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個展と公募展その3 (44)

公募展について・・
まだ書いてみたいことはありますが
バランスの意味で・・今夜は・・
個展に触れてみようと思います
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                        2008年春 「三崎哲郎 食のうつわ展」

私に・・初めて個展の声がかかったのは
今から3年前の・・初夏のころのことでした

「どれくらい・・準備期間があればいいですか?」
「できるだけ・・沢山!」・・お互いに笑いました
多分手慣れた作家なら・・数か月あれば大丈夫でしょうが
私は・・何と9カ月もらうことにしたのです
「じゃ・・来年の春ということで・・」

東京青山の神宮前にある『GALLERY 蓮』
私の個展デビューは・・それで決まったのでした

自分の技術的な客観性を求めて
大きな公募展への出品を繰り返し
7~8年手掛けてきた「糸抜き波状紋大皿」が
多少認めていただけて・・
全国に巡回するようになったこの時期

いずれは・・やってみたいことではありましたが
まだまだ・・と躊躇っていたのも事実
そういうときは・・声がかかったことをチャンスと思い
積極的に前へ・・そう決意したのでした

個展をするなら・・それから先・・
長く続けられる自分らしい作品を・・と
考えていましたから・・かねてからの腹案で
早速コンセプトを作り・・テストを開始しました
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                       地元でとれる梨の灰を使った黄釉で・・
                        
その矢先・・6月のある朝
腰に激痛が走って・・動けなくなりました

おまけに・・その手術を受けた直後に
入院中の病院で胆嚢炎を発症
別の病院に移って・・そちらも開腹手術・・

ヘトヘトに痩せての1ケ月・・体力回復に・・更に2ケ月
秋風が吹くころに・・どうやら工房に下りたのですが
残された時間が半年・・焦りました

何でもいいから数を揃えてならいざ知らず
作家生命にもかかわる初個展・・それも企画展
腹案は・・丁寧なテストをしなきゃでしたから
夢中で・・とりかかりました

この「焦り」と「夢中」は・・天敵です
テスト窯は・・
次々と予想外の結果を吐き出してきます
イメージのことごとくが否定されてゆく瞬間
「個展は・・この苦しみを味わう必要があるんだ・・」と
心底・・強烈に恐怖を感じたのでした

公募展なら・・
最後の最後どうしても思い通りにならなきゃ
出品を諦めれば済み・・誰にも迷惑ではありません

しかし個展は・・諦めて済むことではありません
ギャラリーさんとも・・お客さんとも約束があるのです
その上・・言い訳しなきゃならないような惨めな作品では
話にもなりません・・参ったのを覚えています

半年を切るころ・・あと一度テスト窯がダメだったら
ほんとに謝りに行こうと・・こころに決めました
迷惑な話は・・早めが肝心だと思いました

不思議なことですが・・最後のテストはどうにかパスでした
かろうじて活路が見えました・・そこからは一瀉千里
どうにか個展デビューを果たしたのでした
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            日本陶芸展で入選した「黒天目鉢」が・・メインのシリーズでした

この期間・・何で苦しんだかというなら
何も作れないから・・ではないのです
作りたいものが作れない・・ということです

個展は・・比較的小さなものを作って販売します
50センチの大皿をずらりと並べても迷惑でしょう
特に初個展でしたから・・
お客さまとて・・一度は見てやろうもあるでしょうし
つき合ってやれる程度のものか・・の吟味もあります

最初に大事なことは・・まず・・作品がいいこと
二回目があったら・・追加で買ってもいいと思えるほどに
本気で作っている構え・・更に
手頃な価格で・・買い得だったかもしれないと・・
思っていただけること

そして・・イメージ的な言い方ですが
これは「個展」であって・・「陶器店」での買い物とは違う
そうしたビジュアルな個性が打ち出せていること
これが・・個展で受ける審判なのだと・・思っていたのでした


一回目に・・どれだけ準備すればいいのか・・?
判るはずもありません・・余れば余ったでよし・・と
およそ400個近く作りました・・
今見れば・・決して満足できるものではありませんが
「黒の包容力・・」をテーマにしたシリーズで纏めたのでした
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             この手が・・二回目からの・・シリーズに加わりました

いずれ・・黒素地に白の紋様をあしらった
糸抜き技法の作品を新しいシリーズにするつもりで
つながっていってほしいと・・願いました

10日間の期間・・全日在廊で過ごしました
お客さま・・つまり使い手の見かた・・選び方
ヒントは沢山ありました・・有り難いことでした

旧友の個人的な友情・・時には嘆願・懇願・恫喝・強迫・・笑
なんやかんや・・ほぼ完売のデビューだったのですが
これが二度目も同じだなどと・・
決してうぬぼれるつもりはありませんでしたが
二度目には・・また二度目の苦しみがありました

「じゃ・・18か月後に・・またお願いします・・」
最後の晩に・・庵主さんにそう言われて別れたのでした
2008年の早春のことでした・・


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Commented by tes_music_system at 2010-04-09 08:08
個展の大変さと楽しさが感じられます・・・自分もやってみたい・・・?!(笑い)
Commented by touseigama696 at 2010-04-09 10:12
tes_music_systemさん
おはようございます
使い勝手のない作品の・・
なんと羨ましいことですか・・笑
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by touseigama696 | 2010-04-09 01:47 | ●窯だ行進曲 | Comments(2)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696