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これも・・平等?

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工房で見るともなく・・聞くともなく
点けっぱなしのテレビが報じてた悲劇

高齢のご夫婦が・・松茸を取りに山に入った
詳しいことは判らなかったが
何かの理由で遭難してしまったらしい
結果として・・妻は
乗って来た車の近くで遺体となって発見された
そしてその日の午後・・夫も
少し離れた場所でやはり遺体で見つかった
車があったのだから
車中で救助を待てなかったんだろうか?
今となっては・・確かめようもない

この事故の報道を聞きながら・・ふと思い出すことがあった
遠い昔・・テレビの番組作りをしていたころ
一緒に取材して歩いたカメラマンのSさんから聞いた話である


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彼はカメラマンが本職だが
同じくらいのプロレベルでアルピニストでもあった
屈強な身体と極めてタフなメンタルの持主で
重い器材をホイッと肩に乗せ
一直線に被写体に近づく歯切れ良さは
実に頼りがいのあるカメラマンだった

彼の話とは・・こうだ
いつだったか冬山で遭難したカップルがいた
ホワイトアウトに巻き込まれ・・道を見失って斜面を滑落した
下手に動けばますます位置が判らなくなる
ふたりとも冬登山の経験者だったから
まず大きな樹の下に雪洞を穿って身を入れた
体温の確保が大事なのだそうだ

夜明けを待って・・彼は彼女にこう告げた
「君はここでじっとしてろ
おれは沢を登って助けを探してくる」

やがて道を見つけ救援隊とも出会えた・・ところが
案内して雪洞に戻ったら・・不幸なことに雪洞が潰れ
彼女は凍死していたという

この事故が報じられ・・彼は世論に叩かれた
大事な恋人を一人残して助かるなんて・・なんて非情な男なんだ
彼女がどんなに不安だったか・・思いやりってもんがない!
概ねそんな批判だったらしい
カメラマンのSさんは・・こう言った

「もし冬山でカップルが遭難したら
このとき彼がとった行動は正しいんだよ
二人とも助かろうとしたら・・これしかない

お互いがどんなに能力が髙くても
生死を分ける危機の時には
男女の特性を無視して同じことをすれば
二人とも死ぬ

この場合での男女の特性ってのはね
男の瞬発力・・女の持久力
平たく言えば・・筋肉と脂肪でもいい

男が急いで助けを探すのは
筋力のあるうちに瞬発力を活かすためで
女がじっとしてるのは
無駄に筋肉を使って燃料の脂肪を消耗しないためだ

冬山では
男は止まれば死に・・女は動けば死ぬ
それが掟なのかもな

だから・・慌ててふたりで沢を登るのも
心細くさせないために彼が彼女に寄り添うのも
どちらも間違いなんだよ
この場合での平等な行為は
ふたりが助かるために非情を情とする決断なんだ
結果は悲運だったが・・したことは正しい
きっと生き残った彼は・・そう思いつつも
忸怩たる思いに苛まれたにちがいないが
世間には理解してもらえない悲劇だったんだろね」

この話・・聞いたのは40年も昔のこと
今の冬山でも同じなのか・・確信はない

それでいて
松茸採りの老夫婦の事故で
妻は車の傍に倒れ・・夫が少し離れたところで死んだ
この様子を聞いたとき
もしかして・・二人はSさん説で行動したのかな
ふとそんな気がしたのだ

車内でじっとしてろよと言われた妻が
車の外で死んだのは・・夫を心配して佇み
その夫は・・さすがに老いには勝てず
遠くまでは助けを求められなかった無念の死

夫婦の間にあった情愛は
遠いか近いかでもなく
危険か安全かでもない
おれにできること
わたしにできること
それが等量でも等質でなくても
結果で評価されるべきことじゃない

男女平等の喧しい時代だが
男と女には・・応分の違いはある
同じことをすれば・・違いがでるが
違うことをすれば・・互いが生きる
手にする利益が同じなら・・それも平等ではないか

男女それぞれの特質を・・相互に尊重し
敬意を払って共存することが
男女平等の本質のような気がするのだが・・

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あんなに強靭な肉体を持ち
重いムービーカメラを抱えて
平然と山野を駆け巡ったSさん

実はもうこの世にいない
山に敗れたわけじゃない
私よりたった一歳上だけだというのに
難病に取りつかれて逝ってしまった

数年前
未亡人の申し出で・・骨壺を作らせていただいたが
カメラを入れるほどに大きくはない
今頃・・身一つで岩山でも登攀しているんだろか?







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Commented by tougeiaska at 2018-11-09 17:23 x
お話の、

  男女それぞれの特質を・・相互に尊重し
   敬意を払って共存することが
 男女平等の本質のような気がするのだが・・ 

何か共感します。難しいことは分かりませんが、
差別だ権利だ平等だと主張する前にこう言うことこそ
みんなが、世界の人たちが認識して欲しいものです。
Commented by touseigama696 at 2018-11-10 06:31
tougeiaskaさん
ありがとうございます
生死にかかわるような局面では
きれいごとは通じないものです
ほんとの平等論は
机上で片付くとは思えないんですけどね

Commented by saitamanikki2008 at 2018-11-11 16:55
こんにちは。
良い文章も添付している写真にも、
お亡くなりになった旧友への愛を感じます。
単に男女平等と唱えるだけでの世の中では、
とても真の男女平等に到達することはないでしょう。
共に愛ある役割分担が必要ですよね。
Commented by touseigama696 at 2018-11-12 10:01
saitamanikki2008さん
ありがとうございます
朝のテレビのおざなりなコメント
もう少しきちんと勉強して話せよ・・と
いいたいことが沢山あります

安っぽい勧善懲悪で通り過ぎようとする
メディアの姿勢に・・いささかの不安です
長生きしたい世の中になってほしいものです

Commented by NT-patientless at 2018-11-15 01:13
平等と均等の意味を、はき違えたはるお人が
仰山いはりますもんねぇ
Commented by touseigama696 at 2018-11-16 07:50
NT-patientlessさん
ありがとうございます
おっしゃるとおりです
平等は等量ではありませんからね
正しく理解するのが難しい問題です
これからもどうぞよろしくです
Commented by m-kumatta at 2018-11-18 17:34
おっしゃる通りだと思います。
本当の男女平等を謳うなら。
まず、男と女という表記を取っ払うところから始めるべきなのだと思います。
女性らしい、しなやかな男性もいれば、
男性らしい、たくましい女性もいる。
また、人それぞれ得手不得手、好み嗜好があり、
それは場面によってさまざまに互いの立場を変える。
一番大切なのはその場にいる者たちの関係性であり、
状況に応じた即時の対応なのだと思います。
Commented by touseigama696 at 2018-11-19 06:45
m-kumattaさん
男女に違いがあって愉快な社会になるのと
違いがあって不快な社会になるのでは
およそ平等の本意からはずれていそうです
違いを認め成果も認めて理解しあうことが
できないもんでしょうかね

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by touseigama696 | 2018-11-09 12:55 | ●エッセイ | Comments(8)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696