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桃青窯696

touseigama.exblog.jp

50歳からのプロ・・・ここでは陶芸家らしく・・

<   2017年 04月 ( 19 )   > この月の画像一覧

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柿傳ギャラリーさんから
写真入りのDM案が送られてきた
あと一ヵ月と一寸で会期になる

先日・・柿傳のご店主が
わざわざ工房までご足労くださって
作品を見ながら・・打ち合わせをしたが
どうにか今回の個展を満たすだけの数は揃った

「こんな感じでゆきましょう!」
それはそれで・・僅かにほっとする瞬間だが
同時に・・あと一ヵ月にかける最後の粘りが
少しは質の向上に貢献するはずだとも思う

ゆるめずに
作り足すもの・・作り変えるもの
改めて吟味し・・いつものように
夜明け前の工房に入っている

昨日挽いた大きめの水指二基と
30㌢ほどの浅鉢二個
一晩放っておいて程よく乾燥したので
粗削りができた
既存の水指が少し小さ目で・・ご店主の助言で
大きめを用意することにしたのだ

有難いことに・・この個展のために
既に予約で制作依頼の作品も何点かある
忘れないようにメモして・・作り始めている

これからは出品に関わる事務処理も増える
工房にばかり籠ってもいられないだろうから
なおのこと・・気を引き締めておかないと
不測に困惑しかねないのも・・承知だ

頭や体の劣化との戦いの日々は
もう少し続く



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by touseigama696 | 2017-04-29 22:33 | ●工房便り | Comments(0)
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窯を開けたら・・これが
どうやら無事に焼けていた

万が一のために用意しておいた
二の矢は無用で済んだ

三番目の孫・・哲平へ
爺からの贈りもの
かつて上の二人にも作ったので

「お義父さん!・・
個展の準備で忙しいから
お兄ちゃんの支度を使い回しますよ」

嫁が気遣ってくれたが
そこはさすがに断って
三組目のお食い初め一式を作った

今回の個展で多用する
茄子紺で染めた麦藁手の器
来週には・・妻が携えて孫のところに飛ぶ
一緒に祝いの膳を囲むことはできないが
ラインで送られてくる写真を見てると
日に日にすくすく育ってくれている

男の子三人・・賑やかそうだ
何でも食べる逞しい子になれ!
爺は・・そう願うばかりなのだ



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by touseigama696 | 2017-04-29 00:39 | ●愛しきものよ・・ | Comments(4)
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陶芸の専門誌『炎芸術』の2017夏号が
5月1日の発刊日より一足早く・・届きました

先月取材の
陶芸家と作る食器シリーズ第6回
「糸抜きで作る飯碗」が・・掲載されているからでしょう

見開き10頁に亘って
過不足なく丁寧に・・私の技法が
紹介されています
もの作りの一人として良い記念だし
大切な記録でもあります

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丁度6月5日から11日まで
新宿柿傳ギャラリーで開催される
久しぶりの個展の準備が
そのままこの講座の主題でもあったので
撮影は・・その道中を撮って頂きました

ですから・・掲載された器は
そっくり・・柿傳ギャラリーに並びます

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この企画は・・講座なので
制作の推移をコマ撮りでご覧に入れ
適宜な解説がついています
口述で伝えた要点を
適切に説明してくださって・・流石です


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本号は・・巻頭で
「きらめきの金銀彩」が特集され
私のモノトーンとの対比も際立っていて
加飾の可能性の広さが見えてきます

いつもながら
親しくおつき合い頂いてる
井戸川豊さんの銀泥彩器
卑近を題材にしていてなお
実に洗練された品性に感銘でしたし

井戸川夫人のきりんさん(ブログでお馴染み)
の仲間・若林和恵さんの銀彩もクローズアップ
絢爛の号です



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by touseigama696 | 2017-04-27 00:19 | ●工房便り | Comments(4)
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21か月もの長い準備期間を頂いて
個展のオファーをお受けした一昨年の秋
最初にしたことは・・優品を見て歩くことと
この二冊の書物を座右に置き
じっくりと読み耽ることだった

茶懐石の名店を抱える柿傳ギャラリーでの個展は
茶陶を避けては通れないから
腰を据えて勉強せねばと・・思ったからだ


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冒頭を飾る長次郎の茶碗「無一物」
ある勉強会で著者の林屋晴三先生が
この茶碗から汲むものの何と多いことか
じっくりと見つめてごらん
そう仰ったことが・・こころに残る

個展開催が二か月後に迫った今
ふり返れば
この茶碗から受けた影響は
思いのほか大きいことに気づいている

何の変哲もなく
一点の芯で立つ静かな居住まい
無意味な作為を離れ・・部分は全部を支え
全部は部分を・・ふっくらと包んでいる
姿が何かと調和するのでなく
姿が姿のまま調和している

もし写そうとしたら
どこから始めて・・どこで終わる
メビウスの輪のように
全ては連結して居場所を見失う

姿を目で追えば・・きっと見失う
この姿を再現したかったら
それを可能にするのは
目ではなく・・指の腹でさぐることだ

それには・・心当たりがある


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これは自作の木工パイプ
原木をやすりで削りだしたものだが
左右シンメトリーの卵形は
目では測れない


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目をつぶって
親指と人差し指で横腹を持ち
軽く回転させたとき・・指が感じる原木の抵抗を
そこだけ・・めのこに削ってゆくと
いつの間にか・・卵になるのだ
経験で覚えた

今・・ロクロを挽きながら
思うことは・・そこだ
目で崩して面白味とするのは止めた
目を閉じるが如くに・・指に神経を集め
動かさぬ指の間から生まれる端整な真円
それを茶碗と思うことにしている

俳句で言えば・・一切の説明の排除
端整は・・単刀直入がいい
美しい茶碗
願わくば・・そうしたものが作りたい

21か月の内19か月が過ぎた
陳腐だが・・光陰は矢の如く走り去る
少年老いやすく・・技成り難し
因果な仕事なのだ




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by touseigama696 | 2017-04-24 23:16 | ○陶芸雑感 | Comments(2)
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閑話休題・・さて本題のやきものに戻ろう!

GWになったら
妻は三組目のお食い初めセットを抱えて
息子一家のところへ飛びます
長男・次男に続く三男哲平の
お食い初めの祝いが待ってるからです

個展の準備もどうやら峠を越えて
大慌てで哲平に取り組んでいます
峠を越えたとはいえ
一緒に出向くにはまだ慌ただしく
私は工房で留守番

双方の爺の名前に共通する「哲」をもらい
父親に名づけられた「哲平」
恙なく健やかに育ってほしいと
祈りを込めて・・これから窯で焼きます

この手の儀式食器に
しきたりがあるのか定かではありませんが
私の持ち技糸抜き技法で茄子紺に染める器に
ひとつだけ・・こだわりました

外側には麦藁手に紋様を入れましたが
器の内側・・つまり見込み側は
真っ白のままです

誕生して最初のお食い初め
父と母の手で盛られる食事が
その真っ白な器で血となり肉となり
逞しい体を育てる最初の色合いに
なってほしいからです

男の子三人・・賑やかです
送られてくる写真を眺めていても
床に足音が響くようです

その足音と大騒ぎを予期して
マンションから戸建てに越した息子一家
折角の親の愛に・・すくすくと育てよです

個展が済んだら・・顔を見に行くつもり
何てったて・・
まだ初お目見えもしていないのです



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by touseigama696 | 2017-04-24 04:40 | ●愛しきものよ・・ | Comments(0)
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これ・・先月の予定表
書き込みは2件で
一件は定検受診・・もうひとつは電話する約束
一ヵ月・・これだけだった

さすがに・・こんな月は珍しい
それ以外は・・工房に埋没して
仕事に没頭してたわけだ
従って・・
いささか話題にも事欠く始末である

仕事のことを時系列で書けば日報だが
ブログは・・個人的な日記でも日報でもない
多少は普遍的な方がよかろうと
メッセージ性を意識したりもする
今夜は・・ちと切り口を変えてみたい
思い切り与太話になるが・・お許しを

この与太話に僅かな価値を作るために
「閑話休題」って・・便利な言葉があるが
これの所在地は・・案外間違える
マジ話・①・与太話・②・マジ話
このつなぎ目の①or②?

案外①で使って間違える
閑話休題は・・与太話の入り口で断って
少々寛いでもらいたい気分だろうが
歴史的に正しい所在地は・・②である

「与太話はさておいて・・本題に戻りましょう」
が・・閑話休題ってわけだ

さて・・そこで今日の一文
10数年前の私のエッセイの再掲である
思いっきり与太話・・顰蹙を買いそうである

先日・・古いつきあいのメル友さんから
「相変わらず真面目で難しい話だね
読むときは辞書片手だよ(笑)」と言われた

確かにそうだ・・「顰蹙買う」だって
読めなきゃ書けねぇっ!
どっかのCMにあったが
辞書で引くのも大変そうでゴメン
たまには羽目を外すかと・・色々考えたが
最近与太話さえ・・縁遠い

そこで読み返していてみつけた・・与太話
自分のエッセイからを転載して
最後に・・「閑話休題」と書いて
明日のマジにつなげよう・・ってことにした
明日は・・大マジの予定である


=============================

     閑話休題   2004/04/23 折々の折り

初めてヨ-ロッパに旅した1965年の晩秋
その最後にカイロのピラミッドを訪ねた
その途方もない大きさにびっくりしたが
王家の棺が置かれてるという部屋まで
ピラミッドの中の通路をたどって昇ることになった

今はどうなってるかわからないが
当時その通路は背の低いもので
足場のような板の通路を身をかがめて昇るしかなかった
金魚のウンコのように・・大勢の観光客が連なって昇り始めた
結構道中は長い・・その間
直立することはできないからつらいものがある

「まだかいな?」・・と時々顔をあげて見上げるのだが
私の場合・・そこにはアメリカ人のおばちゃんの
巨大なお尻が見えるだけであった
かがんで歩くと・・お尻は一段と大きくなる
それが殆ど目の前にあるのだ
もし・・おばちゃんが急に立ち止まったりしたら
顔面衝突間違いなしだ

何度か顔をあげているうちに・・妙なことが気になった
そのおばちゃんスラックス姿だったのだが
そのスラックスにくっきりとパンツのラインが浮びあがっている
なんと言ったって目の前である・・嫌でも目につくのだ

しかもそのラインが・・時計の針で言うと10時15分である
つまりは左右がアンバランスなのだ
この年配のアメリカ人のおばちゃんは
控えめに言ったところで結構太め
日頃の食生活の豊かさを見事に反映してるもんだ
従って長針の15分の方はいいが・・10時の短針は
まるでサランラップに包んだ餅を
チンしたみたいにはみ出て膨らんでいるではないか

ただただ歩いて昇るだけの退屈で窮屈で
腰が痛くなるような道中のことである
目の前でユッサユッサしてるおばちゃんのお餅は
次第に11時にずり上がってゆくような気がしてならない
ふとつい手直ししたくもなる
その左右のラインを9時15分にしたらすっきりするだろうな
不謹慎なことを考えながら歩いていたら・・棺の部屋に着いた

道中が長かった割りにどうってことない殺伐とした石室
もぬけの殻の石棺がポツンと置いてあるだけだ
だからおばちゃんのお餅のほうが・・遥かに印象に残った

似たような経験がもうひとつある ・・大学三年の夏休み
私はタイプ専門学校の夏期講座を受けた ・・マスコミ志願だった私は
「これからのテレビ人間は英文タイプくらは打てなきゃ」と
まるで映画の見過ぎみたいな動機で通い始めた

後に海外番組担当になって多少は役に立ったのだが
その効用は・・更に後年パソコンを使うようになって
一段と有効になった ・・今こうしてキ-ボ-ドを
ブラインド・タッチで打てるのは・・あの夏休みのお陰である

真夏の一ヶ月・・御茶ノ水にあった学校に通った
20人ほどの受講生の殆どは若い女性たちだった
男は私ひとりだったかもしれない
今でいうラップトップのタイプライタ-が
ずらっと並んだ机は奥行きの浅いもので
狭い教室に沢山詰め込もうという魂胆だった

自分のタイプの前に座ると・・目の前にあるのは
今度は若い女性の背中で・・これまた目と鼻である。
タイプに少しなれてくると
キ-ボ-ドを見ずに打ち込む練習になる
転写する原稿を見ながら打つこともあるし
自分で考えた文章を打つこともある ・・そうなると
目に入ってくるのは目の前の背中ってわけだ

真夏の暑さの中・・大抵は薄着だった
エアコンなんて洒落たものがあったかどうか覚えもない
汗ばんだ背中にブラのホックがくっきりだった
手を伸ばすどころか・・指を伸ばせば届いてしまう距離に
そのホックは窮屈そうに緊張に耐えていた

ピラミッドとは違ってこちらは9時15分
一直線でアンバランスはないのだが・・
これを見続けているうちに
ふと子供のころによく遊んだゴムのパチンコみたいに
摘んで引っ張ってパチンとか・・たまには
外れかかっているのを直してあげたらとか
邪念妄想が浮かんでは消えた

タイプ学校の最後には試験が待っている
一分間に何ワ-ド打てるかというテストを受ける
別段タイピストになるわけではなかったから
何級とかの資格を貰う必要もなかったが
折角だから受けるだけは受けた

この試験当然だが集中力がいる・・邪念は無用だ
女性ばかりの教室に遠慮して最後列で受講していた私は
この日だけは最前列に座った気が散るのを避けたからだ
そのせいか・・無事に試験に合格して証書を貰った
私の後ろに座った女性が受かったかどうかは判らない
もしかして若い男の背中に気が散って・・考え過ぎか

何で今夜に限ってこんな話題?
とひんしゅく買ったかもしれない・・というのは
時々親しいメルトモさんから
「てつは結構マジな生き方なんだぁ・・」と言われてきたし
リンクしてくれている仲間の紹介プロフに
「時々難しいこと言うから・・わからないこともある」
と書かれてもいる

マジはマジだが・・たまには緩めるかぁと
マジに考えたらこんな話になっちゃったのだ
ついでにマジに言えば・・4/14の日記で触れたが
人間同士の距離は45センチまでは
密接距離と言って非常に親密な関係を表す
だから親密でもないのにこの距離にいると
邪念が起きたり・・いたずらしたくなる可能性があるのだ
ピラミッドもタイプ学校も・・親密でないのにこの距離だった

ってことは・・邪念にさいなまれた私の苦悶は
私が悪いのではなく主催者のせいだってことだ
私に邪念を起こさせないためには
公衆距離の360センチ以上離れて歩けるか
座れるかしてもらわねばならないことになる

これを読んで・・「てつって、やらしいわねぇ」
とおっしゃる女性は・・どうぞ密接距離においでくださるな
私の自己責任にあらざることで誤解を招くのは
実に哀しいことだからなのだ

明日は・・閑話休題



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by touseigama696 | 2017-04-22 23:56 | ●エッセイ | Comments(0)
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東京四谷に丸梅という伝説の旗亭があった
日に一組しかとらない客のため
前日から準備万端を整え
精魂込めて持て成す店だった

江國滋氏に言わせると
「一流は誰でも知ってるが
超の字がつくと知るひとは稀になる
丸梅の女将井上梅女は・・その
知る人のみが知る超一流の女将だった」
ということになる

日に一組
だから・・予約するのも大変だが
ひきもきらず女将は持て成しに多忙だった

1960年代の終い頃だったろうか
当時私が作っていた評論家の犬養智子さんが冠の
テレビ番組で取材することになったのが
四谷丸梅であり・・井上梅女さんだった


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1883年・・明治16年生まれ
当時でも既に古希を越えていた筈だが
かくしゃくとしてお元気な老婦人だった

自ら厨房に立ち
娘にあたる後の二代目女将紀子さんを助手にして
全ての調理を手がけていた

この時の取材は
和食の基本・・飯・汁・香に限り
ご飯の炊き方・・味噌汁の作り方
そして香の物の漬け方
この三つに絞って・・手本を示された

着物姿にたすきをかけて
凛として清しい風情を漂わせながら

ハジメチョロチョロナカパッパ
アカゴナクトモフタトルナ
まさしくあれで
自分の手で割った薪も
割り箸サイズから太目まで
チョロチョロパッパの順に
キチンと揃え・・頃合いで変えながら
へっついを乗せたかまどの前を動かなかった

「シジミはね・・驚かせちゃだめ
シジミをいれたカメの中に別のビンをいれ
蛇口はビンを通して微かに水を流すの
流れてるけど・・静かな水
これならびっくりしないで
泥を吐いてくれるわよ」

「漬物は・・いつ漬けるかが大事
食事の開始時間を推し量って
それなら朝の何時に漬け込むと決まるわけ
季節やお野菜によっても変わりますよ」

ここらへんが見事に徹底していて
美味しいとは・・そうした気遣いあってのこと
誰が見てようと見てまいと
夕刻の一組のために・・全てがきれいな
流れの中で整えられてゆくのだった

素材に尽くすも贅だが
気遣いに尽くす贅は
ともすると見損なわれがちだが
これなくして何の素材かな・・でもある

取材の日
言うまでもなく客人が予定されているわけでなく
「あなたたちで召し上がれ!」
女将のひとことで
惣菜はなしだが・・飯と味噌汁と漬物で
馳走していただいた

今でもあの日の食感に覚えがあるが
こんな美味い飯と汁と香を頂いたことはない
他に何がなくても・・それで至福なのだった

後に・・犬養さんの肝いりで
5~6人で正式に会食したが
それはもう・・こと食べるでは
生涯の贅沢だったと思う

初代総理大臣伊藤博文の膝の上で
「大きくなったらわしの嫁になれ!」って
言われたり
岩崎久弥の引きで三菱銀行の小切手が使えたり
とんでもない元勲たちが
無造作にそもそもおでん屋の女将を
超一流にまで育ててゆく
その成り行きを耳にしながらの会食は
上流が贅なのではなく
迸るような時代の熱気にこそと
明治の面白さ相伴にしてくれてのことだった


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1973年・・異郷にたたれたが
暫らくは若女将の紀子さんが継いだ
多分亡くなられて一周忌のころでもあったろうか

犬養さんからの連絡で
「丸梅の女将さんは写真嫌いでね
滅多に撮らせなかったんだけど
あの番組だけは許してくれたの

だから・・今になるとあれが遺影
近々偲ぶ会を開くけど
そこで上映してくれる?」

その会でお目にかかったのが最後で
丸梅とのご縁も切れた
遺影を皆さんにご覧に入れたうえで
祭壇に献上したのを思い出す

多分・・
今では四谷に丸梅の建物はないのかもしれない
その後の消息を・・私は知らないのだが
ネットの世界で
幾つか伝説は生き続けているようだ

アマゾンに在庫されていたので
この「運鈍根」・・取り寄せた
持ってた筈だが・・転居でまぎれた

大ぜいの方が・・丸梅を懐かしく書かれている
「知る人ぞ知る」・・難しい生き方だ
超一流・・誤解を招きかねない要素もあって
願ってなれるものではない

実は・・私が制作した番組がはからずも
遺影になってしまった方がもうひとりおられる
作家の獅子文六氏なのだ
1969年のことだが
触れるのは・・いずれの日にかにしよう

ただ・・獅子文六氏と梅女女将は
生前昵懇の間だったと・・運鈍根で知った
そこにもご縁を感じるが
全ては・・夢まぼろしのごとくなりである



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by touseigama696 | 2017-04-21 11:13 | ●エッセイ | Comments(2)
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一昨日・・工芸会の事務局から
この図録が送られてきました

第57回東日本伝統工芸展は
昨日が初日で始まりました


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9回目の入選は・・9冊目の図録
プレイバックすれば・・自分の足跡が見え
歩いてきた道が辿れます
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今年は・・この作品が通りました
相変わらず写真写りの難しい作品です
私のトレードマークみたいな
「糸抜き波状紋大鉢」ですが
早晩このモチーフを離れ
新しい展開を形にすべき時期です

進展なく続けることは・・自作の写し
公募展では嫌われる「怠惰」と云えます

新しいモチーフと個性
もの作りは
この関係と無縁に過ごすことはできません

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どんな名工たちにも
そのキャリアに・・初日はあった筈です
最初から得意な技法が使えたわけでなく
個性的な表現を満たすモチーフを
温めていたわけでもなさそうです

試行錯誤を繰り返しながら
作品が体を成す日に向かっての
心もとない旅の挙句・・運も手伝って
それらしい境地に辿り着けるのです

技術は・・
弛まざる訓練が担保する帰納的な積み上げですが
個性は・・
演繹的な閃きに依存するイメージの世界
帰納と演繹を両輪にして走るのは
考えてみれば・・そう簡単ではありません

技術はあっても・・個性には遠く
個性的だが・・技術が届いていない
こうしたジレンマの中で
我が道を模索する日々が続くのです

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殆どを独学で過ごしてきた私の教科書は
書架の図録と・・NHKの「やきもの探訪」
折に触れ・・飽きずに繰り返し見つめ
名手の仕事の隙間に垣間見る
一条の光明を探してきたようにも思えます

定評のある公募展に通ることは
自分への厳しさを課すこと
それに尽きるのかもしれません

送られてきた図録を眺めていて
まだ新しい道があって
それを見つけた作家が現れた
新鮮な驚きとともに・・どんなに狭い隙間にも
2分の1は無限にあるということ

図録は・・
それを教えてくれているように・・思うのです




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by touseigama696 | 2017-04-20 02:30 | ●エッセイ | Comments(2)
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昨晩・・五つの茶碗を養生して終わりにしました
黄色い部分には糸も貼らないし
彩色の顔料も吹きません
焼きあがれば真っ白な部分で
汚さないことが肝心・・だから
丁寧に養生するので・・やや面倒です

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今朝も・・4時半には工房に入り
糸を貼りだしました
朝めし前のひと仕事です

6時半に
朝ごはんですよぉ~!って呼ばれるまで
集中して糸を貼りました
2時間で4個を貼り
朝食を済ませて残りの1個
8時には・・終わっていました

朝型の仕事に切り替えて・・1年近く
夜明けから仕事してみると
午前中が実に長く・・仕事がはかどります
これは大きな収穫です

以前のように9時からだと
この作業が終わるころは昼食
冬の間は
つるべ落としの陽ざしに負けそうで
焦ったりもしますが
8時なら・・今からが午前中って感じで
かなり作業を進捗させられます

おおよその毎日は
朝4時半から夕方6時半まで
14時間ほどの日課ですが
(勿論個展前という事情あってのことです)
同じ時間を10時から始めると
終るのは午前0時
多分体感時間は・・かなり違うでしょう
日没に開放される緩やかさはありませんからね


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朝めし前・・というのは
手間のかからない簡単な仕事・・のこと
お安いご用・・ってことですが
日に二度飯だった江戸時代は
朝めし前はペコペコで
大した力もでなかったかもしれませんが

今どきは・・日に三度
朝めし前だって・・結構力はありますから
手の込んだ仕事だって大丈夫です
むしろ能率の良い時間帯でもあります
やや空腹が・・頭もクレバーにしてくれそうです

ライフスタイルを変えたのは・・大成功
夕食前に・・4.0キロ歩行も済ませ
風呂に入って食事
健康的な一日なのでした

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今日の終わりは・・
水指一基のロクロ挽き
多分・・明日の夜明けには
粗削りできるかもしれません



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by touseigama696 | 2017-04-18 20:55 | ●工房便り | Comments(0)
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工房にいて・・こんなことをしてると
静かで穏やかな時間が過ぎてゆくが
窓の外は・・決してそうでもなさそうだ

何で?と思うほどに・・不可解な出来事が
不可思議な短い時間の中で
もしかして?・・と訝し気にさせている

平和を築くのは・・途轍もなく大変なことだが
平和を壊すなら・・案外簡単なことだと
思い返さねばなるまい

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『愚者は経験に学び・・賢者は歴史に学ぶ』
多少意訳のようだが
ドイツ鉄血宰相ビスマルクの言葉と聞く
色々・・言い換えることができそうだ

「愚者は主観に学び・・賢者は客観に学ぶ」
「愚者は自分だけを信じ・・賢者は他者をも信じる」
「愚者は地を見・・賢者は天を見る」

きっと・・もっとあるに違いない
でも
そうした視点で・・世界を見れば
世界の平和を脅かす最大の不幸は
「貧困と恐怖」のように思える

世界の1%の人口が・・世界の富の半分を所持し
なかんずくその中の85人で
世界の貧困層の資産の半分を占有してるとか
この再分配のために
当該1%の富裕層と85人の大富豪が
支援を惜しまぬと・・声を一つにすれば
それだけでも
今の不穏な雰囲気は・・きっと小さくなる
その筈なのだが

一方で・・もう一つ学ぶ歴史がある
「人類は・・かつて100年以上の長きにわたって
世界戦争をしなかった時代はない」

20世紀は・・戦争の時代と言われた
21世がどういう歴史評価を手にするのか
今世紀初頭の今
改めてビスマルクの言葉を再考すべきのようだ



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by touseigama696 | 2017-04-17 04:52 | ●エッセイ | Comments(0)