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機械・・に勝負 (28)

数日前・・機械染めの江戸小紋に立ち向かう
老いたる職人さんの心意気を書いた

そして・・その頃の私は
パイプを削って木工をしていた・・
のも書いた

習作が出てきたので・・触れてみよう
機械に勝負して・・いろいろな手だてを・・
模索していたころのことだ
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真ん中が・・原木ブライアーのブロック
ブライアーという木の根っこ
地中海の岩盤に根を下ろすせいで
凄く硬い・・だから火をつけても
パイプが燃えてしまうことはないのだ
その分・・削るのも厄介である

右は・・イギリスのブランド・・ダンヒルのパイプ
マシンメイドといわれる・・機械つくりのパイプだ
機械仕掛けの木工ロクロで作る
だから・・正確に真円のシンメトリーにできている

左は・・私が手削りで作ったパイプ
金属ヤスリとサンドペーパーだけで削ったもの
電動の道具さえ使っていない

マシンメイドのように削る・・つまり
できるだけ正確に真円・・シンメトリーに
どちらも・・似たようなブロックから削る
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並べてみると・・こうなる
上のダンヒルのほうが・・少し柔らかいシルエット
それも・・機械に折り込み済みの設計
規定を満たすマニュアルがあるはずである
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このストレート・タイプが・・マシン・メイドの基本型
これを・・手で削ってコピーするのが
ハンドメイド・パイプの基礎練習というわけである

機械との勝負
どこまで・・真円・シンメトリーに迫れるか・・なのだ
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定規を使おうが・・ノギスを駆使しようが・・自由だが
手で真円・シンメトリーを可能にするものは・・
いろいろやってみた結果・・目ではない
・・指の感触だとわかった

これは・・多分陶芸でも同じだ
とりわけ・・削りのときに・・それを感じる
カンナを持つ手に感じる土の抵抗が
どこまで削るか・・教えてくれる

目を閉じて・・触れるか触れないかの柔らかさで
パイプのボウルを回転させながら・・撫でる
そして・・
僅かに感じるコブを・・そこだけ少し削る
これを・・コブを感じなくなるまで繰り返した
やがて・・真円・シンメトリーになってるのに気づくのだった

目を閉じると・・
不思議なほどに・・指は敏感になる

今・・陶芸のロクロを挽くとき
同じことをすることがある
厚みを感じたいとき・・目は邪魔なのだ

何本も・・このストレートを削った
これが・・基本だからである
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やがて・・非対称のデザイン・パイプを削るようになる
ブライアーの材料を・・
どう削れば木目を活かせるか・・
フレームグレイン(炎のような木目)・・バーズ・アイ(鳥の目)
デザインと木目の調和・・を狙うのだった
これも・・私が削った作品・・である

直感だが・・このバランス・・
ポットや急須に似てるかもしれない
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裏を見たら・・サインが彫ってある
78年作・・30年になる
フレーム・グレインが浮きあがっている

火をつければ・・少しは熱ももつ
だから・・塗料は塗っても剥げる
染料を掛けたら・・あとは磨くだけ
自然な光沢が・・火でトロリとする
それも風合い・・やきものと同じ

機械は・・手仕事の敵ではない
江戸小紋の職人さんの話に
深く共鳴できたのは・・似たようなことに
呻吟していたからなのかもしれない

学生のころに・・無理いって書いていただいた
昭和の文豪 井上靖氏の色紙に・・
『私には 正確なものだけが美しく見える』・・とあった

<・・だけ>に異論はあり得るが
正確・・ということは・・
やはり大事な美の要件だと・・思う


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おまけの一枚・・もう吸ってはいないが
一本一本のそれぞれに・・懐かしい思い出がある


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Commented by sam at 2010-03-09 11:07 x
50歳からの陶芸 の 根源はパイプにあったのですね・・
自作のパイプ素敵です。 40年程前、私の先輩がいつもパイプを銜えていました、その姿が格好よく憧れてまして・・私もパイプを買いましたがタバコと違いパイプは きつくて吸えず・・パイプはそれっきりでした。
あのパイプどうしたかな・・・   今は作陶に憧れています。
40年前から先生との違いを知り・・理解できました。
ありがとうございます。
Commented by touseigama696 at 2010-03-09 22:56
sam さん
ありがとうございます
学生のころから・・パイプを吸っていました
煙草の美味しさからいえば・・これが一番です

自作のパイプに・・煙草を詰めて
最初の火をいれるのも・・なかなか
でも・・ほんとに美味しいのは
最初ではなく・・ボウルにカーボンが付着して
使い頃になってから・・
そりゃもう・・夜中に独りで悦にいってました・・笑

いろいろ楽しんだことが・・
今生きてるみたいで・・だから
陶芸は・・ファイナル・ホビーなのかも・・笑
Commented by doroncoasobi884 at 2010-03-10 00:55
学生のころ
確かに興味を持つものの一つではあります。
ご他聞に洩れず自分がパイプを吸っている姿に
憧れ悦に入り気取ったものでした。
あれは確かシャコム?角ばったパイプでした。
携帯用のバッグも皮製で一端気分でした。
samさんと同じであのパイプどこいったかなあ
です。
その後喫煙は27歳のころ
ドクターストップできっぱり辞めました。
あのころにパイプを自分で造ろうなんて
思ったこともありませんでした。
今だったら余裕があれば...
選択肢にはあります^^
Commented by touseigama696 at 2010-03-10 01:06
doroncoasobi884さん
ありがとうとざいます
doroncoasobi884さんもパイプやりましたかぁ・・笑
手を出すひと多いけど・・舌をやけどしてやめてしまう・・んだよね

シャコムはフランスのパイプだったかなぁ・・?
私は・・取材にでると・・一つの町で一本買って
その町にいる間は・それで・・って具合で
メモリアルにしてたことがありました

今でも富士の家には・・置いてありますが
100本以上持ってたたかなぁ・・
散逸したのもあるでしょう・・懐かしい話です・・笑
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by touseigama696 | 2010-03-09 01:21 | ○陶芸雑感 | Comments(4)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696