2014年 01月 15日
ギヤー・チェンジ |
このエピソードもまた・・遠い昔の話
1960年代の終わりころのことである
まだ出来たばかりの富士スピードウェイで
正確な記憶じゃないけど・・確か
富士スピードウェイ24時間耐久レースというのがあって
カメラマンと一緒に取材にでかけたことがある
今でこそ・・オンボード・カメラというのがあって
マシーンに取りつければ・・自動的に見た目が撮れる
でもあの頃は・・事前にカメラマンを同乗させて撮影したもんだ
何周か私も同乗した・・ビックリすることだらけだったが
一番驚いたのは・・ドライバーのギア―・チェンジだった
数分で走る一周の間・・数秒に一度の割合でチェンジする
めまぐるしいこと夥しかった
前進7~8段だったろうか
走ってる速度に合わせてギアーを選ぶ
それが数秒に一度なのだ・・カーブの多いコースだから
トップギアなど・・直線のほんのちょっとの間だけ
それ以外は・・クラッチとギアは殆ど切り替えっぱなしだった
スピードに応じたギアの選択・・間違えば最後まで走れない
ギアーボックスが壊れてしまうのだ
スピーディーだが・・実にデリケートな所作
高速でレースするとは・・そういうことなのだと教えられた
勿論・・ろくろをレースだと思ってるわけじゃない
しかし・・私はろくろを回すとき
結構・・回転速度を微妙に変化させる
アクセルを踏んだり戻したりだが
今やってる作業に応じた適当な速度
これになるべく神経を使うようにしてる
ろくろの回転数と手の動き・力加減
壺ひとつ・皿一枚を挽くにせよ
造形の途中は・・様々な組みあ合わせで
使い分けることが必要なのだ
ろくろの回転が生む遠心力
その遠心力に逆らって・・手で土を押し戻す求心力
この二つのベクトルを・・無段階で使い分ける
理屈で言えば・・ろくろはそういう道具だと思う
だから・・繊細なギア・チェンジは
欲しい形を担保する・・大事な所作ということになる
あのときのレーシング・ドライバーのギア・チェンジ
今となれば・・とても大きなヒントになっている
仕上げ削りの最終段階である
押さえ土を使ってない湿台は
回転をあげると・・飛んでしまう
だから・・左手で
遠心力に相当する対抗力で湿台をバランスさせ
その上で・・出来るだけ高速で廻しながら
右手のカンナは・・軽い力でゆっくり上下させる
こうすると・・表面は破綻なく柔らかなシルエットになるってわけだ
粗削り1回・・仕上削り2回
どうやら8個・・全部を仕上げた
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by touseigama696
| 2014-01-15 23:24
| ●工房便り
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Comments(2)
茶碗の削り、興味深く拝見いたしました。
シッタのことやカンナのこと、勉強になることがいっぱいです。
私はずっとカキベラで削っていますが、カンナも使えるようにしたいと思います。
ただ、滑り止めの上のシッタはちょっとレベルが高そうです(汗)
シッタのことやカンナのこと、勉強になることがいっぱいです。
私はずっとカキベラで削っていますが、カンナも使えるようにしたいと思います。
ただ、滑り止めの上のシッタはちょっとレベルが高そうです(汗)
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touseigama696 at 2014-01-16 22:58