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桃青窯696

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50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・

ストラディヴァリと和製ノコ

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少し古いが・・you tubeのアーカイブ番組
「世界で見つけたMade in Japan」に感銘した

この画面のイタリア人のヴァイオリン職人さんが
「どこで作ってるかは知らないんだ」・・っていうセリフ
ここが物語の始りだった

ストラディヴァリは
ヴァイオリンの古楽器としては代表的に有名で
一台数億円が珍しくない名器揃いなのだが
この手の古楽器は・・今でも演奏に使うには
相当の改良を加えなければならない

傷んだところというだけでなく
作られた400年前には
使われていた弦も羊の腸だったり
そのせいもあって今よりも低いピッチに調弦されたので
そのまま・・現代の金属弦の髙いピッチで演奏したら
弦の張力でネックとボディーが剥がれてしまう恐れもある

そのために
ネックをボディーから剥がして
補強しないとならないのだ
勿論誰がやっても出来るものじゃなく
修理の名工たちが
傷つけないように丁寧に分解するが

このネック(指板)をボディーから剥がすときに
細い切り口で木目を荒立てずに分離させるには
道具に苦労した歴史があって
「どこで作ってるかしらない」ノコギリを見つけて
大感激しているが・・発端だったのだ


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それがこのノコギリ
小さいが思いっ切り切れ味が好くて
細く薄くネックとボディーを分離してくれるらしい


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そしてこれを作っているのが新潟県の長岡市在住の
東賢一郎さんなのである

ここにもひとつの偶然があって
極く普通のノコギリが・・小さなノコに化けるには
思いがけないエピソードがあった

大工さんが使っていた一体型のノコが
刃だけを交換できる廉価品ができるようになって
すっかり使ってもらえなくなって大分経つらしい
困り果てた東さんのところに・・一人の客があった
「細い切れ目の小さなノコを作ってくれませんか?」

それは木目込み人形の作家さんだった
小さな人形の木肌に細い溝を切り
そこに布地を埋め込むためだった
先細りのノコギリの行く末に一筋の光明のつもりで
東さんは切れの好いノコを作って報いた
そんなことから
東さんの腕は復活の道を歩き始めたが

それを更に活かそうとしたのが
遠く北イタリアのクレモナ地方の
ヴァイオリン職人さんたちだったというのだ

東さんの作品と分かって
このイタリア人の職人さんはわざわざ来日して
東さんのノコを10数本とか買い求めて帰ったとのこと

きっとそれで命長らえ
イタリアで名器が復活する機会が増えるとしたら
それこそ職人魂の冥利に尽きること
作った魂・・見つけた魂
活路とは・・そうした魂のぶつかり合いなのだ

職人の職人らしい本気には
いつも感動させられるものである





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by touseigama696 | 2018-07-17 10:05 | ●エッセイ | Comments(2)
Commented by BBpinevalley at 2018-07-17 14:41
これは楽しいお話ですね。
日本の職人さんの技術は大変なものだと思います。
なんだか誇らしいですね。
娘のバイオリンも(ストラディのような大それたものではナイ)、昨年ネックのところを補強しました。
ドイツの古いバイオリンらしく、補強後、確かに音量/音質ともに上がりました。
このノコギリ、私も欲しいな〜

↓ 盆栽の鉢、素晴らしいです。
とても美しく、植えられた木をひき立てますね。
少しご無沙汰すると、もう新しいことをされていて、ついていけないですね(笑)
Commented by touseigama696 at 2018-07-19 07:28
BBpinevalleyさん
ありがとうございます
日本は職人の国で 職人を大事にするという
美徳を大事にしてきたはずなのですが
昨今はPCへの過剰な期待やコスト削減に惹かれて
そうした職人技が少しないがしろになっている
そんな気がしてなりません
だからストラドの復活などにこうした職人さんの
根っからの執念みたいなものをみると
とても嬉しくなります
人間にあってPCにないものは・・愛情と執念
大事にしたいものだと思います

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