2015年 06月 13日
幽明・・境を異にす |
「病室は〇〇号室です・・」
教えられた病室に・・名札がなかった
「お待ちください・・今ご主人が見えますから」
ほどなく現れた旧知のご主人は
黙って頭を下げた・・それで全てがわかった
「2時間ほどまえに」・・時はいつでも非情だ
彼女は逝って・・私は残った
たった2時間が・・幽明の境になってしまった
2か月前・・自宅で見舞ったのが最後だ
病院の事務長だった時代・・就任して間もない頃
私自身で面接して・・一緒に仕事することになったが
爾来・・私が退職するまでの15年
私は・・自分の右腕を使わずに過ごした
彼女がいれば・・必要なかったからだ
「君を困らせることがあったら・・
いつでも私のところにもっておいで
そうでない限り・・思い通りやっていいよ」
これだけで・・自分の右腕を使うことは
滅多になくて済んだのだ
一度だけ・・思い出す自分の右腕
「もし1時間経っても私が戻らないか
電話してこなかったら・・警察に通報して!」
不良患者の治療費徴収に出かけたときだが
酔っぱらってビール瓶叩き割りながら
それでも不承不承・・払ったっけ
テレビドラマみたいなホントの話
こればっかりは・・彼女の腕は使わなかった
私より3歳下だが・・同じ世代だった
持ってる常識も似ているから
一目置けば・・殆ど暗黙でいい
長々と説明しなくても・・所謂
状況に応じて「適宜」な処理のできる
安心して任せられる専門職だった
定年を過ぎてもなお・・請われて残り
それも済ませて・・数年前退職
「これからは主人のドライブ旅行に
出来るだけつきあうことにします」
そう言っていたのに・・殆ど叶っていない
難病にとりつかれ・・晩年は苦しかった
病室に安置された彼女の表情は
その苦しみを乗り越えた安堵のようだった
仕事の思い出は・・ひとの思い出でもある
ひとあっての仕事・・ひとに恵まれての仕事
あの時代・・いい仕事できてたかもしれない
それは・・自分の能力というより
「誰々」がいた時代だったから・・と言えそうだ
この数年・・大事な仲間を何人も失った
やむを得ない年代なのは承知だが
やはり・・茫漠とした寂しさが押し寄せてくる
愛しきひとがまたひとり・・去って行った
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by touseigama696
| 2015-06-13 06:00
| ●畏友交遊
|
Comments(6)
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ifa-style at 2015-06-15 22:07
今日のお通夜でさえ実感がありませんでしたが、この文章を読むと彼女の笑顔と声が聞こえてきます。
そして遠くに行ったのだと実感に涙が出ます。
そして遠くに行ったのだと実感に涙が出ます。
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touseigama696 at 2015-06-16 04:39
ifa-styleさん
ありがとうございます
久し振りに会えたが・・こうした悲しい場面では寂しいね
君たちを見てると・・
今をいっぱい楽しめよだよ
子どもたちもすぐに大きくなってしまうからね
これまた久しぶりにブログに行ったら断り書きが
どうしたら玄関くぐれるのか教えてね
ありがとうございます
久し振りに会えたが・・こうした悲しい場面では寂しいね
君たちを見てると・・
今をいっぱい楽しめよだよ
子どもたちもすぐに大きくなってしまうからね
これまた久しぶりにブログに行ったら断り書きが
どうしたら玄関くぐれるのか教えてね
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ifa-style at 2015-06-16 18:57
職場を退職された昔のいろんな人に会えました。
でもこういった場面では、寂しさが先行して素直に喜べませんよね。。。
私のブログの閲覧ですが、桃青窯さんはエキサイトブログなので、私のブログのプロフィール画像の下に「ファンになる」とありますのでそこから申請してください。
申請後私が承認すると閲覧可能となります。
大したブログでもないですが、よろしくお願いします。
でもこういった場面では、寂しさが先行して素直に喜べませんよね。。。
私のブログの閲覧ですが、桃青窯さんはエキサイトブログなので、私のブログのプロフィール画像の下に「ファンになる」とありますのでそこから申請してください。
申請後私が承認すると閲覧可能となります。
大したブログでもないですが、よろしくお願いします。
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touseigama696 at 2015-06-16 20:30
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ifa-style at 2015-06-16 21:01
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touseigama696 at 2015-06-16 21:09
あの日のリクルートスーツの可愛い君のカミさんの姿は
今でも覚えていますよ(笑)
引っかかる必要もないほど美しかったよ
大事にしなさいな・・二度ともらえない嫁さんなんだから・・
もうタイミングは計らなくていいから寄ってくださいナ
今でも覚えていますよ(笑)
引っかかる必要もないほど美しかったよ
大事にしなさいな・・二度ともらえない嫁さんなんだから・・
もうタイミングは計らなくていいから寄ってくださいナ