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手取りの良し悪し

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やきものの世界では
器を手にして好みを測るとき
手取りが好いとか悪いとかいうことがある
手取りと言っても
懐に入る現金給与ってわけじゃない

手許にある「やきもの辞典」で引くと
「触感によるやきものの鑑賞法
重量感にも通じる」とあり実に曖昧である

茶碗でも湯呑みでも実際に手にもって
その時感じる気分の良し悪しを言うのだ
「大きさ」「重さ」「感触」それらをどう感じたか
それが手取りというわけだ

この物差しはある意味ではとても難しい
極めて主観的な判断で
どの程度の触感を良しとするのか
大いに個人差がありそうだ

以下は
私見の域で思うことを書き連ねてみよう
陶芸を始めてから四半世紀を越え
その間何度もこの物差しのことを考えさせられた

大きい小さいも 重い軽いも
手にして滑らぬ安堵感のあるなしもどれも大事だ
但しそれを一定の寸法で言えるものか
ここからは理屈抜きの思うがままである

写真は私の旧作の飯茶碗と湯呑みである
食卓では最も日常的で身近な食器である
だが作り手にとって
このふたつは真反対な手取り感を秘めている

茶碗は飯を食う道具で
一箸ごとに手にして口元に運ぶ
一度の食事で何度上げ下げするだろう
かなりな回数になる
それでいて盛るのは飯だから熱くはない
そういう用途なら手取りはどうあるべきかだ
出来るだけ軽くがいいに決まってる

一方湯呑みの場合だが
同じように始終手にして口元に運ぶから
多分軽い方がいいはずだが
ここでは二手に分かれる

煎茶湯呑みなら熱湯は注がぬから
薄手の軽いものがいい
実際汲みだし茶碗は磁器で小ぶりで軽いが多い
ところが番茶となると大ぶりで熱湯が多く
薄手で軽けりゃ手が火傷しそうだ
大ぶりで湯冷ましにもなりそうなのがいい

こうしてみると
用途を考えずに手取りの良し悪しはない
茶碗や湯呑みを挽いている時
頭にあるのは用途への対応である

幾ら軽く作れても
軽くちゃいけないものもあって
その反対もある

お茶席に
大きな寿司屋湯呑みに玉露で入れてみたり
薄手の磁器茶碗で熱湯茶漬けを出してみたら
「これ軽いね だけどこっちは重い」
では片付かない手取り論争になりそうだ

こうしてみると
ロクロを挽くってことは数字を作ることではなさそうだ
最も適切な手取り感は
手にした瞬間何も感じない重さ
つまり
軽すぎもせず重すぎもせず
今使おうとしている用途に一番相応しい感触
それが手取りの良さであり器の理ではないだろうか

目測を間違えて
低い筈の階段ステップが高目だったりすると
人間はそれだけで転倒してしまう
実体と予期が同寸であればこそが手取りの本質なのだ


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昨日粗削りした8枚の16㌢鉢
同寸同姿を狙って仕上げ削りした
このサイズと用途からは口元に運ぶ器ではなく
だからといって手にして重いと??かもしれない
余分な重さは削り落として
姿も重さも手取りはこんなもんかと終わりにしたのだった



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# by touseigama696 | 2022-01-19 21:31 | ○陶芸雑感 | Comments(2)

タイムラグの知恵比べ

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私の工房には
用途別にロクロが4台据えてある
教室時代の10台から減らしてこうなった
左から順にNo1→2→3→4とすると

No1は白半磁土専用機
白土が黒泥で汚されないための分離である
No2は同時進行が必要な時の白土専用予備機
そしてNo3は黒泥専用機
No4は元々の大型作品用を活かしながら
平行時の黒泥専用予備機である


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考えてみると陶芸というのは
連続する作業で
やむなく必要な時間差を
別の作業にどう組み込むか
能率を図ろうとすると避けられない要点である
タイムラグとの知恵比べ
毎日これと戦ってきたような気がする


陶芸の始まりはロクロ
濡れた土をロクロに据えて
更に濡らしながら成形することで前進する


タイムラグの知恵比べ_d0085887_00490808.jpg

こうして皿を挽いたとすれば
かなり乾燥するのを待たねば先に進めない
それを待ってる時間は
更に遡る同じ作業で埋めたり
全く別のカテゴリーで埋めたり色々である

例えば
ロクロ挽きした作品を乾かしながら
前日乾かした作品の削りをしたり
同じ時間に
素焼きを済ませた作品に加飾をしたり
既に加飾した作品に釉薬を掛けたり
時間の流れに隙間を作らずに工房全体を進行させる
作家にとってはパズルみたいなものなのだ


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こんなこともする
丸い皿の四面を切って四方皿に仕立てるのもそうだ


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これが済めば素焼きに回して先へ進む


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素焼きが済んでいれば糸を貼って彩色を急ぐ
糸を貼るのは思いがけず手間取る
ロクロ挽きに比べれば余ほど進捗は遅い
それも頭に入れておかねばならない


タイムラグの知恵比べ_d0085887_01164466.jpg

右と左は
同じような色合いに見えるが
混色の比率を大分違えている
焼成後にどんな色合で上がるか
調合を記憶しておかねばならない
劣化する頭には段々負担が大きくなる


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更に今日は
30㌢弱の鉢を3個ほど挽いた
すきな大きさである

剥き出しのまま乾燥任せ
明日の朝から削るつもり
今日のタイムラグとの知恵比べ
結構細かく空白のラグを埋めたつもりの一日だったが

その分遅れをとるのが・・掃除
今日出来ることでも疲れてるなら
明日一所懸命やろう!
緩い掟である

独りっきりの工房の気まま
好いような悪いような・・




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# by touseigama696 | 2022-01-17 02:22 | ●工房便り | Comments(1)

赤いオーロラ

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この寒々とした光景
南極だろか?それとも北極?

この小屋は北極圏にあって
ノルウェイの領土内のスバールバル諸島にある
一般人が住んでる最北の定住地なのだそうだ

夏季は白夜で冬季は極夜
明るいか暗いかしかない一年を
BSが紹介してくれた
「赤いオーロラ」が見られる場所なのだそうだ


赤いオーロラ_d0085887_09192375.jpg


雪のように降る星々
姿を見せはじめた赤いオーロラ
私は初めて見た

ここでもいつでも見られるわけじゃないようだ
各国から研究者たちも滞在して
「赤いオーロラ」と見つめ合っている
この映像の中に一点の変化を指さし
「これは今までに撮れていない
多分新発見でしょう」
興奮気味にそう言った

研究の長さだけが教えられる
道半ばの果てしなさを伝え聞いた思いだ

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この研究者たちは
時間がとれて費用が作れたから
かねて念願のオーロラを見に来たわけじゃない

極地科学の先端で新しい発見を求めて
ここに基地を作ったのだ
揺るぎない興味を持った彼らには
移動だけではなく定住の中での探索
それも壮大な旅のコアなのだ

旅は決して嫌いではないが
内面を揺さぶるモチベーションに駆られて
思いがけずに果てなくも
そんな旅は経験したことはない

もし生まれ変われるなら
今度は勉強を嫌わずに生きてみよう
好奇心が目覚めるに相応しい動機としての知識欲
壮大な旅の入り口はきっとそこだ



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昨日も終日私の定点コックピットで
ささやかな進歩を探して
六枚の皿に色々手を加えた



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# by touseigama696 | 2022-01-14 10:24 | ●エッセイ | Comments(0)

盆栽便り


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「椿」に思うことのひとつ・・潔さ
物を作りながら想うことも・・同じ潔さ

巧くゆかないことに焦れず
じっと我慢するって
下手を認める潔さあってのこと
貫けば「誇り」に通じる
椿の花ことばとか・・


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去年の暮れに
岸本さんに納めた鉢のひとつ
彼女とのコラボも3年目の春
穏やかに花を愛でる
良い年になってほしいものである




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# by touseigama696 | 2022-01-12 09:48 | 〇盆栽 | Comments(4)

今年のプラン

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以前は時折挽いてた俵筒湯呑み
好きな形だ
何故かちかごろストレートな屹立ばかり
たまには挽いてみようと思い立った
昨日の午後のことだ

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昨日挽いた分削った
屹立ちより少し楽に削れる
真っすぐというのは何につけ難しいのだ


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真っすぐなラインを削りだそうとしたら
器の腰の辺りでやや絞って
エックスラインっぽくする必要があって
少々手間がかかる

俵とか卵のシルエットは
そのまま挽いて削ればいい
とはいえ
ストレートの気持ち良さは別段のこと
私は好きである


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でも柔らかなラインに惹かれるものも多く
今年はこれも作ろうと思ってる


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これはテストピースみたいなもので少々お粗末だが
ご希望も頂いている
改良版を起こしてみよう


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今日の午後はこの手の皿を挽いた

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尺には一寸届かないが28㌢
これは昨日書いたが四方皿にするつもり



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正円の口縁部を四面で落とせばこうなり


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一方紋様で四方を描けばこうもなる
形にあった紋様で曲のなかに直を求める
色々楽しめそうだ

「自然界には
自然に存在する直線はない」

直線は人間が編み出した独創(?)らしい
そういえば
真四角なコスモスって見たことないな・・・


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# by touseigama696 | 2022-01-11 01:33 | ●工房便り | Comments(2)

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・


by touseigama696