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老人たちが一番美しい夜

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これを削りながら
ニュースはノーベル賞でもちきりだった

アクセル踏めば前進・・ブレーキなら停止
誰か考えても・・新しい発見はアクセルが握ってて
「止まるなよぉ~! 進めぇっ!」・・そう思うのが自然なのに

どうやら・・ホントんとこは違うらしい
人間の体を守る免疫細胞はアクセル踏めば
がん細胞と闘ってくれて・・がんを退治できる
ついそんな風に考えてきたが
実際は・・免疫細胞にPD-1とかいうブレーキがついていて
このブレーキが効くと・・がん細胞がへばるんじゃなくて
がん細胞への免疫細胞の攻撃が弱まるらしいのだ
つまり・・ガンが進行しやすいってわけだ
だからガンを退治するには・・ちょっとややこしいが
アクセルを踏むんじゃなくて・・ブレーキを効かなくすることらしいのだ
その薬を開発できたのが・・本庶佑博士の功績ということで
栄えあるノーベル賞に輝いたってわけだ

手術・放射線治療・抗がん剤に続いて
免疫療法がしっかりとした地歩を築いたことになる
日本の基礎医学の研究が
世界的に見れば不遇かもしれない研究環境の中で
それでも見事に結実した成果である

既に臨床でも成功していて
末期がんの患者さんの復活が実現しているとか
将来のことを考えると
この結果がもたらす福音は・・はかりしれない
山中博士のiPS細胞と共に
一日も早く普及してほしい技術だと思う

病のことだけじゃない
次代を背負う若者たちの間に
基礎学問への興味を沸かせる偉大な示唆でもある
オリンピックの金メダルの更に上をゆく起爆力に違いない

私には・・この難しい理屈を理解するのに
アクセルとブレーキの例えなしには
到底不可能だったが・・一方で
この分かり易い例えを敢えて用いる
「既存の常識に竿を差さねば真理は遠い」・・が
同感の一念と共に・・胸に突き刺さった

数字か記号か・・はたまた
聞いたこともない専門用語で埋められた
ノーベル賞の受賞根拠が異次元の世界なら
アクセルとブレーキが・・やたら
ノーベル賞を身近にしてくれたみたいだ


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最近では・・日本人の受賞が増えて
数年に一度位に中継されるノーベル賞授賞式
世界の老人が(老人でないこともあるが)
最も美しく見える夜である

若者が美しい夜は沢山あるが
ドレスコードがホワイトの
最大級に格式を重んじるこの式典は
老いた者でなければ過ごせない長い時間を
偉大な発見のために費やした功績に許される
譲りがたい栄誉なのである

本庶博士が・・ニュースで76歳とテロップされ
1942年・昭和17年生まれの同期と知って
訳もなく近しさを覚えたりするが
あの年頃に・・バカなことしてた我が青春を思い出して
同じ時期・・勉学に打ち込んでいたと聞く博士の
ストイックな日々に・・やはりそうでないとと
彼我の差を痛感するのだった

「会社勤務だったりすると・・自由にできないことも
研究者ってのはいいですよ
好きな時に好きなだけ仕事して・・それが許され
それでも報酬が貰えるんですもんね」
思いがけない言葉だが・・穏やかで自然だ

長時間では拘束抜きに過ごせない時間の
短時間では自由が自在のライフスタイルを
後に続く者への言い伝えかのように話す博士の誘い
研究者への道が・・また少し広くなったようだ


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ニュースを見聞きしながら
どうやら削り終えた水指一基

「長時間では拘束抜きに過ごせない時間の
短時間では自由が自在のライフスタイル」

考えてみれば
陶芸も似てる・・同じではないが似てる
違うのは
どれほどの広さと深さで
人間生活に貢献し得るかだ





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Commented by BBpinevalley at 2018-10-05 11:16
本庶博士の受賞、日本人として嬉しいニュースですね。
博士のご研究が、これから長く人類を救済していくかと思うと、ゾクゾクします。

⬇️ 20年も続けられたお教室を閉められるとのこと、長年ご苦労様でした。
20年の間には、たくさんの生徒さんが学ばれたことと思いますが、三崎さんのフィロソフィーと技術を継いで行かれると思うと、これもゾクゾクするほど期待が膨らみます。
お弟子さんやアシスタントさんはおられるのでしょうか?
肩がとてもお痛そうで、大きなお皿などは、さぞ製作が大変なことと思います。

今回のアメリカ東部の旅では、美術館巡りや美術関係の人に会う機会が多かったのですが、多くのアーティストの健闘ぶりには大変感心いたしました。
彼らには、引退という意識がないのだなと思い、楽することを目的としているような自分とは違うわけだと、反省したり納得したり。
有名な画家でも、ルノワールなど、神経痛の手に筆を縛り付けてでも描いていたらしいですし、マティスもガンを患いながら、車椅子に乗って製作していたとか。
デ・クーニングはアルツで衣服も自分では着られないのに、見事な製作だけは続けており、デビッド・パークもガンで起きられず、それでも横たわりながら絵を描いたと…
まったく恐れ入りました。その頃の作品を見て、また感嘆。
早死にだったアンディ・ウォーホルも、パーティ屋で有名と思いきや、製作態度は真摯そのもの、亡くなる直前まで毎日の大半を製作に使っていたことを知り、驚きました。
時々、偉人の偉業を訪ねて、自分に喝を入れるのも栄養剤だと、神妙な気持ちになりました。
引き続きのご活躍、陰ながら海の彼方から応援しております。
Commented by touseigama696 at 2018-10-05 20:27
BBpinevalleyさん
ありがとうございます
ノーベル賞の功績というのは
すぐに結果のでない仮説の立証を
顕彰する賞ですから
時の流れや表面的なパフォーマンスでは
認めてもらえないわけで
それだけに受賞すれば大きな力になりますね

今月で教室は終わります
やはり寂しさはありますが
いつか来る道です
20年前には考えなかったことです
やはり時はしっかりと流れていたようです
何人の方が通り過ぎて行ったのか
思い出せば一杯懐かしい顔が浮かびます
来月からは静かな工房で
静かに好きなものを作ってゆきます
80歳くらいまでのことでしょうが
作りながら片づけてゆくのかもしれません

アメリカ東部の旅 楽しかったようですね
仕事的にもきっと大きな収穫があったのでしょう
あなたの中から発信されるものを楽しみにしますね
表現したいものを持ってる人は やはり息長く
続けていけるのかもしれません
喋り終わらなくちゃ死ねないんでしょう(笑)
日本への帰国の旅・・どんな旅になるんでしょうか
そのころに異常気象でないように祈りますね



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by touseigama696 | 2018-10-03 00:00 | ●エッセイ | Comments(2)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696