2016年 11月 20日
10年 |

10年前
私は・・自分のエッセイ「折々の折り」に
以下の一文を書いている
陶芸を始めて10年目ころのことだ
そして
それから更に10年が過ぎて
10年という時間が
様々な思いをかきたてる
職業としての陶芸を・・強く意識し始めたのは
65歳の日本伝統工芸展に通り始めた頃のこと
74歳の今思うと・・あっという間の10年だが
その間を年譜で見れば・・色々している
結構充実した時間に思えもするのだ
たかが10年・・されど10年
読み返して感慨深いものがある
今・・往時の私の年輩におられる方に
ささやかなメッセージのつもりで
再掲してみることにした
伝聞だから正確ではないが・・堺屋太一さんの話
「人間は昔から人生の六割を働いてきた
人生50年の時代の六割は30年
15歳から45歳までだった
寿命が80年になって・・その六割は48年
22歳くらいで大学を出たとして48年働くと70歳
60歳あたりで定年ってことになっても
能力的にはあと10年は働けるわけだ
だから・・引退してからの老後ではなく
たった今・・何か自分のやりたいことに
一所懸命になってみたらいい」
こんなことのようだ
「やりたいことを一所懸命に・・」を
「専門家になるつもりで・・」と言ったらしい
このあたり・・私も大賛成である。
大橋巨泉氏の「セミ・リタイア」とも似ている
本格的なリタイアではなく・・一度区切りをつけて
一番興味をもっていることに夢中になってみる時代を
セミ・リタイアと言ったようだ
50歳を過ぎたあたりから
人生は徐々に変わってくる
まぁ住宅ローンを組み込んだりもあって
一概には言えないが・・仕事にもゴールが見え
子どもは自立しはじめる
時間の進み方に僅かなゆるみを感じはじめる年代である。
多忙であっても
ただ闇雲に働くばかりが人生でもなかろうと
趣味を見つけて余暇を割くようにもなる
これは実に良いことだと思うが・・どうせなら
堺屋さんが言うように「専門家になるつもりで・・」
をこころの隅に置いてみたらいい
専門家というと
特殊な技術の必要な難しさを想像してしまうが
職業ばかりが専門家ではない
例えば
「鶏肉料理のレシピを世界中から集めてみよう
その上で自分のオリジナルなレシピを作り出してみる」
長年仕事のように料理してきた主婦にとって
週末料理人をめざす男たちの料理好きにとっても
ただの楽しみの料理ではなくなる
もし・・この研究が実を結べば
鶏肉料理の専門家といっても差し支えあるまい
「薔薇の花の写真を撮る」のも
「毎朝の散歩を俳句つくりの吟行のつもり」だっていい
単なる遊びと思わないで本気で取り組んだら
10年というのは結構なことができる時間だと思う
私が陶芸の手ほどきを受けたときから
今年で丁度10年になる
あっという間の時間だったようにも思えるが
その間の出来事をひとつひとつ思い出すと
それらは随分と遠い日のことでもある
10年という年月の持つ意味が
近頃やっとわかってきた。
言い古された言い方だが
「たかが10年、されど10年」
本当にそう思えるのである
2005/08

by touseigama696
| 2016-11-20 07:54
| ○折々の折り
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