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独座観念

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まだ僅かに残っている未整理の箱から
ポロリと出てきた・・死んだ親父の一葉の写真
多分・・60代から70代
大学をリタイアして・・茶を楽しんでいた頃だろう
医者で学者・・学ぶのは得意だったから
遺品の中には・・沢山の免状が残されていた

どうして・・茶に夢中になったか
今にして思えば・・きっとこの一冊に違いない


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ある時
「この中の独座観念の一章・・お前も読んでみろよ!」
そう言って・・この本を寄越した

あの桜田門外の変で死んだ
大老井伊直弼が書いた・・「茶湯一会集」である



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これを読むまで・・私は
茶の湯には否定的な思いが強かった
侘び寂びとはいえ
ひとにぎりの富裕な人々の遊びだと思っていた

本来
「侘び」は・・手に無一物のわが身の質素を表し
「寂び」は・・静謐な自然の佇まい
名物の道具立てに腐心する豪奢とは無縁のはず
だから型に拘泥する茶道は・・そもそも
茶の精神に反するものかと・・疑ってもいた

親父もきっと似たようなことを感じていたはず
そして・・この一章で意を翻したのだと思う

利休の精神は
彼が豪奢を集めたのではなく
彼の好むものが
後に豪奢な扱いを受けるようになった・・とでも
二畳台目は・・どこまでも狭隘で
でもだからこそ見立てで・・無限にまみえる
極めて精神的な世界に昇華し得るのだと思う

井伊直弼の独座観念・・余情残心の一節は
意訳すれば・・こう書いている


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「主客とも・・余情を催し心を残しつつ
挨拶をして別れることになるが
その際 露地を出るにも大声など出さず
客は静かにあと振り返り 名残りを惜しみつつ去ってゆく
亭主はなおのこと客人が見えなくなるまで見送るべし

とりわけ
戸障子などいち早く閉め立ててはいけない
折角のもてなしも無に帰してしまう
客の帰っていった道筋を知らずとも
後片づけを急いではならない

心静かに茶席に戻り 炉前に独り座って
もう少し話もしたかったものを
今頃 どのあたりを歩いておいでだろうか
今日の一期一会は終わり
もう二度とないかもしれないことを思いながら
独り自分のために茶をたてて味わう
これこそ一会の極意である

このとき寂寞として
ともに語るものは 一口の釜のみで他になし

思えば自得してこそのこころの在りようなのだ」


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ひとありてこその茶
ひとを思うための茶
ひとを大事にする茶

見立ては・・自らの侘びを晒して恥じることなく
膝触れ合う寂びのなかで・・相まみえるこころの一会

そう思えば
見立ての設えは・・贅ではなく
ひとへの
思い入れの表れなのだ・・

武骨な武人の教え・・深く心に刻んで
茶碗は・・如何にあるべき
茶を喫する器に留まらぬ願いを探してみようと思う

この独座観念・・以前にも何度か書いた
お読みいただいた方もおられるだろうが
時折・・こうして書き直すことが
自分への鼓舞でもある・・お許しを




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Commented by ho-joan at 2016-07-18 11:00
こんにちは(^^)

読ませていただきまして、103歳でなくなられたお茶の先生を思い出しました。
先生から学ばせていただいた事も、鮮明によみがえりました。
有難うございます。         ぶりん
Commented by akemi-karko at 2016-07-18 17:08
kamadaさん ご無沙汰しております。シェアさせてください。
Commented by touseigama696 at 2016-07-19 08:39
ho-joanさん
ありがとうございます
釈迦に説法だったかも(笑)
ちょっとでもお役にたったのでしたら嬉しいです
たた茶を喫して終わりにしないところ
日本人の優れたところでしょうね
Commented by touseigama696 at 2016-07-19 08:46
akemi-karkoさん
ご無沙汰ですいません
ありゃ・・元気じゃなかったんですね
大丈夫ですか?
どうすりゃシェアできて
そうすりゃどうなるのか
さっぱり電脳音痴の私にはわかりませんが
お気に召すままにということで!
季節柄・・ご自愛をですよ
Commented at 2016-07-19 15:28
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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by touseigama696 | 2016-07-18 04:30 | ○陶芸雑感 | Comments(5)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696