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400年の重さ

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誰もいない静かな正月・・工房にいて茶を点てた
井伊直弼の言う・・「独座観念」にしばし思いを馳せた

というのも・・テレビで見た
楽家15代当主・吉左兵衛門さんの背負っているもの
その誇りと・・それに勝る重さについてだ

初代長次郎から400年
秀吉と利休がいて・・聚楽第と待庵の間・・
目に見えぬ光りが・・明かりとりの小窓に潜む
黄金と黒のせめぎ合いの中の・・「侘び」

長い時間と数寄者たちの生死
楽茶碗が・・その全てを見てきたとすれば
それはもう・・
道具を越えた歴史の証言者ともいえる

もの言わぬ証言・・15代が背負っているもの
彼が果たさねばならぬものは・・きっと
茶碗の出来の良し悪しではない・・新たに
彼が生きた時代を証言するという・・宿命を負うことだ

「私なりの新しいものを作るとき
同時に・・私はこの家に伝わる
伝統の一碗を・・作ります」


振子のように・・400年を行き来する精神
彼は・・15代が何を意味するのか
明確に知って・・なお励んでいるのだろう
重さでもあるが・・比類なき誇りに違いない

それは・・
「新しく作った山荘で・・茶碗を作ろうとしたけど
それは・・どうやら無理でした
やはり・・代々が土を手にしたここでないと
茶碗ができないことに・・気づきました」

この言葉にも・・重さがあって心に響く
彼は確実に15人の中のひとり・・地歩は築かれている

ものは・・空気が作る・・気が作る
工房に漂うもの・・それが風格なのだ
400年が見える・・この家にしかないもの

押しつぶされずに全うしようとすれば
それはもう・・途方もないものだろうが
不思議なことに・・
こうした家に・・宿命的に生まれた者には
生まれたというだけで持ちあわせる強さもある

それに気づけば・・その強さは
既に・・大成を約束するものなのだ

謙虚なもの言いの中に・・揺るがぬ自信がのぞく
確固とした15代目だと・・そう感じた

前にも後ろにも誰の陰も足跡もない・・私だけの陶芸
気楽といえば・・実に気楽だが
広大な砂漠の中に佇むように・・
どこに向かえばいいのか・・いつでも不安である

さて・・今年一年も
彷徨って彷徨って・・歩き続けることにしよう





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Commented by はるこ at 2013-01-06 16:40 x
う〜ん 静かないい時間が持てたのですね〜
いいお話ありがとうございました。
touseigamaさんはゴッドファーザーの存在だと思います。
初代......もう砂漠の中をかなり歩いてらっしゃる★
Commented by yumita6 at 2013-01-06 18:30
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
「プロフェッショナル」見ました。
15代の碗を見た事がありますが言葉にできない宇宙でした。
番組ではいろいろなものをそぎ落としていく時間を見ました。
DNAってこういうことなんだなと感動しました。
>彷徨って彷徨って・・歩き続けることにしよう
頑張れー!期待して応援しています(^^)
Commented by touseigama696 at 2013-01-06 23:56
はるこさん
ありがとうございます
ゴッドファーザーだなんて
そんな大物ではございません・・笑
確かに砂漠に溺れそうになりますが
まぁ・・何とか歩いております
Commented by touseigama696 at 2013-01-07 00:05
yumita6さん
ありがとうございます
ご覧になったのですね
名家に生まれる運命を・・どう受け入れるか
滅多に経験できない人生だけに
15代目のように・・しっかりと地歩が作れれば
やはり面白い人生でしょうね

一代限りの陶芸・・
重いものは背負いませんが
確かなものの見つけにくい世界でもありますね
それなりに楽しめれば・・です
Commented by moon-pon at 2013-01-07 21:56
途中からでしたが、私も見ました。
目が釘付けになりました。
真摯に土に向かう姿勢、眼差し・・・。
美しいと思いました。

彼の作品をいつか生で見てみたいと思います。
Commented by touseigama696 at 2013-01-08 00:59
moon-ponさん
ありがとうございます
今・・三越でやってるみたいですね
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by touseigama696 | 2013-01-06 11:41 | ○陶芸雑感 | Comments(6)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696