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木工の魅力


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パイプの原木になるブライアーの根を
自分でデザインして・・フリーハンドで削る
手の肉をそぎ落としそうな粗目の鉄やすりから
まるで紙みたいなサンドペーパーの1500番くらいまで
順繰りに削り疵を消しながら削りあげる
着色顔料以外一切の光沢塗料を使わずに光らせるまで
削りまくってこれになる

自署を見ると1978年とあるから‥40年前だ
30代だった私
その頃デンマークのミッケやイヴァルソンといった名工が
世界を席巻していて・・当時でも1本が100万円もしていたが
日本ではパイプの愛好者が少なくて
プロが成立する世界ではなかった
だから自作のパイプは自分で吸ったり
数少ない愛好者だった親父にプレゼントしたりしていた

もしあの頃・・プロが成立するなら
もしかしたら晩学陶芸家ではなく
ハンドメイドパイプ・アーティストだったかもだ
もっとも煙草不遇の時代が始まって
どっちみち成立しない仕事だったに違いない

今にして思えば
陶芸をする上で最も大事な資質を学んだのは
このころの木工パイプだった
「目では物は作れない・・手で見ろ!」


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このエッグタイプのパイプは
基本的にはシンメトリーだから
木工ロクロのマシンで削る方が早いし正確である

それをフリーハンドで削ったのが・・この二本
ノギスもコンパスも使ってないが
ほぼ左右は対称に削れている
目でなく手で見たからだと思う

どうするかというと
「目をつぶり・・右手の指三本でボウルをそっと撫で
僅かに感じる抵抗を・・そこだけやすりをかけるのだ
これを飽きずに繰り返すと・・自然な丸みのエッグになる」
やすりの番手を変えながら
次第に抵抗が消えてゆくのを待つのだが
手指が感じる・・ほんの僅かな抵抗は
決して目では見えないことを・・学んだ

陶芸でも・・「目で作らず手で作れ」は生きてる
職人の技術は・・似たようなものではなかろうか


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そうした意味でいうと・・もし今
私が将来のために何か職人的な技術を
と思う若者だったら・・一番してみたいことは

多分・・北イタリアのクレモナに留学して
ヴァイオリン製作者になることだと思う
これはもうパイプの比ではない・・私には
木工芸術の究極地点にある美しさに見える
しかも・・それでいて楽器である
姿形と音色の両立
とんでもない至難の技が要るのだ

ギターと違って
ヴァイオリンの表裏は柔らかな曲面だが
熱処理でまげてるわけじゃなく
のみで削って反らせ・・カンナで調えている
この反りと厚みが姿と音の両方にかかわるので
その微妙さは計り知れないような気がする
素晴らしい緊張のはずなのだ

40年前でも・・クレモナのことは勿論
かつてストラディヴァリウスがそこで作っていたことも
知ってはいたが・・遥かに遠い世界だった
しかし・・今では日本人も大勢留学して
立派な製作者になってる人もいる
50年ずれていたんだと思う

10日ほどまえ
「魂柱』と題してヴァイオリンのことに触れた
重なるが・・このヴァイオリンは私のもの
子どもの頃に弾いたものだ

人生最後の断捨離で・・もし一品残すなら何?
と聞かれたら・・このヴァイオリンと答えることにしよう
理由は・・上手くは弾けなかったが
亡父が俸給の一ヵ月分を投じて
私のためにこれを選んだからで・・そして何より
この楽器の美しさに魅了されてきたからなのだ


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このセピアの一葉は・・覚えている
10歳のときの私・・弾いてる写真はこれしかない
子どもだったが・・身体が大きかったので
大人用の1サイズのヴァイオリンを使っているが
今手許にあるのは・・このヴァイオリンなのである

全ての設えが・・終戦直後の貧しさを窺わせるが
ヴァイオリンを習うなどとは程遠かった戦争からは
想像もできない平和らしき日の始りだったんだろう
何も知らずにいたが・・そんな時代だったのである

66年前の私
失礼だけど・・そのころお幾つでした?




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Commented by aitoyuuki13 at 2018-12-04 08:07
凛々しいお姿です
古い写真ということもあり
ハイフェッツの幼少期と思ってしまいました^^
Commented by zoushoin at 2018-12-04 15:59
ここまで来ると匠の技ですね。
こちらの世界でも極めたかもしれません。
恐れ入りました。
Commented by touseigama696 at 2018-12-05 08:35
aitoyuuki13さん
ありがとうございます
コスモスの美しさ・・感銘です
ハイフェッツの幼年期って・・恐れ多くもですね
彼は5歳の頃すでに名手でしたし・・遥かに男前でしたよ
ヴァイオリンの世界では大レジェンド・・光栄です(笑)
Commented by touseigama696 at 2018-12-05 08:39
zoushoinさん
ありがとうございます
若い頃のことですが
世の中にこんなに沢山面白いことがあるなら
色々やってみたくて 2~3年で意図的に
趣味を変えてた時代のことでした
そうした遊びが今陶芸に生きているとすれば
それも何かの弾みのような気がします
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by touseigama696 | 2018-12-04 01:38 | ●お気に入り | Comments(4)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696