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石橋裕史さんのこと・・

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この展覧会で・・二度のグランプリに輝き
図録の表紙を二度飾ったのは・・石橋裕史さんしかいない
殆ど考えられないほど・・稀有な偉業である
その石橋さんから伺った話が・・今私の頭を巡り
煩悶の中で活路を模索している

それは・・2005年の夏の頃だったと思う
2003年が石橋さんの最初のグランプリで
その次の第18回展の時のことである
石橋さんの作品が・・会場にないのだ
前回のグランプリ受賞者が・・落ちる?
ないわけじゃないが・・考えにくかった

大阪での巡回展の帰路・・京都のご自宅で
色々お話しを聞かせていただいた
アポなしなのに・・嫌な顏もされず
あまつさえ・・夫人手作りの昼食を頂戴しながら
幾つもの貴重な助言をいただいたが
その終いころ・・こんな話をされた

「今回の18回展は・・実は出してないんですよ
色々作ったんだけど・・あのグランプリを超えた作品か?
そう自問すると・・どうもそうじゃないってことになって
そのままで出品する気になれなかった・・ってわけ

メジャーなコンペでは・・
そこでグランプリとったりすると・・あとが大変
仲々前作を越えられなくて・・ひとによっては
ノイローゼになっちゃったりもするんです

そこで・・ここは一度出品を断念して
大きな方向転換のために・・ご依頼のあった
お寺の天蓋制作に夢中で取り組んだんです
ノイローゼになりたくないもんね・・」

年譜にある大阪清風寺の天蓋制作が・・きっとそれだ
やっと入選できて三回目の私には・・到底
想像もできない厳しくも苦しい世界を・・
垣間見た思いだった

「この仕事・・歩留まりが悪くて
ほら・・これみんな失敗作ですよ!」
工房の隅に重ねられた破れ器
それから6年後の・・二度目のグランプリ
物原に積まれた破れ器は・・どれほどだったろう
この名手にして然り・・そもそも苦難の道なのだ

私は・・
石橋さんのろくろに憧れを感じて見てきた
おおらかで伸びやかな器体は
その上なお・・シンプルで精緻である

石橋さんの最初のグランプリの17回展で・・
奇しくも私は・・最初の糸抜き波状紋が入選できた
それが弾みになって・・念願の日本伝統工芸展にも
入選するようになっていった

そして・・6年後の第21回展
石橋さんは・・二度目のグランプリとなったが
私も・・文部科学大臣賞を受賞したのである
発表の日・・真っ先に石橋さんが電話で祝ってくださった
糸抜き技法での・・最初の入選と最初の受賞が
石橋さんの二度のグランプリと重なったわけで
私にとっては・・忘れ難いメモリアルな出来事となった
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こうして・・肩を並べて図録に紹介されたが
その面映ゆさとともに・・今も石橋さんの言葉が思い浮かぶ
「受賞した前作を越えるって・・ほんとに頭抱えますよ・・」

転居が転機になれば・・と思いつつ
劣化を痛感する身体と心は・・重くて鈍い
新しい工房の使い勝手を整備しながら
この数週間・・もしかしたらと思うヒントが見えてるが
「ものになるかな?」・・煩悶はまだ続いている

転居準備で断念した22回展・・それから2年
来年は23回展の年だが・・
まだ前作を越えたとは・・思えていない

「いつ引退してもおかしくない歳・・焦ってもしかたない」
そう呟きながら焦っている・・因果なことだ




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Commented by kuma at 2014-12-24 19:07 x
高みに行けば行くほど、苦しくなる。
陶芸とは恐ろしいものですね。
私には際限なく高い場所ではありますが、
尺取虫のスピードで…進んで行きたいと思います。
Commented by touseigama696 at 2014-12-25 06:09
kumaさん
ありがとうございます
驚かせてすいません
そんな恐ろしいわけじゃなく
ただただ・・みなさん上手いので
その中でしのぎを削るとなると
やっぱり本気でないと通れません

苦しみさえ楽しんじゃう図太さも大事かもです・・(笑)
Commented by ねこちん at 2014-12-25 09:46 x
石橋さんは現時点で日本陶芸展でグランプリ2回、日本伝統工芸本展で受賞3回もしておられます。
すごすぎますね。今後、石橋さんを越える人は現れないでしょうね。
Commented by touseigama696 at 2014-12-26 05:56
ねこちんさん
ありがとうございます
仰る通り・・凄い陶芸家なのです
それでいてあの飾らないお人柄・・
日本の陶芸を背負う方です
もう背負ってるけど・・(笑)
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by touseigama696 | 2014-12-24 00:06 | ●畏友交遊 | Comments(4)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696