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桃青窯696

touseigama.exblog.jp

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・

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これは・・昭和51年に矢来書院から発刊された本の表紙
新刊時に2300円だったのを・・
数年前のことだが・・どうやら
私は・・古本で2800円で買ったようだ

でも・・少しも損したとは思っていない
『瀬戸物』が瀬戸の町でどのようにして伝わってきたのか
古い窯業地の古い生業が・・とてもよくわかるから・・

写真一枚とコラム風の一文が
決して長文ではないが・・実に味わいがある
著者もまた・・この地に窯を築いた陶工である

つい数か月前・・ひとりで瀬戸 美濃 常滑を歩いたのも
この一冊に触発されたからだったかもしれない

今から30年前に・・
更にその時から4~50年を遡る瀬戸を描いている
往時の職人の生き様は・・とても興味深いものがある
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ページを繰っていると・・この写真に出会った
「窯焚きは尾頭つき」
陶房で働く職人を「モロ衆」というが
当時のモロ衆の食事は結構粗末だったとある

でも・・窯焚きさんは別扱い
焼き手の気分が窯を支配するかららしい
だから食事は・・尾かしらつきが決まりだったとある
この写真でも・・三方に乗せられた食事が出されている
ただ・・立ったまま食べねばならないのは
今も昔に変わらないのだそうだ

この写真眺めていて・・
『うぅ~~ん・・どっかで見たことあるなぁ・・?』
探したらあった・・
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窯の焚口の前で悠然と・・
豪華な弁当を食べているのは
今は亡き・・名工加藤唐九郎さんである
名人だから・・かと思っていた豪華弁当だが
加藤さんもまた・・瀬戸の名工
昔からのしきたりに従って用意されたものだったのかもしれない
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上の写真は・・この「唐九郎のやきもの」という平凡社からの本に掲載されている
唐九郎さんを知るにわかりやすい一冊である

殆ど・・いつもと変わらぬ惣菜食事を摂りながら
早朝から深夜までの窯焚きに拘束される
名工に非ざる迷工の愚痴かもしれないが
「こんな弁当・・どなたか・・?」と
願いながらの垂涎なのである
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# by touseigama696 | 2008-08-21 23:51 | ○陶芸雑感 | Comments(0)
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粉引きは・・大好きなやきもののひとつ
磁器の白さと違って
どこか恥じらいを感じさせる紅味が
温かな気分を醸します

定番シリーズの黒釉粉引きの汲みだし茶碗・・
ご注文いただいたうちの一個
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10月に使う予定で30個ほど焼いたぐい呑み
鉄分の多い土のせいで・・
紅く窯変しています
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まるで紅志野みたいです
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粉引きは・・白い発色が原則ですから
この御本の引き方には賛否があるかもしれませんが
私は嫌いではありません
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釉薬は石灰透明釉を使いましたが
この釉を変化させると・・発色も変わります
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レシピを変えて・・ややマット系にすると
こんな感じ・・かなり白っぽくなりました
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一輪ざしも少し入れました
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ろくろ挽きしたものですが・・
挽くときには・・三手くらいで
手早く・・大胆に・・を心がけています
粉引きにはそのほうが似合うような・・
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# by touseigama696 | 2008-08-18 23:32 | ○ギャラリー | Comments(8)
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近頃何となく・・大真面目なものづくりみたいな気がして
だから・・もっと軽やかで・・楽しげな器を・・
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で・・昨日の窯にこんなのを入れてみた
徳利・・同じ素焼きに天目を掛けて
ガス窯に入れてあるが・・それはそれで・・
パステル泥彩風・・はどうだろっ?
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ついでに・・粉引きにするつもりで白化粧した皿にも・・
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こっちも同じ・・結構楽しいもんだ
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つば広鉢にも・・


more・・で 窯焚きながら・・ロクロも挽きました

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# by touseigama696 | 2008-08-17 22:10 | ○ギャラリー | Comments(6)
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最近・・割合い気に入って作ってるシリーズ
土は鉄分の多いやや粗めの赤
外は・・マット系の黒釉を刷毛塗りしますが
一部を掛けはずして石灰釉の筆塗り
赤い帯がそれです

見込みは・・
藁灰釉に石灰釉を併せ掛け
釉の濃さと土の鉄分の反応で
複雑に発色して・・案外面白いと自画自賛・・笑
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黒釉で捲く前に作っていた作品ですが
同じ掛け分けを・・
規則的にしたのがこの沓型鉢で・・
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柄杓で併せたのが・・この輪花鉢です
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外側を黒釉で捲くけど
見込みはいろいろな釉や顔料で変化させる・・って
春の個展以来・・続けていますが
思いがけない副産物みたいな収穫は・・
単味の釉の場合よりも
形の変化を追及するようになりました
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つば広の鉢に小さな見込
つばと見込の面積比を追いかけてると
結構面白い形なるような気がしています
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# by touseigama696 | 2008-08-13 23:33 | ○ギャラリー | Comments(6)
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数年前に作った極く小さな一輪挿し
野の花一輪のため・・

大きな器よりも小さな器は易しい・・
・・ってわけじゃない
大きいってだけで・・
何とはなしに華やかさが漂うが
小さな器に・・それなりの存在感を・・って
こりゃ案外難題なのだ

わずかしか動かせない小さな土に
大胆な力と・・技を・・
大皿のほうが易しいかも・・って思う一瞬

一輪挿し・・ぐい呑み・・水注・・茶入れ・・香盒・・
名品の多い世界でもある
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# by touseigama696 | 2008-08-10 00:16 | ○ギャラリー | Comments(10)
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結局のところ・・ロクロは数挽くことだ・・と思う
とりわけ・・同寸同姿を並べようとしたら
手数を揃えて・・できるだけ短時間で・・がコツだ

千本ノック・・
往年のミスター長島が学生時代にこなした稽古
ヘトヘトになった900本から先にこそ
身につくものが多かった・・と述懐していた
数は力なり・・その継続が更なる力なり・・である

最近・・Sさんに課した稽古
一日100個の茶碗挽き・・累計で千個をできるだけ短期間に・・
理屈でなら・・10日で千個のはずだ
数日前・・昼食をはさんでおよそ7時間・・100個を達成した
繰り返すことで・・時間はどんどん短縮されるだろう
終れば全てつぶして土練器行きである

口もきかずに熱中していた
一番厄介なのは・・集中力の持続
技と一緒に・・その集中と体力が養われる
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2キロ半くらいの粘土を菊練りして
板一枚に8個を並べる・・1個が300グラム
これを繰り返して13枚目の板で104個ってわけだ

Sさんの場合・・道具は牛ベラ一枚
この道具を使いこなすにもいい稽古になるに違いない
この日以降も続けているが
見る見るうちに形がしっかりしてきた
既に500個は挽いてるようだが
千本ノックが終れば・・
その達成感がきっと大きな自信になると思う

『・・この後に・・向勢と背勢について
加藤唐九郎さんの話を引用して書いたが
うろ覚えで心配になって・・調べました
やはり・・私の理解が少し違っていたみたいです
従って・・削除することにしました
お許しを・・7/27・・』


近々・・Kさんも千本ノックに挑戦する
しかし・・こちらはSさんとは別の意味の千本ノック
始まったら・・またご紹介してみよう
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# by touseigama696 | 2008-07-27 00:07 | ●窯だ行進曲 | Comments(18)
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ほぼ昨日一日かけて加飾した大鉢だけど
どうしても気に入らなくて・・
全部剥がしてやり直すことにした
ピンセットでつまんでは剥がしてゆく

細かいこといえば・・
時間もコストも勿体ないが
気に入らないまま焼いて・・
それでいて気に入った仕上がりに変貌したことは
・・一度もない
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延べ延長200メートルほど貼ってあるはずだが
どうせ剥がすならと・・途中を抜いてみた

全面貼ってあると波状紋だけど
こうして中抜きしてみたら・・
意外と面白い帯状になるではないか・・
何やら波に動きを感じるし・・それに
少々色っぽささえ漂う

中抜きの剥がし方はもっと工夫すべきだが
もしかしたら・・面白いかも
別の皿で試してみようかな・・

失敗は失敗なのだが
転んでもただでは起きない「根性」とでも・・
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全部剥がした後・・改めて加飾を始めた
ご覧のように下絵があるわけじゃないから
ここら辺に波を作って・・ここら辺で分岐させて・・
一本一本糸を貼りながら・・考える

荒れた海・・穏やかな波・・
波に表情を作るための技法に
また新しいコツを探さねば・・と思いつつ・・
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# by touseigama696 | 2008-07-10 23:42 | ●工房便り | Comments(8)
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古窯気まま旅から戻って・・あっという間の一ヶ月
締め切りの迫った展覧会を目指して
大皿に加飾しながら・・あのゆったりとした数日を反芻している
・・古窯に流れるあのゆったりした時間を・・
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昨年春の・・日本陶芸展大阪展に出向いた帰路に寄った丹波立杭に続いて
六古窯のひとつ・・常滑
やきものに関わりながら・・訪ねるのは初めてである
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観光客相手の陶芸散歩道・・
昔ながらの常滑の風情を知ってもらおうという試み
江戸のやきものづくりをそのままにした
あの小鹿田の里とは・・少し意味はちがうが
古き常滑が垣間見える
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観光だからといってしまえばそれまでだが
この陳列は・・少し寂しい
かつて出かけた信楽でも似たようなことを感じたものだが
由緒ある窯場が・・その由緒を輝かしくかかげるのは
もしかしたら容易ではないのだ
伝統と観光は・・簡単には融和しない
伝来の常滑焼き・・をそのままに・・が
時代の風にさらされた「みやげもの」になれるのか・・・?
難しいところだ
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「ちょっと入ってもいい・・?」
前方に座して仕事している女性は手を振って断った
断られたけど・・この工房の風情は好きだ
照明にゆとりのなかった時代に
まるで木漏れ日のような光りの下で
いつもの営みが繰り返されているのだろう
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既に火のくべられることのない窯跡が
町の随所にあって・・昔日を偲ばせているが
しかし・・ここは今でも由緒ある窯場なのだ
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この散歩道のあと・・常山窯を訪ねた
数年前に他界された人間国宝山田常山さんの窯である
急須の名人だった・・見るからに美しい急須・・
常山さんのロクロを収録したビデオは・・
いつでも私の大切な教科書でもあった

四代目を襲名した絵夢さんと・・三代目の未亡人におめにかかり
しばらく話を伺った
常山さんの急須といえば・・それはもう羨望の道具なのだが
しかし・・その陰に潜む急須つくりの歴史的な悲哀
安穏な道ではなかったことを・・
しかし・・三代目の強い信念に一目も二目も置いて
言葉の端々に限りない尊敬の思いを計り知るのだった

伝統とは・・時代とともに変化すべきとしても
しかし・・生涯を貫く信念なしには継承できないものでもあるのだ
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# by touseigama696 | 2008-07-05 22:45 | ○窯場探訪 | Comments(6)
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先日のぶらり旅の報告もまだ済んでないのだが・・
久しぶりに・・窯を焚いた
毎年のように・・花のお稽古の一環で
花器を作りたいという活け花教室の
体験陶芸を焼いたのだが
窯にゆとりがあったから
自分の作品も・・入れた
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何の変哲もない白土で挽いた花入れに
線象嵌を施して・・色を差したもの
土に含まれた僅かな鉄分が引っ張り出されて
ほんのりと紅色を呈している
そうなら・・色を差す必要はなかったかなぁ・・?
引き算陶芸・・の視点からだと
余計なことをしたんだろうか・・ちと悩ましいところかも
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定番の黒泥で挽いた30センチほどの深鉢
このブルーが好き
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灰釉の厚掛けだが・・意図的に掛けはずしてみた
この黒素地に・・何か加飾するかどうか・・
これも悩ましい・・
金を使ってみようかな・・?・・やっぱり悩ましい
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# by touseigama696 | 2008-06-19 23:57 | ○ギャラリー | Comments(14)
この仕事が終ったら・・
暫くどこかへぶらり旅に・・と決めていた

先週の水曜日の深夜
愛用のワンボックスの後部座席に
快適なベッドを設え・・寝袋一枚に枕をひとつ
適当に着替えと日用品を積み込んで
中央高速に乗った

この夜から・・結局5日間
何一つ予定も予約もない・・ひとり旅が始まった
古い窯場を訪ねて・・その空気を吸ってみたい
それだけで・・出発したのだった
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諏訪の辺りで・・2時間ほど仮眠して
あとはひたすら走った
夜明けには多治見に着いた

ナビゲーターは・・こうした旅にはなくてはならない必需品
音声ガイドを頼りに・・人気のない古窯跡にたどり着いた
大萱 牟田洞古窯跡である

かつて・・荒川豊蔵さんが
志野が・・瀬戸ではなく美濃のやきものと発見した
あのドラマティックな歴史の書き直しの舞台がここだ

魯山人のもとを去って・・この牟田洞に窯を築き
志野の再現に生涯をかけた荒川豊蔵の人生が
ここの空気の中に流れている
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ひっそりとして・・雨に打たれた色濃い緑だけが
溢れるほどに覆いかぶさってくる
朽ち葉を踏みしめながら歩いた
黙って・・ゆっくりと・・歩いた
やきもの・・って
そんな風に歩く地味な仕事だと
しみじみと思った

荒川豊蔵氏の薫陶を受けた志野の人間国宝鈴木蔵さんに
お目にかかったのは・・この日の午後のこと
突然の訪問でご迷惑だったろうに・・
こころよく通してくださり暫くお話を伺ったが
「ゆっくり焼いてゆっくり冷ます・・志野って・・それだけだよ・・」
そう言えるまでの長い時間・・途方もない試作の日々
静かなもの言いの・・静かな迫力
ゆるぎないものが伝わって・・気をいただいたようだ

旅は・・多治見 瑞浪 可児 土岐 瀬戸 猿投 常滑・・と続く
気ままなリラックスの独り旅・・ほんとに久しぶりのことだった
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# by touseigama696 | 2008-06-06 00:32 | ○窯場探訪 | Comments(10)