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国宝の軌跡

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                                大井戸茶碗 喜左衛門 大河内風船子 平凡社より

井戸茶碗 根津美術館・・この展覧会うっかり見逃した
男っぷりの良さに惹かれて・・井戸茶碗が好きだ
この喜左衛門・・14個しかない国宝(陶磁器)のひとつである

由来を辿れば・・李朝朝鮮伝来の高麗茶碗
400年の時を・・生きながらえてきた

誰が作ったか判ろうはずもないが
その陶工が・・最初から優品を作ろうとしたとは思えない
使い捨て同様の営みの器のひとつだったに違いない
だから気取らぬ風情に満ち・・侘びにも寂びにも通じた

大阪の商人竹田喜左衛門が本多能登守に献上し
更に中村宗雲に譲られた喜左衛門は・・転々とした後
京都で島原通いをしていた馬方の手に落ちた

馬方は・・それでも茶碗を袋に入れて首にかけ
馬を引き引き大事にしたという

やがて松平不昧公に・・五百五十両で買い取られたが
今に換算すれば・・5.500万円ほどだろうか
それほどの名碗に育っていたのだろう

しかし・・
伝来の経緯の・・たび重なる不幸に
不昧公を諌めるひともいたらしいが
委細構わずと跳ね返したにも関わらず
不昧公が病に倒れたのみならず・・世嗣も同様の憂き目にあい
とうとう・・大徳寺塔頭の孤篷庵に寄進されたとか
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手元にある・・小野賢一郎著「陶心集」の一節に
この喜左衛門にまつわる逸話が書かれている

国宝の軌跡は・・必ずしも王道・大道とは限らない
紆余曲折を経て・・たった14個のひとつになった
それは14個それぞれに・・きっと同じだ

もしそれを一言で括るとすれば
国宝への軌跡は・・400年の時の流れ
この流れに耐えて・・無事生き残れば
そりゃもう・・国宝で讃えるべき奇跡なのだ

落とせば・・一度で木っ端微塵
400年を生き残ることの難しさは
その一度なしに・・使われ続けた奇跡
一体幾つの手が・・関わったのだろう?
どうやら・・幸運が国宝の軌跡のようだ




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Commented by kuma at 2013-12-23 16:58 x
一個の茶碗が400年生き抜く可能性を考えると、
やっぱり奇跡に近いことなんでしょうね。
陶器である限り、必ず割れるわけですから…
無名の器であっても、意識して日々挽き続けることで、
人を感動させるものができるのかも…と思っています。
Commented by touseigama696 at 2013-12-24 23:11
kumaさん
ありがとうございます
誰が何時作ったかよりも
どれほどに長く使われたかのほうが
意味ある価値かもしれませんね
飽きずに・・大事に使う
「時間」は厳しいものさしですが
正直なものさし・・でもあるから
それに耐えるものを作ってみたいです

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by touseigama696 | 2013-12-23 00:57 | ○陶芸雑感 | Comments(2)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696