人気ブログランキング |

骨壷

d0085887_237150.jpg

9月の上旬・・
カメラマンのSさんが・・逝った
2年前に逢ったのが最後だった

このブログでも触れたが・・若いころ
私は・・北太平洋の機上で心臓発作を起こし
アラスカで降ろされて・・
一カ月の入院を余儀なくされたことがある
あの旅は・・Sさんと二人でパリに出向く途中だった

アンカレッジの飛行場で・・別れ
彼はひとりで・・全ての機材と一緒にパリに行った
そして・・私はそのまま退院後に帰国した
1969年のこと・・二人とも20代後半の若者だった

もしあの取材の旅が・・二人で完遂していたら
予定していた3カ月の間に・・
カメラマンとしての・・彼の才能を沢山見られた筈だ

卓越したカメラマンだったし・・アルピニストでもあった
厚い胸板・・精悍なマスク・・そして敏捷だった

だから・・2年前久しぶりに再会した折り
難病に痛めつけられたSさんの肉体に・・言葉を失った
それでもなお・・映像への熱い思い入れが救いだった
d0085887_2371393.jpg

先日・・未亡人となったS夫人が工房に見えた
勿論・・若いころからのつきあい
2年前のとき・・同席されてなかったから
もっと長い時間を経ての再会だったが・・
彼女は・・彼以上に昔のままだった

「斎場から持ち帰った骨壷のまま
自宅に安置してあるんだけど・・
特別な骨壷を作ってほしい・・の

気持ちの区切りがついたら・・
小さく分骨した上で・・納骨するとして
だから・・大きいのと小さいのの二つ

それから・・私の分もね作ってほしいの
私のは・・分骨の必要がないから
大きいほうだけで・・いいわ」

仕事ではあるが・・仕事とは思わずに引き受けた
あのアラスカで生きながらえて・・
今も・・恙無く生きている私にしてみれば
理解を越えて早すぎた・・彼の死を悼む思いを
土に込めて・・作ろうと思った

先ずは・・大きさを覚えるつもりで
ストレートに挽いた・・これを・・
少し形を変えて特別な思いを表してみよう

私の器に・・彼が入る
50年前には・・考えもしなかった運命
願わくば・・安かれと・・




人気ブログランキングへ応援してくださる方・・クリックしてネ!
Commented by 結び窯 at 2012-12-03 01:56 x
4月に逝った母の骨壺を作りました。分骨するためのものと、手元供養の小さ物・・・合計3つ
この仕事を始めたころは考えもしませんでしたが、この仕事をしていて良かったと思えた出来事でした。 ひぐち
Commented by gaunn at 2012-12-03 08:31 x
まあー何という,お仕事に関連すれば
子供の目出度い食器に、、お友達の骨壷
に、、涙とともに作られる事かな、
やはりご縁あってのことですね。
Commented by はるこ at 2012-12-04 01:26 x
私の器に彼が入る、、、
これ以上の友情があるでしょうか、、、
感じたことのない種類の感動で胸がいっぱいです。

友人のお葬式でピアノを弾いたアレックスを思い出しました
仕事なんだけど、仕事じゃない、、って言ってました。。。
Commented by touseigama696 at 2012-12-05 00:05
結び窯さん
ご無沙汰しててすいません
ありがとうございます

ご母堂様のこと・・お悔やみ申し上げます
きっと立派な骨壷になったことでしょうね
きっと喜ばれておいでのことと思います

遅ればせながら
菊池ビエンナーレ・・おめでとうございます
素晴らしい成果ですね

私は・・今回は出品できませんでした
次回を目指して・・また精進してみます
Commented by touseigama696 at 2012-12-05 00:07
gaunn さん
ありがとうございます
確かに・・ひとの命の誕生と終焉
それだけに・・迂闊にはできません
心を込めることでしか報いることのできない作業です
Commented by touseigama696 at 2012-12-05 00:09
はるこさん
ありがとうございます
ほんとに・・彼がここに・・と思いながら
ロクロを挽いています

音楽となると・・
もうひとつエモーショナルなことで
感情が動きますね・・きっと辛い演奏だったでしょう
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
by touseigama696 | 2012-12-03 00:16 | ●畏友交遊 | Comments(6)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696