「ほっ」と。キャンペーン

カテゴリ:○窯場探訪( 6 )

d0085887_22472054.jpg

工房の私のデスクの背後に
この一連の図録が・・置いてある
いつもは・・もっと散らかっている
折りに触れ・・今でも見るからだが
久しぶりに・・整頓した

この図録に掲載された作品は
いつでも・・制作上のヒントに満ちている
はるか雲の上の展覧会だった頃から
買い集めては・・熟視し続けてきた

途方もなく精緻な作品群を眺めて
ここに・・自分が紛れ込む隙間はあるんだろうか?
そんなことを考えながら・・
何か新しいものを見つけたかと・・思えると
図録を開いて・・それが隙間かと目を凝らすのだが
大抵は・・誰かの作品となって掲載されてるもんだった

今・・この図録の20冊近くに・・
私の作品が・・掲載されている
52歳で始めた晩学の陶芸
ここに自分の居場所があったなんて
正直に言えば・・嘘みたいだ

だから・・自作の載った図録は・・
居場所を証明するトロフィーみたいなものなのだ

脇目も振らず・・夢中で挑んできた公募展
今年に限って・・全ての応募を断念したが
入選する悦びも・・落選する落胆も
なんの答えもない無為より遥かにマシだ

取り残されたような寂しさ・・
でも・・そうした一年が無駄だとも思えない
締め切りに追われることもなく・・
新しい活路を探して・・試作に耽る
確かな手ごたえには・・ほど遠くても
こうした時間には・・大事な意味があると思う
d0085887_22473242.jpg

転居のための準備も・・少しづつ手をつけ
片づけも始めねば・・と思っている
いつでも身体と時間を割く為に・・半身の構えでもある

こうしてロクロを挽いてると
やはり・・こころの安寧を感じる
落ち着いた日々が・・一日も早くだが
簡単なことではなさそうだ
身体を毀すことが一番困る・・
自重の一年である





人気ブログランキングへ応援してくださる方・・クリックしてネ!
[PR]
d0085887_22262991.jpg

蕎仙坊で蕎麦を食べた後・・
全員で・・室伏さんの工房を訪ねた
今回の目的でもある・・練り上げ体験のためだ
d0085887_22141452.jpg

それぞれに好みの色磁土を使い・・
室伏さんと梅澤さんの指導で・・花弁模様を作った
これが・・私の一枚
d0085887_22142593.jpg

練り上げの特徴は・・同じ紋様が何枚も・・
今回は・・5枚できた
d0085887_22143619.jpg

みんな陶芸家だから・・
練り上げの原理は・・知ってる
知ってはいるが・・やはり難しい

白と青の土の間に・・なだらかなグラデーションを作り
一定の規則性を持たせて・・太巻きのように巻き上げる

その巻き上げの中で・・花弁が成立するわけだが
花らしい模様にするには・・
原理を・・イメージに直結させねばならない
何度か繰り返せば・・らしくなるかもしれない
d0085887_22144863.jpg

太巻を・・スライスにして石膏型にかぶせる
用意してくださった分量は・・5枚にカットされた
d0085887_22145942.jpg

みんなの分は・・こんな感じ
私以外は・・多分初めてではない
学校で・・教科にもあったかもしれない
原理とイメージの間で・・経験がものを言うのだ
d0085887_22152481.jpg

これは・・室伏さんの作品
向こう側から光を当て・・透過するのが分かる

全体は白色なのだが・・
光を通す土と通さない土で・・練り上げてある
透光性練り上げ・・室伏ワールドはそこにある
画期的な技法として・・練り上げの可能性を広げた

前日の夜・・みんなでたっぷり話を聞いた
前途多難は・・前途洋洋でもある
陶史に名を残す技法になりそうな・・予感
みんなの期待を背負って・・
茨の道を歩いてほしいものだ
さらば昴よ!・・安穏は暫く先のことかもね

夕方・・夢中になっていて台風に気ずかなかった
慌てて走り始めたが・・
新幹線も運行停止・・高速も渋滞とか

時間はかかっても・・安全第一に
何十年ぶりかで・・246号線の一般道を走った
雨風が強いせいもあって・・道路はガラガラ
6時間ほどかかってしまったが
恐い思いもせずに・・帰ることができた

楽しい一泊合宿だった




人気ブログランキングへ応援してくださる方・・クリックしてネ!
[PR]
何ということか・・だが
カメラを忘れて旅に出た
用意しておきながら・・
バッグにしまうのをうっかりしたのだ 
                                      芸艸堂発行 小鹿田焼
d0085887_22283331.jpg

息子夫婦を連れだって車を走らせた
「・・400メートル先コジカダを左方向・・」
びっくりした・・コジカダ・・?
ナビゲーターのアナウンスがそうなのだ
いつから・・オンタが・・コジカダに変わったのだろう
確かに・・小鹿田でオンタと読むのには無理があるが
だからといって・・この歴史的な遺産を・・
そう簡単に読み変えたりはすまい
間違えたのだろう

やがて・・人里離れてやや深い山あい
小鹿田の里が見えてきた
二度目の訪問である
d0085887_22284393.jpg

10軒の窯元が集まったこの集落
集落自体が・・国の重要無形文化財・・に指定されている
250年に及ぶ小鹿田焼きの技法をそのままに継承して・・
みだりに変化を許さずに保存しようというのだ

少し大袈裟だが・・だから
ここには江戸以来の焼きもの職人たちの日々が
今でも色濃く残されている

川の流れを利用して唐臼が日がな土を突き
水抜きされた土が窯の上で乾燥し
やがて・・男たちが轆轤を挽く
一子相伝・・今でも守られているようだ
d0085887_22293592.jpg

ここに来るだけで・・
ここを歩くだけで・・
野済みされた豊かな土を見るだけで
唐臼のコ~ンという音を聞くだけで
やきものにかかわる者を
満たされた気分にしてくれる

そのために訪れたともいえるのだ
「際」を拡げて・・ビックバーンのように
どこまでも膨張し続ける現代陶芸の
その原点を見る思いなのである
d0085887_22294655.jpg

飛び鉋(かんな)と呼ばれる技法で紋様をいれたカップ
今回は・・ひとつ購入した
江戸時代にはなかった器だろうが
民芸の楽しさ・・それもいいではないか

やがて夕暮れて・・歩くひともいない
息子の運転で・・湯布院の温泉に向かった
翌日の日曜日に
「第55回日本伝統工芸展 福岡巡回展」で展示されている
私の作品に再会し・・
息子夫婦や友人に紹介しようという魂胆なのだ
[PR]
d0085887_21484054.jpg

古窯気まま旅から戻って・・あっという間の一ヶ月
締め切りの迫った展覧会を目指して
大皿に加飾しながら・・あのゆったりとした数日を反芻している
・・古窯に流れるあのゆったりした時間を・・
d0085887_21494583.jpg

昨年春の・・日本陶芸展大阪展に出向いた帰路に寄った丹波立杭に続いて
六古窯のひとつ・・常滑
やきものに関わりながら・・訪ねるのは初めてである
d0085887_21553634.jpg

観光客相手の陶芸散歩道・・
昔ながらの常滑の風情を知ってもらおうという試み
江戸のやきものづくりをそのままにした
あの小鹿田の里とは・・少し意味はちがうが
古き常滑が垣間見える
d0085887_21501951.jpg

観光だからといってしまえばそれまでだが
この陳列は・・少し寂しい
かつて出かけた信楽でも似たようなことを感じたものだが
由緒ある窯場が・・その由緒を輝かしくかかげるのは
もしかしたら容易ではないのだ
伝統と観光は・・簡単には融和しない
伝来の常滑焼き・・をそのままに・・が
時代の風にさらされた「みやげもの」になれるのか・・・?
難しいところだ
d0085887_21511269.jpg

「ちょっと入ってもいい・・?」
前方に座して仕事している女性は手を振って断った
断られたけど・・この工房の風情は好きだ
照明にゆとりのなかった時代に
まるで木漏れ日のような光りの下で
いつもの営みが繰り返されているのだろう
d0085887_21514356.jpg

既に火のくべられることのない窯跡が
町の随所にあって・・昔日を偲ばせているが
しかし・・ここは今でも由緒ある窯場なのだ
d0085887_22314741.jpg

この散歩道のあと・・常山窯を訪ねた
数年前に他界された人間国宝山田常山さんの窯である
急須の名人だった・・見るからに美しい急須・・
常山さんのロクロを収録したビデオは・・
いつでも私の大切な教科書でもあった

四代目を襲名した絵夢さんと・・三代目の未亡人におめにかかり
しばらく話を伺った
常山さんの急須といえば・・それはもう羨望の道具なのだが
しかし・・その陰に潜む急須つくりの歴史的な悲哀
安穏な道ではなかったことを・・
しかし・・三代目の強い信念に一目も二目も置いて
言葉の端々に限りない尊敬の思いを計り知るのだった

伝統とは・・時代とともに変化すべきとしても
しかし・・生涯を貫く信念なしには継承できないものでもあるのだ
[PR]
この仕事が終ったら・・
暫くどこかへぶらり旅に・・と決めていた

先週の水曜日の深夜
愛用のワンボックスの後部座席に
快適なベッドを設え・・寝袋一枚に枕をひとつ
適当に着替えと日用品を積み込んで
中央高速に乗った

この夜から・・結局5日間
何一つ予定も予約もない・・ひとり旅が始まった
古い窯場を訪ねて・・その空気を吸ってみたい
それだけで・・出発したのだった
d0085887_23523390.jpg

諏訪の辺りで・・2時間ほど仮眠して
あとはひたすら走った
夜明けには多治見に着いた

ナビゲーターは・・こうした旅にはなくてはならない必需品
音声ガイドを頼りに・・人気のない古窯跡にたどり着いた
大萱 牟田洞古窯跡である

かつて・・荒川豊蔵さんが
志野が・・瀬戸ではなく美濃のやきものと発見した
あのドラマティックな歴史の書き直しの舞台がここだ

魯山人のもとを去って・・この牟田洞に窯を築き
志野の再現に生涯をかけた荒川豊蔵の人生が
ここの空気の中に流れている
d0085887_23524987.jpg

ひっそりとして・・雨に打たれた色濃い緑だけが
溢れるほどに覆いかぶさってくる
朽ち葉を踏みしめながら歩いた
黙って・・ゆっくりと・・歩いた
やきもの・・って
そんな風に歩く地味な仕事だと
しみじみと思った

荒川豊蔵氏の薫陶を受けた志野の人間国宝鈴木蔵さんに
お目にかかったのは・・この日の午後のこと
突然の訪問でご迷惑だったろうに・・
こころよく通してくださり暫くお話を伺ったが
「ゆっくり焼いてゆっくり冷ます・・志野って・・それだけだよ・・」
そう言えるまでの長い時間・・途方もない試作の日々
静かなもの言いの・・静かな迫力
ゆるぎないものが伝わって・・気をいただいたようだ

旅は・・多治見 瑞浪 可児 土岐 瀬戸 猿投 常滑・・と続く
気ままなリラックスの独り旅・・ほんとに久しぶりのことだった
[PR]
d0085887_0305828.jpg

瀬戸 常滑 信楽 備前 越前・・・それに丹波
これで日本六古窯・・である
現代陶芸の多彩な展開も
こうした古い窯場の伝統の上にある

窯元の集落を包む・・豊かな緑
立杭を訪ねる初めての旅だった
d0085887_0311334.jpg

結局・・作りたいものを・・作りたいように作る
工房も窯場も・・そのための仕掛けでしかないが
その作りたいものが・・作るに値するのか・・
その答えもまた・・工房や窯場に漂う空気が教えてくれる
私は・・それを「気」と考えてきた
d0085887_0313263.jpg

名手名工の工房を訪ねる・・・
それは「気」に触れる旅である
d0085887_0314916.jpg

日本陶芸展大阪展を見た翌朝
大阪からレンタカーで丹波に走り
過去四回の日本陶芸展でご一緒したりした
市野信水 市野雅彦 西端大備さんの窯を訪ねた
d0085887_03278.jpg

幸運なことにお三方とも在宅で
お目にかかることができた
それぞれに広々とした敷地の中に
点在する工房 窯場を案内くださって
まさに「気」を思い切り吸い込んだ
d0085887_0322149.jpg

穴窯や登り窯を 赤松で焚けば・・
灰釉の自然な肌合いが生まれてくる
しかし・・だからと言って
自然な・・とは・・無作為の作為
偶然ではないのだ
d0085887_0325476.jpg

自作の窯を制御して
作りたいものを・・作りたいように
長い経験と・・
微変を見逃さない集中力のしからしむるもの
それが・・窯場に漂う「気」だと思うのだ

「よし!・・やるぞぉ~~」
名手の窯場を訪ねると・・
いつもそう感じる
[PR]