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独創への起爆剤

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10数年前・・この極細の糸テープと
それをやたら隙間なく貼り詰めることで
自分の作風に・・僅かな独創が生まれるとは
夢想だにしなかった

遠目には無地に見えるほどに細かく
ぴっちり正確に平行に貼ってこその・・江戸小紋風
狙いはそこにあったのに
下手くそだったから・・よれよれの線紋
到底・・粋な江戸小紋風とはいかなかった

「こりゃだめだ!」
下手を棚にあげて・・そうほざいたが
一方で
「でも・・何だか波みたいだな」
「ってことは・・波を描けばいいかぁ!」

「転んでもタダじゃ起きない」
独創への起爆剤は・・この精神かもしれない

接着の難しい極細テープを
如何にも波に見えるように・・リズミカルに貼る
偉そうに言うつもりはないが
確かに簡単じゃなかったが

簡単なことで独創に行き着くはずもなかろう
繰り返して少しづつ・・もっともらしくなっていった

予想したことが予想通りできたら
大抵・・誰かが既にやってるもんだ
誰もやってないことってのは
誰も気づいていないか
誰がやっても難しくて面倒なことだけ
そう思うことにしてた

毎晩のように
伝統工芸展の図録を見つめ
どこか隙間に自分の仕事はないか?
「こんなことしてみたら・・どうだろ?」
やってもみずに考えたことは
殆ど図録の中にありそうだ
それほどに・・この図録の中には
作家の苦闘が滲んでもいる
簡単にできそうなことは皆無である

「糸抜き波状紋大皿」にたどり着くには
気づいてから一年は経っていたようだ

それが・・ある公募展で入選したとき
審査員の陶芸家から・・技法のお尋ねがあった
その瞬間・・もしかしたら何かを見つけたかも
そう感じたのを・・思い出す

大抵のことを既にやっておられる審査員が知らない
図録に隙間を見つけた思いだった

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これは・・個展のための尺皿
茄子紺で染めつけるつもりで・・貼ってる
数時間あればできる・・殆どが慣れだ

ただ
慣れが嫌味にならないためには
無暗に何かを足さないことだ
省いてもなお寂しげな表現にしないためには
一本一本の糸が・・生き生きと躍動的でいてほしい

思うことはいつもそれだが
だからといって上手くゆく日ばかりじゃない
何度も貼って・・何度も剥がす

偶然のようにたどり着いた技法・モチーフだが
狙い通りに仕上がるかは・・偶然ではない

「何が良くて通ってきたかを・・忘れるな!」
今・・日本橋三越の舞台の上にある
自作が・・戒めることはきっとそれだ




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Commented by 見てきました at 2016-09-26 13:07 x
三越で桃青窯さんの作品見てきました。
今までのより少し小さくなりましたね。
気になる点がありました。
白い線の溝に所々青い削り粉が残っていたのが目立っていました。
Commented by kuma at 2016-09-26 19:05 x
ここしばらく…レベルの高いお話を、
ただただ…読ませていただいておりました。
自分のオリジナルを見つける事…
いまさらながら、至難の業だと、自覚出来ました。
誰も気づいていないか
誰がやっても難しくて面倒なこと…コツコツ続けます。
Commented by touseigama696 at 2016-09-26 21:37
見てきましたさん
ありがとうございます
あの残滓は・・付着した糸の繊維分なのです
吹き付け後に糸を剥がすときに残ってしまいます
その時点では化粧泥が剥離するので
あまり強くブラッシュングできないので
焼成後研磨で浮かして取るのですが
時々施釉が強すぎて取れないことが起きます
ルーターで細かく削ってはいるのですが
まだ目立ちますね
白バージョンよりも茄子紺は目立ちます
ピンセットで除去する手間を更にかけることにします
ご助言多謝です
Commented by touseigama696 at 2016-09-26 21:44
kumaさん
ありがとうございます
確かにオリジナルを手にするのは
容易じゃないのですが
それでもやはり毎年何がしかの独創を得て
出品される方がいますから
全く無いわけじゃないんですね
まぁこつこつやってゆくしかない世界です
互いに頑張りましょう
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by touseigama696 | 2016-09-24 01:20 | ○陶芸雑感 | Comments(4)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696