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このブログにもリンクして交流している 『窓際の陶芸家』
どうしよう花さんが出版した
是非拝読したい・・と申し出たら
早速送ってくださった
丁度素焼きの窯を焚いている最中だったから
早速読み始め・・窯番しながら読了した

自分と陶芸の関わりには
誰しもそれぞれに深い思い入れがある
しかし・・それを一冊の著書にしようとすると
それは・・ロクロを挽くより難しいのでは・・と
私は思ってきた・・だから
こうして一巻の著作にまとめられた作家には
無条件で深い敬意を感じる

『窓際のロクロ挽き』を読み終えて
やはりこのブログにおいでくださる
林寧彦さんの著書がダブって蘇る
お二人とも似たところがあって
サラリーマン生活をしながら
単身赴任の九州を舞台に
陶芸の深みに身を投じてゆくからである

リタイアを機に
趣味の陶芸を始めるビギナーで
林さんの「週末陶芸のすすめ」「週末陶芸家になろう」に
刺激された方は多かろう
著作には・・そうした強い影響力がある
どうしよう花さんの著作も・・
きっと・・じわじわと陶芸人口の増加に
貢献するにちがいない・・

読み終えて・・
ひとつだけ気になる箇所があった
スキャンして紹介したが
ここだけを取り上げて論ずるのは
誤解を招きそうな気がしないでもないが
とても大事な問題提起だと思うので
少し・・私の意見を書いてみたい
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私は・・実際に展覧会に向けて
50センチ以上の大皿を挽いて
加飾して・・焼いて提出することが多い

何十枚も作って・・何十枚も失敗して・・
仮りに上手くいっても
およそ実用には供しがたく
所詮鑑賞陶器に終るかもしれない結果だけをみれば
使えてこその器・・を思わぬではない

日々の生活の中で
誰もが手軽な価格で買えて
惜しげもなく使い
生活にいささかの潤いを・・
それが陶芸だと・・思わぬではない

でも・・それでも大物を作って
展覧会でしのぎを削るのは・・
その理由は・・たったひとつである

「日常で使う小物食器の類の質を高めるため」である
ここで言う「質」とは・・
確かな技術で・・丁寧に作り・・
壊れる日まで飽きずに使ってもらえる普遍性をもつ・・
とでも言えよう

誤解を恐れずに言えば
「陶芸の場合・・
苦労して苦労して作ったものにいいものはない
いいものは・・あっさりできる」

つまりあっさりできるほどに繰り返せでもあるが
そのときに・・大きなものが挽けることは
余裕を生み・・苦労せずに目的を達するのだ

先日・・ジャズのライブにでかけた話を書いたが
そのピアニスト武藤晶子さんは
「強い音が必要だったり・・早い音が必要なとき
大事なことは・・力を抜けるかどうか」だと言った
無駄な力を使わない・・から
指の力は一点に集中してフォルテッシモになる

50センチの皿を挽ければ
30センチの皿は・・自信をもって楽に挽ける
つまり・・力が抜けるのだ
30センチしか挽けなければ
30センチは・・いつも緊張の世界
力を抜くことは難しくなる
大物の効用・・それは小物のためにある

もうひとつ蛇足になるが
展覧会に出すのは
勝ち負けのためだけではない
隅々まで隙のないきちんとした仕事
それを身につけようとすれば
展覧会にしくなしである

自分の感性や技術の客観的な評価
上位の展覧会になれば・・それは実に厳しい
そこから学ぶものもまた・・将来
広く喜んで使ってもらえる小物食器のためだと・・
私は思う

どうしよう花さんも
これから公募展に出品してゆかれるようだ
きっと・・勝ったり負けたりしながら
しかし・・勝った理由も・・負けた理由も
それは・・全部自分の陶芸の懐を広くするために
実に大事な糧だと思えてくるような気がする

大物の・・公募展
小物の・・個展
作家はみなこの狭間で
自分の世界を作ってゆくのだ
やらなかったものは・・身につかないが
やったものは・・全て自分のもの
失敗にめげないのは・・そういうわけなのだ
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6/6に工房便り⑭をアップして・・
6/13には・・腰の手術を受けていた
あの日から5週間・・思いがけない入院生活
退院して10日ほどで
ちょっと轆轤を挽いてみた
まだ体力も根気もないのを・・思い知らされたが
それでも・・轆轤の前はいい・・やっぱりいい
少し小ぶりな片口銅鑼鉢四個・・復帰ということにした
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入院前に挽いてあったものを素焼きした
個展のための試作品のつもり・・と書いた
来月からは・・少し馬力をつけなきゃ・・
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釉調を試すぐい呑みも・・結構作ってあった
調合のためのコーナーテーブルも
入院中に親友の大工クロちゃんが用意してくれた
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来月からは・・秋の展覧会の準備も始まる
大皿が5枚ほど挽いてあったのはラッキー
波状紋打ちの作業だけで済むから・・
まだ大皿を挽く力は・・ないかも
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数日後に窯屋さんが・・
小型の電気窯の資料をもって来るはず
色々顔料をかけたりしてテストしたいのである
ひとつふたつでも焼ける・・その小回りが早くほしいのだ

どうやら・・身体に先駆けて
こころは・・復帰に走り始めた
今日も・・ガスと電気・・ふた窯の素焼きを終えた
準備OK・・である

おまけは・・more

More
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独りっきりの日曜日・・従ってlunch-aloneである
退院してから・・毎日のようにキッチンに立って・・だから
その成果は・・『かまだ食堂』・・でってことにした

今日は・・パスタ&サラダ
ガーリックと鷹の爪をオリーブオイルで炒め
アルデンテのパスタを絡ませるだけ
バジルで僅かに香りづけ
具は何もない・・最近これが気に入ってる

数日前・・旧知の評論家犬養智子さんのメールリンクで
同じレシピが紹介されていて・・
ガーリック炒めの頃合と・・パスタの茹で上がりを
ピッタリ合わせるのがコツとあったから
その通りにしてみた・・good!

つけ合せのサラダも思いっきり単純そのもの
トマトはオレガノをふりかけ
キュウリはインカの塩を僅かにまぶしただけ

若いころ
青山にあったタンゴの藤沢嵐子さんのお店で
オレガノをたっぷり振りかけたトマトに出会い
取材疲れの深夜は・・これがお気に入りだった
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本日使用の器は・・自作ではない
サラダは・・笠間の作家ランディー・ウージィさんの塩釉のシェル皿
パスタは・・ランディー夫人の松田さんの手びねり皿である
どちらも・・大分前個展で手に入れたもの

結構いい雰囲気のlunch-aloneでした
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古い絵葉書をためてあった引き出しから
こんな一枚が現れた
旧『帝国ホテル』の在りし日である
つまりフランク・ロイド・ライトが設計したあの帝国ホテルである
明治村に行けば・・一部は保存されている

私はこの時代の帝国ホテルを知っている
というよりよく使っていた
テレビの世界に飛び込んで2年目
殆ど寝る閑もなくこき使われていた時代
ちょっとした隙間の閑ができると
この帝国ホテルの中二階のようなラウンジで
独りっきりになるのが・・・ストレス発散だった

やや薄暗いラウンジの古びたソファーで
本を読んだり・・原稿を書いたり・・
この建物が壊されたのは1967年
私が社会人になったのが前年だから
僅かな期間でしかないが・・好きな建物だった

ちょっと余裕があると・・横浜ニューグランド・ホテルのディナー
昼寝をするなら・・銀座東急ホテル
今考えると・・結構贅沢してたみたいだ・・
それも会社の金で・・笑

「それくらいの工面ができなきゃ・・
プロデューサーとは言えまい!!」
今は亡き往時のボスのこの懐の広さに甘えて
日比谷ガーデンから花を送ったガールフレンドもいたっけ・・笑
でも・・その分
仕事もメチャしたもんだった
夜討ち朝駆け・・当たり前の時代だった
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古い絵葉書の中に・・何故か
この一枚の写真が混じっていたから
今夜の話題はこれにすることにした
同じ1967年ころの私である

覚えているが・・
これはボーリング番組の収録だった
今とは違って・・VTRではなくフィルム
私が抱えているカメラは・・アリフレックス
今では博物館でしかお目にかかれまい
でも当時の花形だった

勿論私はカメラマンではないから
これは・・構図を見るために座ったのだと思う
矢島純一 須田開代子 中山律子・・の時代
今更ながらに・・懐かしい一枚である
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昨日届いた『陶芸家Hのできるまで』林寧彦 著
病み上がりの休養期間でもあるから
夕方から読み始め・・深夜1時ころに読了した
久しぶりに・・一気読み・・だった

写真の通り・・前二作も読んでいる
不思議な陶芸家である
何故って・・「週末陶芸」・・を標榜して出版したが
実際には・・
到底週末陶芸とは言えない厳しい稽古をしてきた陶芸家なのだ
最初から趣味の陶芸ではない

CMプランナーのプロが
もうひとつのプロになるプロセス
そこがネイティブな陶芸家とは
大いに違ったという意味で
週末陶芸経由なのだが

三冊とも読めば・・道は違っていても
プロはプロになるこつを知っている
一閑さんがお書きになっているが
「林さんの奥さんが素晴らしい」・・のは
彼がプロになるコツを知ってることを
彼女もまた・・知っていたからに違いない

ちなみに・・個人的なことを書けば
6年前・・
私が第16回日本陶芸展に出品を決意したのは
一作目を読ませていただいたからだ
林さんが・・伝統工芸新作展に通る経緯
出さなきゃ・・始まらない
素晴らしい刺激だった

幸い・・私も入選できた
林さんのおかげだと
すぐにメールで感謝した

そのときの返信メール・・忘れもしない
「おめでとうございます!・・私は落ちました・・」
展覧会なんて・・そんなもんかも

伝統工芸新作展・・今年やっと通ることができた
三作目を拝読しながら・・
奇しき因縁を感じるのである
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6月12日から・・今日7月19日までのほぼ5週間
二つの病院で・・二つの手術を受けた
ひとつは予定どおりに・・
もうひとつは・・予定外に
だから
二つの病院の間は救急車の緊急搬送だった

ひとつは・・椎間板ヘルニアの切除
もうひとつは・・胆嚢摘出手術
どちらも・・全身麻酔によるもの
一ヶ月の間に二度は・・いささかヘビー
止められた機能が目覚めるために
いささかの時間と・・苦しみに苦しんだ

この入院の間に
私は65回目の誕生日を迎えたが
その日は・・
とりわけ65歳のリアリティーを深々と味わい
ふたつの病いの痛みと
しかし
このふたつ以外には重篤な病いの芽のないこともわかって
新しい出発を・・強く感じて帰宅したのだった

もう少し詳しくは・・
こちらをご一読願えば・・
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好事魔多し・・
順調にいってると思えたりするころって
思いがけない邪魔が入るもんだよ・・の意味

その邪魔が入ってきた
俗に言う「魔女の一撃」
もっとも最初の一撃は・・遥か昔のこと
陶芸に転じてからは・・
いっかな姿を見せなかったサマンサだったが
久しぶりに・・強烈な一撃だ

その結果・・脚にいささか由々しき障碍が・・
まぁ・・そういうわけで
この際・・サマンサとの別れ話を
きちんとせねばなるまい・・

半月ほど・・
隙を見せない暮らし方に徹するつもりで
パソもお休みにすることに・・
復活までの間・・お許しを・・

椎間ディスクがちとはみ出し
後ろの神経根を圧迫してるのが原因・・
MRIで見たら・・この雫みたい・・苦笑
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この10年近く・・つまりは
全部でも12年ほどの陶歴の殆どということだが
公募展で明け暮れしてきた
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「個展はしないの・・?」
しばしば聞かれて返事に窮したが
個展デビューについては
私なりに結構慎重に考えてきた
しかし・・それも潮時かも・・と
そう思い始めたのは
この春の二つの展覧会の入選だった
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いずれ詳細に書くつもりでいるが
東京の青山のギャラリーさんからオファーをいただいて
来年早々・・個展開催を決心した
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最初の個展は・・大事にしたい
9ヶ月ほどの準備期間をいただいたのも
慣れていないから・・だけでなく
大事にしたい気分を
作品に反映させたいからでもある
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極くおおまかに・・コンセプトはある
これからスケッチし・・試作し・・焼いてみよう・・と
6月に入って・・ロクロに向かっている
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窯屋さんに打診して
テスト用の小さな窯を一基見繕ってもらうことにした
夏の間・・たっぷりテストしたいからだ

今年計画している公募展はあと三つ
並行して小物の制作をすることになるが
大小が混じることで
案外・・バランスが良くなって面白い

忙しくなりそうだが・・楽しくもなりそうだ
9ヶ月・・時間はありそうで・・
しかし・・うっかりはできない

この皿は・・テスト用
土を変えて・・もっと続く
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瀬戸 常滑 信楽 備前 越前・・・それに丹波
これで日本六古窯・・である
現代陶芸の多彩な展開も
こうした古い窯場の伝統の上にある

窯元の集落を包む・・豊かな緑
立杭を訪ねる初めての旅だった
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結局・・作りたいものを・・作りたいように作る
工房も窯場も・・そのための仕掛けでしかないが
その作りたいものが・・作るに値するのか・・
その答えもまた・・工房や窯場に漂う空気が教えてくれる
私は・・それを「気」と考えてきた
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名手名工の工房を訪ねる・・・
それは「気」に触れる旅である
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日本陶芸展大阪展を見た翌朝
大阪からレンタカーで丹波に走り
過去四回の日本陶芸展でご一緒したりした
市野信水 市野雅彦 西端大備さんの窯を訪ねた
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幸運なことにお三方とも在宅で
お目にかかることができた
それぞれに広々とした敷地の中に
点在する工房 窯場を案内くださって
まさに「気」を思い切り吸い込んだ
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穴窯や登り窯を 赤松で焚けば・・
灰釉の自然な肌合いが生まれてくる
しかし・・だからと言って
自然な・・とは・・無作為の作為
偶然ではないのだ
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自作の窯を制御して
作りたいものを・・作りたいように
長い経験と・・
微変を見逃さない集中力のしからしむるもの
それが・・窯場に漂う「気」だと思うのだ

「よし!・・やるぞぉ~~」
名手の窯場を訪ねると・・
いつもそう感じる
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陶芸愛好家への応援歌のつもりの「窯だ行進曲」・・
久しぶりのアップである

私が管理するもうひとつのブログ『photo-columnこの一枚』
この記事の末尾moreに・・てつ56・・を書いているが
その75話にこう書いた ここをクリック


『上手くいかないからといって
他の方法でやってはならないことがある
上手くなるまで繰り返しやるしかない・・
これを・・基本っていうんだよ・・・』 てつ56

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自己流ってのは・・大抵の場合
この基本を・・
繰り返す面倒を嫌って
上手くできるようになるのを待てず
楽な方法で潜り抜けようとする流儀のことだ
基本と違って・・殆ど応用が利かない
だから・・必ず行き詰まるんだな・・

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「いつになったら・・急須って作れるんだろ・・?」
大抵みんな・・そうつぶやく

身があって・・蓋があり
注ぎ口に取っ手
茶漉しの穴開けもある
寸法あわせも厄介そうだ
確かに難しそうに見える
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でも・・それは思い過ごしである
もしちゃんと基本を身につけてれば
急須は難しくない
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つまり・・・
まん丸に挽ける
薄く挽ける
細く挽ける
小さく挽ける
平らに挽ける
そして・・壊さずに削れる
ここまでは・・
我慢して繰り返し
手で覚えるしかない・・
これさえできれば・・急須は挽ける
それが基本なのだ

もしも徹底的に湯のみを挽いて
丸く・・薄く・・細く・・小さく・・平らに
これが自在になれば・・
もう恐れることはない

但し・・
急須の難しさは・・姿ではない
手取りが軽ろやかで
茶の流れがよく
水切れもいい

この辺りになると
基本ができてるだけじゃ間に合わない
やはり数を挽いて
研究を重ねるべき課題なのだ

しかし・・
挑戦して・・まがりなりにも急須ができたら
結構基本ができててる・・と
自負してもいいと思うよ
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