るのかもしれませんね。感慨深いお話ですね。          

天目鉢の素敵なこと。言葉になりません。色といい、艶といい、形と言い・・・。
Commented by touseigama696 at 2019-04-04 06:36
jyon-nonさん
ありがとうございます
この天目は今の窯の前の窯で焼いたもの
窯を変えると同じものができにくく
いろいろやり替えないと思い通りになりません
火は気難しいところがありますからね(苦笑)
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by touseigama696 | 2019-04-01 02:18 | ●エッセイ | Comments(2)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696