カテゴリ:●工房便り( 773 )


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2011年の夏・・笠間の陶芸美術館で
「第21回日本陶芸展」の巡回展が開催されてました
その年私は
文部科学大臣賞を受賞したこともあって
美術館の計らいで・・ワークショップをしました
一連の写真は・・その時の様子です

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糸抜きによる皿の加飾・・がテーマ
参加者は思い思いに・・糸を貼り
後日焼成されて・・手許に届いたのでした

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40数名の参加者の中に・・〇島さんもおられ
この日がご縁で・・糸抜き技法を続けてこられました
主にブログを通して交流が続いていますが

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先日・・〇島さんからのメールで
「大皿のロクロ挽きを
今熱心に取組んでいる5人で実演を見せてほしいが
如何でしょう?」・・とお問い合わせがありました
その約束が・・今日でした

キャリアは20年近い方が3名
3年から10年が2名
もう初心者ではありません
できるだけきちんとしたロクロを
ご覧にいれねばと
気持ちを入れてお迎えしました

12㌔の粘土で58㌢の皿
ほぼ予定通りに挽いて・・ほっとしました
このサイズでは
明らかに力勝負の部分もあって
挽き続けていないと・・苦しくなります

今年は個展の小品づくりに打ち込んできたので
大皿の実績は例年より少なく
ちょっと心配しましたが
どうにかご満足いただけた様子に
ほっとしたのでした

実技は・・30分もあれば済んでしまうこと
色々ご質問があったりして
陶談も弾んだのですが

「晩学の陶芸は・・趣味ではあっても本気で!
社会的な責任の済んだ世代ならではの
自分の命は自分の好きに・・委ね
命懸けで取り組んだほうが面白いよ!
上手くなるからね・・滅多なことじゃ
命取られたりなんてしないもんだよ」

かねてからの持論で煙に巻き
燻製窯で焼いて・・お送りするつもりで
お別れしたのでした



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まるで真夏を取り戻したように暑い朝
久しぶりに・・土と格闘した

ロクロに乗せた土は
その種類・量・目的によって
生きてるが如く千変万化の様相を見せる

繊細で柔和な力でないと叶わぬ・・美しい姿形
大胆で思い切りのよい気合に頼る・・荒々しい造形
身と蓋や本体と部品・・調和が必要な複雑な構成
色々ありそうだが
そのうちの一つが・・土との格闘である

大皿や大壺などで必要になるが
10㌔以上の土を乗せて
皿や壺を挽こうとすれば・・やはり力が要る

とりわけ
土を芯に乗せ・・殺して大人しくさせるには
それなりに土に対する・・挽き手の威厳らしきものも要る
ひとたび土になめられたら・・それこそお手上げだ

5年ほど前の旧房時代には・・苦もなく形にできた大皿も
近頃は挽く機会も減って・・少々覚束ない
当時は年間5~6回の公募展に出品していたから
毎月3~4枚は挽いて選んでいた筈
その力と気力は・・以前のままではない
加齢による筋力低下は当然あるだろうし
何よりも・・あの転居の折に
階段で転倒して・・右肩腱板を断裂させたのが大きい

手術すれば腱板はつながるが・・固定によるハンデで
筋力の復活がむずかしくなりそうとの診断
若ければ手術だろうが
古希ともなれば・・復活よりもなだめて使う
医師の助言もあって・・そうしたのだった

助言どおり・・苦しくても使えてはきたが
15㌔・60㌢超は・・もう自信はない
だから
大物で挑むための選手寿命は・・長くはないが
せめて12㌔・50㌢超位は確保したくて
昨日・・挽いてみたというわけだ


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12㌔は57㌢の皿になった
まぁ挽けることは挽けたが・・口縁部に力強さはない
以前に比べれば・・ロクロ時間が長いせいだ
回してる時間が長ければ・・皿は力を失うのだ

「良いものは・・あっさりとできる」
衰えてくると・・なおそう思う

とはいえ・・やはり数を挽くこと
少しでも自信回復させるには・・これしかない
個展の追作もどうやら無事に終えた今
また大物へ挑戦しなければ・・と思い始めた

10月には・・遠方から旧知の愛好家がお仲間と
この工房においでになる・・ご希望は
大皿のロクロ挽きをご覧になりたいとのこと
果たしてご満足いただけるか自信はないが
今からでも・・何枚か挽いて
恥ずかしくないように準備せねば・・である




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幾つもの仕事を同時に遂行する力が
日に日に弱くなってゆくのを・・痛感する昨今
気がつくと目の前にコーナーが迫ってくる
車のレーサーみたいで
慌てふためくことしばしばなのです

個展の追作完遂に夢中でしたから
ふと顔を上げたら・・恒例の公募展
急いでハンドルを切っています

18面体にカットした口縁部は
うっかりすると角を壊すので
こうして円座を下敷きにして保護します

その上で
見込みの中心から外側の見切りまで
一本の糸を真っすぐに貼るので
器を回転させる必要があります
やや薄めの口を壊すのは・・大抵このとき

最後の数本で・・失敗などしようものなら
やはり落ち込みますから
ともかく細心の注意で器を動かします

たまたま・・長時間の仕事のためにと
自分の椅子で使い始めた円座
これのご利益で
少し安心して裏返すことができました

どうすれば安全にことを運べるか
作るとは・・そうした工夫のことなのでしょう
何しろ「作る」の反対語は・・「壊す」
ものづくりには・・タブーです



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ついこの間までなら
そろそろ夜明けの気配だった早暁3時半も
雨の今朝は・・漆黒の闇
濡れそぼる空気を胸に深く吸って
工房に入った・・窯焚きの朝だ



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窯に火を入れて・・今朝も茶を点てた
茶の良さは・・準備に手間がかかること
それが・・こころを落ち着かせるのだろう

簡便は時に罪・・飽くなき利便の追求で
人間は・・多くを失ってきたような気がする


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夜明けの茶は・・たっぷりがいい
喉を伝って・・生気が走る


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近頃・・好んで作る黑茶碗
遠目に無地で・・寄れば細紋
茶だまりに鈍い金
これ不要だったかもしれない

大き目の作品を詰めた窯は
ゆっくりと走らせた方がいい
2時間で200度・・こんなもんだ

1時間に一度の温度版チェック
無慮千回を越えた窯焚きだけど
ずっと守ってきた掟
どんなに長時間だろうが
窯から離れることはない

千二百度の灼熱は・・いつでも怖いからだ





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                  陶遊 153号 掲載引用



雑誌「陶遊」のバックナンバーを見ていて
この写真を見つけた
明代の景徳鎮で作られた染付の麦藁手
湯呑ほどの大きさの・・深向付のようだ
初めて見たデザインだが・・これでも麦藁手とある

見た途端に・・似たことしてたなである


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これは今年の正月頃に糸貼りしたもの
縦縞だけが麦藁手ではなく
横でも斜めでも麦藁のうちだとある

この茶碗・・茄子紺の顔料を掛けてあるので
焼けば染付同様
知らずに真似てたみたいだ

真似ることは真似(まな)ぶこと
気づかないで・・勉強させてもらった

「染付麦藁手茶碗」
何となくピンとこないか?



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この白リム多面鉢は
追作で作ったんだけど
気に入らなくて・・作り直しにした
それもほぼできたが・・失敗作は
自家用にして・・経年観察にまわすことにした

もっぱら私の朝のサラダ・ボウルになっている
リムの白が目立って・・清潔な感じ
新鮮な野菜には合うようだ

この程度のボリュームのサラダが
私の毎朝の定番である


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食べ終わると・・茄子紺の線紋様が浮かぶ
普通と逆のレイアウトかもしれないが
私的には・・これもあり

カレー皿では??かもしれないが
サラダボウルでは・・!!かな?




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個展が終って・・はや二ヶ月
追加制作の完了がやっと目の前になってきました
これが終らないうちは・・個展も終わらないと
焦る気持ちと同居しながら
この夏は・・工房に籠っています

ロクロ挽きや削りは・・急げば急げるのですが
糸を貼っての加飾はそうもゆかず
時間との長い同居が必要です
無理すれば・・必ずしっぺ返しに会って
やり直しを迫られるので
焦れずに我慢が肝要なのです

お待ちいただいてるお客様にはお詫びをしながら
最後の窯に向かっています
お許しを!・・です




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外に出ると・・例年になく蒸し暑い夏だけど
工房に籠っていると・・それも他人事みたいだ
窯場の余熱さえ・・大して気にならない
ふとした気のゆるみで・・ミスもするが
追作の過程も終盤にきてる
これが終らないと・・ゆっくりとした気分にはなれない

なのに・・非情にも公募展の締め切りが迫ってくる


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間に合うなら・・作れ!で
簡単には諦めないことも大事だと思う


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そういうわけで・・数日前にロクロに向かった
今年は・・深鉢に加工するつもり


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削りも済ませ・・口縁部を切って多角鉢を狙った
十六面鉢である

この先は・・注意深く扱わないと
ひ弱な口縁部を壊してしまう・・だから
焼き終えるまでは・・直接裏返すのは禁物
大きな植木鉢などを当てがって
口縁部を浮かして作業することになる

「注意一秒・・怪我一生」
妙な標語を思い出した


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季節がら
結構よく乾燥するので・・工程はスムーズだ
但し・・ここでも見た目に騙されると
窯中で事故も起きるから油断大敵
しっかり乾くのを待たねばである

今朝も・・これから追作本焼きひと窯
無事に焼けてくれますように・・である




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6月の会期だった個展ですが
私には・・まだ終っていません
ですから
ご注文いただいた追作が終るまで
緊張を解くわけにはゆきません

どうしたって時間のかかる糸貼りに
集中を切らさずに・・向き合っています

特段に暑い夏ですが
こうして工房に籠って過ごす時間は
もしかしたら・・一番の避暑かもしれません

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昨日も・・夜明けから仕事してましたが
一段と進捗させるため
夕食後も・・残業することにしました
40㌢の皿に・・糸抜き波状紋の定番です

裏面の養生準備で・・30分ほど使い
一気に表面を攻めることにしました


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表面の・・最初の一線がこれ
何のあたりも入れてない皿に
この一本からの上下は
最後までフリーハンドで
頭に浮かぶイメージを指で走らせてゆきます

最初のころ
大皿にこの一本を入れると
皿の広さと・・終りの遠さに怯えて
「えらいこと始めちゃったぁ~!」って
恐怖みたいなものさえ感じたものでしたが
「慣れ」という経験は・・大きな財産です

ある程度自由にモチーフを表現できるスキルが
道中を楽しませてくれるようにもなるもんです

「ここら辺で・・この波消して新しい波を・・」とか
「この波は・・ちょっと荒々しく・・」など
そんなこと考えながら・・進めてゆきます


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30分ほどで・・こんな感じです
少し離れて全体を俯瞰し
おおよその流れを・・確かめるのも大事
夢中になって近視眼になると
全体のバランスを壊してしまうことがあるからです

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1時間くらいで・・ここまできました
昨晩は・・結構いいリズムで貼れました
体調とか気力によるところもありますが
一番大事な条件は
この皿のロクロ挽きが上手く出来てるか?・・です
見込みの曲面が・・スムーズで滑らかでないと
糸は・・思い通りに走ってくれないのです
僅かでもコブがあると
糸は・・その頂点で狙ったコースを外れ
おまけに下り斜面で・・剥離してしまいます

ですから・・この糸抜き技法の場合
ロクロの挽きと削りは
手の勢いを生かすというより
糸の走りに合わせて・・微妙な滑らかさを追います

その意味で
この皿は・・仕事しやすい皿なのでした

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2時間で・・貼り終えました
初心のころを思えば・・嘘みたいです
多分このサイズでも
丸一日はかかっていたかもしれません

割合い・・穏やかで優しい波模様になりました
リズムに乗れて
無駄なやり直しのなかったことが
気分を良くしてくれます
いつでもそうだといいのですが
思い通りにならないことだらけで
悪戦苦闘する日々でもあります

これから裏面を貼ることにします




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尺皿に貼った糸抜きの波状紋
私の定番のひとつですが
これ一枚の裏表に糸を貼って・・ほぼ3時間ほど

「こんな細かい作業・・気が遠くなりそう!」
ご覧になった方から・・よくそう言われます
でも本人は
一度も気が遠くなったことはありませんでした


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しかし
この二枚を貼り終えた昨日
少々気が遠くなりそうでした
これ一枚裏表貼るのに・・10時間かかったのです
たった二枚に2日使いました
一寸見には・・波状紋より楽そうに思えますが
これが意外に手強いのです

本人・・出品作を作ったときの所要時間を忘れます
ですから途中で・・ガァ~ンと思い知らされるのです


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何でこれって・・こう手間がかかるんだろ?
考えながら・・貼ってました

多分・・理由はこうです
波状紋は・・一本の糸が皿の幅分の長さ
長いうえに・・リズムに乗る必要があるので
調子が出れば・・結構スピードがでます

一方・・この市松紋様は
3センチ四方の升目の中に
1.0㍉の糸を3センチの長さで7本
出来るだけ等間隔で貼っています
おまけに切るときは
1.5ミリ幅の糸の上で・・1.0ミリの糸を
はみ出さないように切るのです

ハサミを使う頻度がまるで違っていて
到底リズムに頼るってことが難しいのです
それでも
貼ってゆく手順を揃え
僅かにリズム感を摑もうとしますが
雪上のスラロームでワルツを!
ってわけにはゆきません

数㍉の等間隔で80数升に7本の糸
はみ出さないように息を詰めて
ハサミで切る回数も600回ほどになります
尺取り虫のほふく前進みたいなものです

一枚に10時間・・どんなに慣れても
一枚を3時間では・・きっと無理
気が遠くなりそうなことに気づきました


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裏面は・・こうです
追加制作は・・この二枚ですが
窯から出したら疵あり・・?

考えないことにします
そっちの方が気が遠くなりそうですから

でも
公募展での選外と・・個展の窯出し疵あり
どちらも覚悟して慣れておく必要があるって
陶芸が因果な仕事の理由のひとつ
私は・・そう思っています




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