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愚者のことば

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1988年(昭和63年) まさに昭和が終るあの年
ある機関紙のために色々書いた中に
この「愚者のことば」がある

400字にしたら10枚弱のエッセイが50数編
その中の一篇が「愚者のことば」である

「普段口にする耳慣れた言葉を わたし風に定義してみたのだが
似たようなことは芥川龍之介が「侏儒の言葉」で
アンブローズ・ピアスは「悪魔の辞典」で試みている
興味のある方は読んでみては如何・・」

誠に不遜の限りの前書きは 今にして心底恥じる思いだが
そこを曲げて一部を再掲してみることにした

言葉を 自分なりに定義してみる行為は
不遜とばかりはいえず 有効な学習
そんなつもりで書いたものだった


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『愛』
本当のことを知って冷めれば それは恋
本当のことを知って深まれば それが愛
事実はひとつでも 真実はふたつある


『死』
誰でも一回しか体験できないもので
多少これに似た体験としては「眠る」がある
但し
決定的に違うのは 死には目覚めがない
従って体験はできても体験談はできない


『嘘』
もしこれだけで生きたとしたら
その人生は惨憺たるものだが
さりとて
全くこれなくしての人生も
些か興に欠ける 上手に使えば
「思いやり」とか「温かさ」といった
称賛を受けることがある


『自由』
一日中何もすることがなく
暇を持て余してる人間には全然見えないが
寸暇を惜しんで忙しくしてる人が
ふと出来た時間の隙間に感じる開放感のこと


『友情』
適当に持ってるときは人生で最も価値あるものだが
深間にはまると 言うべきことが言えなくて
お互いの人生を台無しにしてしまいかねないもの


『親子』
母親には疑いのない実感で 一方
父親は深く考えずに信ずべき人間関係のこと
「もしかしたら」がその違いを分けるのかも


『恐怖』
生理的には不快なものだが
実害のない範囲ではちょっと覗いてみたいもの
自分で味わうのは真っ平だが
他人になら快感を感じるひともいる
「権力」などは
こうした人間にとっては合法的な手段として
魅力的に映るようだ


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『幸福』
他人を蹴飛ばしても手にしたいと思いながら
結局 他人を蹴飛ばした奴には
決して手にすることができないもの
金で買える安物もあるが
質の良いものは決して金では買えない


『言葉』
剣を用いて人を刺せば罪になるが
寸鉄で人を刺しても罪にはならない
時に言葉は剣よりも鋭いけれど
人を刺せるほどに使いこなせば
人を生かすこともできる


『夢』
バラ色をしてると言われるが 証明できる写真はない
バクが食べるとも言うが 目撃したひともいない
怠け者が怠けながら自分の限界を越えたいと願うなら
これに頼るしかない


『人生』
量的には浜の真砂ほどありながら
質的には同じものはふたつとない奇妙な時の流れ
自分のものに関しては殆ど何も解っていないのに
他人のそれにはとかくのことを言ってみたい欲望に駆られる
そして これを失う時
自ら為したこと為さなかったことの全てを
正当化しようとして用いる言い訳のことば


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糸抜き採泥茶碗 さくら 自作




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Commented by ryuboku2 at 2019-03-28 17:23
昭和が終わろうとしていた10月、私は現在につながる扉を開けようとしていました。(以後出来事は全て西暦で記憶しています)

どれもとても深い言葉で、何度も読み返しています。
事実はひとつ、真実は人の数だけある、と常々思っていましたので、大きく頷きました。
愛と恋、については全くの門外漢(漢?男性?)である、と再認識。

夢の色が何色なのかわかりませんが、桃青窯さまのさくらの色はモダンで優しいですね!!
Commented by touseigama696 at 2019-03-29 07:42
ryuboku2さん
ありがとうございます
芥川さんやピアスさんを気安くで
ほんと赤面の至りなのでした
事実と真実 仰る通りに考えてきたことです
もう半分とまだ半分も同じですからね
ところで・・
あなたに門外漢があるとは思えませんよ(笑)
そこらへん・・いずれ議論しますかぁ~(笑2)
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by touseigama696 | 2019-03-27 21:32 | ○折々の折り | Comments(2)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696