2017年 10月 04日
カザルスの望郷 |
ニュースによれば
スペインのカタロニア州で
独立のための・・住民投票が行われ
投票率こそ低いが
あらかたの州民が独立を望んでいて
ために中央政府の軋轢で混乱しているらしい
過去度々のこの運動のニュースを見ると
カタロニアが生んだ不世出のチェリスト
パブロ・カザルスを思い出し
そして
1961年ホワイトハウス
ケネディー大統領夫妻の前での演奏を
聴きたくなる
「鳥の唄」
カタロニアに伝わる古謡である
フランコの圧政に抵抗して
平和運動に一身を投じたカザルスは
晩年・・故郷カタロニアを追われ
終生スペインに戻ることができなかった
ために
フランコ政権を承認した国では
一切の演奏を拒否したが
その承認国のひとつアメリカで
1961年・・請われて
タブーを破ったのがこの演奏なのだ
この若き大統領に期待を寄せて
世界の平和を託そうと思ったからだ
カザルスはそう言ったとか
ホワイトハウスの舞踏室の
きらびやかな集まりの中で
カタロニアの小鳥が鳴いた
カザルスは
「この鳥はピース・ピースと鳴く」といった
深い望郷の念と共に
飽くなき平和への祈りを
この素朴で長閑な鳥の唄に委ねたのだろう
何度聴いても・・こころに沁みる
少年のころ
私が最も最初の頃にやっと買った
高価なLPの一枚が・・カザルス・トリオの
「大公トリオ・・ベートーベン」だった
アルフレッド・コルトーのピアノ
ジャック・ティボーのヴァイオリン
そして
パブロ・カザルスのチェロだ
いきなりの主題が
ピアノ→ヴァイオリン・チェロと続き
瞬く間に曲想に引き込まれる
you-tubeで見つけ
あの少年の日に戻るかのようだ
しかし
カザルスの・・その比べるべくもない
カタロニアへの望郷の思いは
今
独立運動の荒々しさの中で
喜んでいるだろうか
最後の拍手の中に
ケネディー大統領夫妻は勿論
往時のアメリか政府首脳もいる
ケネディーvsフルシチョフで
かろうじて免れたキューバ危機
ホワイトハウスは・・今
また大きな危機に面している
だが・・カザルスのチェロは
もう「ピース!・ピース!」とは
鳴いてくれない
無事に解決してくれるんだろうか・・
by touseigama696
| 2017-10-04 01:00
| ●エッセイ
|
Comments(6)
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by
saitamanikki2008 at 2017-10-04 07:56
こんにちは。
じっくりと拝聴しました。
繰り返す悲しみに、最終に希望を感じた曲です。
政治には興味ありますが、恥ずかしながら
チェリスト パブロ・カザルスを全く知りませんでした。
1961年代 アメリカの記憶を振りかえさせて頂き
誠に有難うございました。
じっくりと拝聴しました。
繰り返す悲しみに、最終に希望を感じた曲です。
政治には興味ありますが、恥ずかしながら
チェリスト パブロ・カザルスを全く知りませんでした。
1961年代 アメリカの記憶を振りかえさせて頂き
誠に有難うございました。
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touseigama696 at 2017-10-05 23:36
saitamanikkiさん
ありがとうございます
晩年の演奏ですが
こころに沁みるのは
カザルスの望郷の思いによるのでしょう
「故郷は・・遠きにありて思うもの
そして悲しく唄うもの」
世界中どこでも同じなんでしょう
帰れない故郷にしたくないものです
ありがとうございます
晩年の演奏ですが
こころに沁みるのは
カザルスの望郷の思いによるのでしょう
「故郷は・・遠きにありて思うもの
そして悲しく唄うもの」
世界中どこでも同じなんでしょう
帰れない故郷にしたくないものです
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BBpinevalley at 2017-10-06 12:16
こんにちは。
カザルス、唸っていますね。
弦楽器は、呼吸で乗っていくので、自然な伴奏なんでしょうね。
しかし、最後の喝采の中に、あんなにバイオレントな死に方をしたジョン・Fや、波乱の生涯を送ったジャッキー・ケネディの拍手もきっと混じっていますね。
今は亡き人々の、美しい一夜の記録です。
しみじみと心に響きます。
カタロニア、いったいどうなるのか…
ロシアは、ここの分裂にも力を注いでいるようで、カタロニア独立に火を注ぐフェイクニュースを辿っていくと、ロシアだそうです。
自国は周りを侵略してでも大きく、そして他国はできるだけ小さく分裂させたい…そういう目論見ですね。
それを知ると、カタロニア、今しばらくスペイン政府に我慢して欲しいものだと思います。
カザルス、唸っていますね。
弦楽器は、呼吸で乗っていくので、自然な伴奏なんでしょうね。
しかし、最後の喝采の中に、あんなにバイオレントな死に方をしたジョン・Fや、波乱の生涯を送ったジャッキー・ケネディの拍手もきっと混じっていますね。
今は亡き人々の、美しい一夜の記録です。
しみじみと心に響きます。
カタロニア、いったいどうなるのか…
ロシアは、ここの分裂にも力を注いでいるようで、カタロニア独立に火を注ぐフェイクニュースを辿っていくと、ロシアだそうです。
自国は周りを侵略してでも大きく、そして他国はできるだけ小さく分裂させたい…そういう目論見ですね。
それを知ると、カタロニア、今しばらくスペイン政府に我慢して欲しいものだと思います。
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HarukoB1 at 2017-10-06 21:19
カザルスの唸り声が心に響きます。妹と一緒によく聴いたLP。この記事をフェイスブックにシェアさせていただきました。ありがとうございます♥
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touseigama696 at 2017-10-06 23:44
BBpinevalleyさん
ありがとうございます
カザルスの唸り・・これ有名で
レコードにもまぎれてるものが多いけど
カザルスには許されてたみたいです(笑)
さすがカザルスですね
加藤唐九郎さんの大鉢は
真ん中からぶっつり亀裂の入ったものが
さすが唐九郎見事な傷!
失敗作扱いにならなかったとか(笑)
名手の役得ですね
人類は世界戦争のない100年間を
経験したことがない
このジンクスは・・
是非にも破ってほしいものです
ありがとうございます
カザルスの唸り・・これ有名で
レコードにもまぎれてるものが多いけど
カザルスには許されてたみたいです(笑)
さすがカザルスですね
加藤唐九郎さんの大鉢は
真ん中からぶっつり亀裂の入ったものが
さすが唐九郎見事な傷!
失敗作扱いにならなかったとか(笑)
名手の役得ですね
人類は世界戦争のない100年間を
経験したことがない
このジンクスは・・
是非にも破ってほしいものです
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touseigama696 at 2017-10-06 23:47