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天才の悲劇

     
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私はなぜ渡辺茂夫さんを知らないんだろう?
なぜ覚えていないんだろう?
この映像から彼の短い人生をひも解いてみて
どうしてもそれが判らないことに気づいた

渡辺茂夫・・1941年生まれ
42年生まれの私とは一歳違いでしかない
そして
ここに録音されたアヴェ・マリアは
彼が13歳の時の演奏・・同じころ
私もヴァイオリンの稽古をしていた
勿論彼我の差は計りようもないほど大きいが
でも同じヴァイオリンのことだ
彼の存在を知っていてもちっとも不思議でないし
むしろ・・覚えていない方が不思議なくらい
センセーショナルな天才ヴァイオリンニストだったのだ

14歳で巨匠ヤッシャ・ハイフェッツに認められ
ジュリアードに入学しているが・・戦後間もない頃に
日本の天才少年が辿れる極めて狭い王道が
彼には不運な結果となって
16歳の年に脳障害を患って帰国
そのまま演奏はおろか・・一言も発することもなく
1999年58歳で亡くなってしまったとある

この凄まじくも壮絶な人生は
折々に報道されていながら
それでも・・私は知らなかったことになる

母の歳ほどの諏訪根自子さんが
天才ヴァイオリンニストだったのを知っていながら
同じ世代の彼を知らない
どう考えてみても腑に落ちないのである







彼の演奏を何度も繰り返して聴いた
ヴァイオリンという楽器は
もっとも人声に近いと言われてきたが
この演奏を聴くと・・それを強く感じる
音を演奏しているというよ入り
歌を弾いている・・それも実に情感に満ちてである

緩やかな運弓で少ない音符を演奏することは
超絶技巧で目の回りそうな奏法より難しいかもしれない
驚嘆よりも感動・・15歳の少年には既にそれがあった
今日に比べようもなく稚拙な録音技術の時代に
でも深く胸を打つ演奏である

その運弓の要とも言うべき弓の持ち方で
彼はジュリアードの巨壁に打ちのめされたとも言われる
全身全霊で厳しい養父の稽古に耐えた彼の技術は
ジュリアードの権威でさえ曲げられない高みにいた
それでいて彼だけが意のままにできる技術は
権威への抵抗としか映らなかったんだろか
教えることと習得することの間にある
時に魔物のような執念が悲劇を生んだのかもしれない

渡辺茂夫さんを知らなかったことを深く恥じて
聞けるものを聴いてゆこうと思う





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Commented by aitoyuuki13 at 2018-12-23 12:53
私もまったく知らないヴァイオリニスト

リンク先のシューマンとショパンを聴きましたが
録音のせいか、素朴な音色ですが
胸がきゅんとなるような、初恋の感覚のようなものが込み上げてきました
Commented by touseigama696 at 2018-12-24 06:07
aitoyuuki13さん
ありがとうございます
ほんとにどうして知らなかったのか
不思議でならないのですが
メディアの報道量も随分違った時代
知らずか忘れて過ごしてきたのかもです
でも録音が悪くても伝わってくるものがあります
到底13,4歳の少年とは思えない演奏ですね
初恋の感覚・・そそそうかもしれません
待てよ!(初恋も思いだせませんが・・(笑)
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by touseigama696 | 2018-12-22 16:48 | ●エッセイ | Comments(2)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696